「被害者の声を無視」 旭川いじめ中間報告、遺族側が所見で批判

 旭川市で昨年3月、市立中学2年の広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)が凍死体で見つかり、遺族がいじめを訴えた問題で、市教委の第三者委員会の中間調査報告への遺族側の所見書が31日、公表された。所見書では中間報告を「被害者遺族の声を無視した」と指摘、今後の調査に協力しない可能性にも触れている。 所見書は21ページあり、遺族側弁護団が30日に今津寛介市長に提出。個人情報にかかわる部分を除く概要を公表した。 いじめの有無などを調べた第三者委は3月末、中間報告をまとめ、遺族側へ伝えた。報告では、生徒や教職員らにヒアリングした結果、広瀬さんが中1の1学期の時、LINEで性的な動画の送信を要求されたり、からかう言動を続けられたりするなど、上級生7人からいじめを受けていたと認めた。 所見書では中間報告への疑問…この記事は有料会員記事です。残り340文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「原発稼働させる能力ない」 泊原発差し止め、原告側から批判

有料会員記事日浦統、石垣明真、角拓哉 鈴木剛志、佐野楓、中野龍三2022年5月31日 22時30分 北海道電力泊原発(泊村)の運転差し止めを命じる判決が31日、札幌地裁で下された。提訴から10年以上が経つ中、判決文には「被告(北電)が主張立証を終える時期の見通しが立たない」「説明は十分でない」と姿勢を問う言葉が並んだ。国の原子力規制委員会にも審査遅れを招いたと批判される中、司法にも指摘された北電の対応。原告弁護団からは「原発を稼働させる能力はない」(団長の市川守弘弁護士)との声が上がった。(日浦統、石垣明真、角拓哉)北海道電力泊原子力発電所  北海道の日本海側の積丹半島西側の付け根に位置する泊村にあり、1~3号機はすべて加圧水型。敷地面積は約135万平方キロ。出力は計207万キロワットで、東日本大震災前は北海道で使われる電気の約4割を担っていた。震災後の11年4月~12年5月、1~3号機は順次、定期検査のため運転停止。国の新規制基準施行を受けて、原子力規制委員会による再稼働の審査が続いている。 北電が泊原発の再稼働を申請したのは2013年7月。新規制基準の施行と同時だった。同時期に申請した他電力の原発は再稼働したが、泊原発は停止が続く。市川弁護士は判決後の会見で「北電だけが基準をクリアできていない。裁判所が規制委の代わりに答えを出したのがこの判決だ」と語った。 小野有五・北海道大学名誉教授(自然地理学)は「行動する市民科学者の会・北海道」のメンバーとして、泊原発敷地内の断層は「活断層だ」と指摘してきた。12年5月の第2回口頭弁論では「泊原発は日本海側のプレートに極めて近く、活断層の動きなどで大地震や巨大地震が起きる可能性が大きい」と意見陳述した。一時は再稼働寸前にも 一方、北電側は「抽象的な可能性の指摘だ」と主張。小野氏は「(北電は)規制委の方ばかり見ていた」といい、規制委の審査を理由に、訴訟での主張を先延ばしする姿勢が目立ったという。 裁判が続く中、規制委の審査…この記事は有料会員記事です。残り2497文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

日本初の「監獄ホテル」最高級に、2024年夏の開業めざす

 国重要文化財の旧奈良監獄(旧奈良少年刑務所、奈良市)をホテルに改修する計画が本格化する。運営者となる星野リゾート(長野県)の星野佳路代表らが5月31日、現地で会見を開き、2024年夏の開業を目指す方針を明らかにした。 日本初となる「監獄ホテル」。星野氏は「コンセプトは『最高級』だ」と話した。九つの独居房を1部屋に改修し、1、2階に全48室を設ける。今秋から工事にとりかかるという。放射状に建つ5棟の受刑者の収容棟のうち1棟は手を加えずに保存し、宿泊者以外も利用できる史料館にする。「詳しい中身についてはベストなタイミングで発表する」とした。 法務省と奈良県、奈良市が包…この記事は有料会員記事です。残り337文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

4カ月で1780件分の協力者、セミナーで募集 家族ぐるみ詐欺事件

 新型コロナウイルス対策の持続化給付金を詐取したとして指名手配された谷口光弘容疑者(47)やその家族らのグループが、給付金の受け付け開始直後の約4カ月間で約1780件を申請していたことが、捜査関係者への取材でわかった。警視庁は、男らがセミナーを開催して短期間に多数の協力者を募り、組織的に不正な申請を繰り返していたとみている。 捜査関係者によると、谷口容疑者は東京都港区六本木にある飲食店経営会社の代表を務めており、この会社の事務所やファミレスでセミナーを開催。呼び掛けに応じて参加した知人らに「誰でもお金がもらえる」と説明し、申請者になるよう呼びかけていたという。 給付金の申請には、運転免許…この記事は有料会員記事です。残り413文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

電力会社に付き合えない 泊原発差し止め、地裁判決が示したポイント

 安全性を主張しながら、いまだに裏付けを示せていない。いつまでも付き合うわけにはいかない。札幌地裁の判決は、こんな論理で泊原発の運転を差し止めた。北海道電力の当事者能力に大きな疑問を投げかけた判決ともいえる。 判決が直接指摘した防潮堤だけではない。北電は、敷地内断層をめぐる原子力規制委員会の審査でも、最低線を探るような無理筋の主張を繰り返してきた。規制委からは、社内の専門家の不足も批判されてきた。 原発の安全確保の責任は一義…この記事は有料会員記事です。残り436文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ウクライナとロシアの子の絵画集め展覧会 「偏見や差別を越えて」

 焼けただれた街やおびえた人々の姿に「何もできない」と感じるより、子どもが日常を描いた絵を見て平和への願いを確かめ合いたい。そう考えた聖心女子大(東京都渋谷区)の2人の教授が、ウクライナとロシアの子どもが描いた絵画展を企画した。両国の絵を集めたのは「子どもの表現には国の隔たりがない」と伝えたかったからだ。 お父さんやお母さんの顔、星空、サーカスのバレリーナ、雪の街、スケート……。聖心女子大4号館のエントランスにウクライナとロシアの子の絵18枚ずつが展示されている。七夕の短冊も用意され、平和への願いを書いて飾れる。 企画したのは、同大グローバル共生研究所。担当したのは、現代教養学部教育学科の永田佳之教授(教育学)と水島尚喜教授(美術教育学)だ。戦争の映像に「何もできない」「いたたまれない」 2月、ロシアがウクライナに…この記事は有料会員記事です。残り676文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ドラマ「30までにとうるさくて」プロデューサーが語る女性の痛み

 30歳を前にした男女に「痛いほどわかる」「刺さりすぎてつらい」と話題を呼んでいるドラマがあります。インターネットテレビ「ABEMA」オリジナルドラマとして配信中の「30までにとうるさくて」。恋愛、仕事、性にとさまざまに葛藤し、決断していく29歳の4人の女性のモデルとなったのは、実在の女性たちでした。企画・プロデュースした藤野良太さんは「『痛み』を脚本にしたドラマ」といいます。その「痛み」とは何か。モヤモヤを抱える働く20代の終盤には、どんな状況が待っているのか。藤野さんにドラマに込めた思いを聞きました。「30までにとうるさくて」インターネットテレビ「ABEMA」で今年1月から配信されているオリジナルドラマ(全8話)。それぞれ異なった感性や価値観を持つ、現代の東京を生きる29歳独身女性たち4人組の恋、キャリア、性、友情の物語。「30歳までに結婚しないと…って焦るけど、なんで?」「29歳、私たちこのままでいいのかな」など、“30歳”という節目の年齢を意識する女性ならきっと誰もが一度は感じたことがある悩みや焦り、怒りを抱えながらも、自分たちの意思で乗り越えていく姿を、ユーモラスかつ痛烈にオリジナルストーリーで描く。主演は、人気バンド「ゲスの極み乙女。」のドラマーとして活動しながら、女優としても活躍するさとうほなみさん。脚本は劇作家で劇団「贅沢(ぜいたく)貧乏」主宰の山田由梨さん。「29歳」が持つ特別な意味 切り口に ――このドラマを作ろうと思ったのはどうしてですか。 最初のきっかけは「SNSで精子が個人間で取引され、トラブルが増えている」という新聞記事を読んだことです。国内の医療機関で精子提供を受けられるのは、婚姻関係にある夫婦で、夫が無精子症である場合などに限られる。国が、女性が一人で子どもを生み育てることを否定しているような気がして「おかしいな」と思いました。 「30歳までに結婚したい」…この記事は有料会員記事です。残り3648文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

偽「グッチ」2点で2万円也 販売容疑で逮捕、否認 6500点押収

2022年5月31日 16時17分 高級ブランド「グッチ」などの偽物のバッグを販売したとして、大阪府警は、大阪市西成区南開1丁目の無職、王雷(ワンレイ)容疑者(34)ら中国籍の男4人を商標法違反(侵害とみなす行為)容疑で逮捕したと5月31日に発表した。王容疑者ら3人は「偽物とは知らなかった」などと容疑を否認しているという。 生活安全特別捜査隊によると、4人は共謀して1~2月、佐賀県の50代女性にグッチの偽物のバッグ2点を計2万1800円で、兵庫県の20代女性にバレンシアガの偽物のバッグ1点を1万1600円で販売した疑いがある。 同隊によると、王容疑者らはインターネットサイトを通じ、正規品の約10分の1の価格で販売していたという。昨年1月、国内でグッチの商標権を持つ会社から「サイトで商品を購入し、鑑定したら偽物と分かった」と府警に相談があったという。 また府警は30日、王容疑者らが商品を保管していたとみられる西成区内の倉庫を捜索し、バッグや腕時計など約6500点を押収した。府警は偽ブランド品とみて鑑定を進める。倉庫内にいた別の中国籍の大学生の男(21)を同法違反(譲渡目的所持)容疑で現行犯逮捕した。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「自称19歳」の中3女子を働かせた疑い デリヘル店、年齢確認せず

大山稜2022年5月31日 12時29分 採用面接の際に年齢確認をせずに女子中学生を風俗店で働かせたとして、東京都内を中心に営業する無店舗型デリヘル店「ラストJK」の経営者の男(44)と従業員の男(29)を、児童福祉法違反(淫行させる行為など)の疑いで逮捕し、31日発表した。2人とも「自分が面接をしたかは覚えていない」と話しているという。 少年育成課によると、ラストJKは池袋、秋葉原の両地区を中心に女性従業員をホテルに派遣するデリヘル店。2人は昨年12月17日、当時中学3年生の女子生徒(15)=東京都=が18歳未満なのに年齢を確認せずにホテルに派遣し、40代の会社員男性とわいせつな行為をさせた疑いがある。女子生徒は8カ月前の採用面接時に19歳と自称していたが、男らはそれを厳格に確認せず、週3回のペースで働かせ続けていたという。 店には約40人の女性従業員が在籍しており、同課はほかにも18歳未満の女性が働いていなかったかを調べている。(大山稜)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

いよいよ大雨シーズン、新しい避難情報の確認を 注目は「レベル4」

 まもなく本格的な雨の季節に入る。近年は毎年のように記録的な豪雨が繰り返され、多くの人が犠牲になっている。政府は昨年、自治体が発令する避難情報の体系を見直した。適切なタイミングで適切に避難できるよう、改めて確認しておきたい。(吉沢英将、グラフィック=米沢章憲) 災害発生の危険度を5段階で示して伝えるのが、2019年に運用が始まった「警戒レベル」だ。レベルには大雨警報などの防災気象情報が位置づけられており、自治体はレベルに応じて避難情報を出す。昨年5月に災害対策基本法が改正され、今年は避難情報の運用が見直されて2年目。何が変わったのか。警戒レベル「4」、避難指示に一本化 大きな変更となったのがレベル4だ。この段階は、気象庁が土砂災害警戒情報などを出すことが想定され、災害発生の直前という位置づけだ。従来、レベル4で自治体は避難情報として避難勧告か避難指示(緊急)を出すとしていたが、わかりづらいこともあって昨年から勧告は廃止に。「避難指示」に一本化された。危険な場所にいる住民はこの段階までに、避難所や高層階へ避難する必要がある。いわば避難の「最後通告」の段階といえる。 さらに事態が進行し、大雨特別警報などが発表されればレベル5に至る。レベル5ではすでに災害が発生している可能性が高い。レベル5の名称はこれまで「災害発生情報」だったが、昨年から「緊急安全確保」に見直された。避難所への移動は推奨されず、自宅の上層階や近所の頑丈な建物などへ緊急的に移ることが求められる。 一方、レベル4の前段階のレベル3は大雨警報や洪水警報が発表される段階。避難に時間がかかる高齢者や障害を持つ人たちが避難する段階として、自治体が出す避難情報はシンプルに「高齢者等避難」になった。 こうした情報は、自治体の防災行政無線のスピーカーや緊急速報メールなどで伝えられる。土砂災害や洪水、浸水の危険度がリアルタイムでわかる気象庁ホームページの「キキクル(危険度分布)」(https://www.jma.go.jp/bosai/risk/)などを活用し、避難を判断することも重要だ。避難指示、出ないことも 災害が起きる前、自治体が必ず適切に避難情報を出すとは限らない。昨年7月3日に静岡県熱海市であった土石流災害。静岡地方気象台と県は前日の2日午後0時半、熱海市に土砂災害警戒情報を発表。市はその時点で高齢者等避難(レベル3)を出していたが、避難指示(レベル4)への移行は見送った。土砂災害警戒情報が継続するなか、3日午前10時半ごろに土石流は起きた。 内閣府の「避難情報に関するガイドライン」は、土砂災害警戒情報が発表されれば直ちに避難指示を出すことが基本だと例示している。斉藤栄市長は発生直後の記者会見で「雨のピークは越えることが予想されていた」と説明した。この災害では、計画を上回る盛り土が被害を広げた。 こうした事態を受け、昨年10月に内閣府が全国123市町村にアンケートした結果からは、悩む自治体の姿が浮かぶ。「土砂災害の危険度や河川の水位が刻々と変わるため、発令判断が難しい」と回答したのは65・9%。「避難情報を出しても災害が起きず『空振り』になり、効力が薄れる不安がある」とした割合も62・6%だった。線状降水帯予測も道半ば 今年は新しい情報も示される。気象庁は6月1日から、集中豪雨をもたらす「線状降水帯」ができる可能性が高いと予測できた場合、発生の半日前に予測情報の発表を始める。精度はまだ十分と言えず、発表範囲も「九州北部地方」「中国地方」など広域だ。 実際に線状降水帯が発生したことを伝える「顕著な大雨に関する情報」の発表基準を満たした2019~21年の事例で同庁が検証したところ、予測した地方で発生を的中できたのは約4分の1。予測できずに発生する「見逃し」は、3回に2回程度あったという。必ず予測できるわけでもないことがわかる。 長谷川直之・気象庁長官は会見で「『空振り』があることは認めざるを得ないが、油断せず警戒してほしい」と呼びかけた。線状降水帯の予測情報は自治体の避難情報に即座に結びつく情報ではないが、大雨に備えて個々がハザードマップを確認したり、避難の準備をしたりできる。「行政ができるのはサポートだけ」 中央防災会議の作業部会で委員を務め、昨年の避難情報見直しに関わった片田敏孝・東大大学院特任教授(災害社会工学)は、見直しについて「自分の命は自分で守る、という高い主体性を求めていることが肝だ」と話す。 変更前は、レベル3で「避難準備」、レベル4で「避難勧告」からさらに「避難指示」と順序立てて情報が発令される流れになっていた。だが変更後は、準備と勧告という文言がなくなり、多くの住民にとって「避難指示」の一つに整理された。 これは何を意味するのか。片田特任教授は「行政が『この情報に沿って行動すればいい』と呼びかけるものではなくなった」という。今後はレベル4の「避難指示」という1度の最後通告までに「自分で避難を判断することが求められる」と言う。 変更の背景に、線状降水帯による豪雨や、土砂災害といった予測の難しい災害が頻発していることを挙げる。「自然が相手なだけに、気象庁や行政がいつも適時、適切に情報を出し続けることは難しく、限界がある。行政ができることはサポートに過ぎない。住民一人ひとりが災害に関心を持ち、自分の命を自分で守る姿勢を持ってほしい」Source : 社会 - 朝日新聞デジタル