沖縄知事、半世紀越しの「建議書」 「県民の願い実現していない」

 沖縄県の玉城デニー知事は7日、日本復帰50年にあわせて、あるべき将来像を描いた「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」を発表した。復帰前年、屋良朝苗・琉球政府行政主席(後の知事)名でまとめられた「復帰措置に関する建議書」を踏まえ、当時県民が求めた「基地のない平和の島」の実現に取り組むよう日本政府に求める内容となっている。 玉城知事が10日に上京し日米両政府に提出する。 新たな建議書は15ページ、約9千字。旧建議書と半世紀の歩みの検証、県民からの意見募集や有識者会議を経て作成された。意見募集には3週間で533人から自然環境や基地問題、平和など19分野で意見が寄せられたという。建議の柱は、自立型経済の構築および「基地のない平和の島」の実現、アジア太平洋地域における平和構築と独自の歴史や多様性を持つ沖縄の最大限の活用など四つ。 基地問題では、日米地位協定…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

観光船事故、北方領土の「壁」越えて捜索 海底は「ロシア原潜の巣」

 北海道・知床半島沖の観光船沈没事故はなお12人の行方がわからず、捜索活動が続けられている。海上保安庁は捜索の範囲を広げているものの、事故現場に近い北方領土周辺で捜索を始めたのは、発生から2週間近くたってから。背景には、安全保障も絡むデリケートな「壁」があった。 観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が知床半島沖で消息を絶ってから5日後の4月28日。ロシアのサハリン州国境警備局から、第1管区海上保安本部(小樽市)にファクスが届いた。 北方領土のひとつ、国後島の西方海域で「救命胴衣を着用した漂流者を発見」「荒天のため引き揚げられず」「リュックサックを引き揚げた」という内容だった。 知床半島先端の知床岬から国後島までは、40キロほどの距離だ。国後島にある同警備局の事務所は29日、朝日新聞の電話取材に対し「(捜索への)協力を続けており、今後も何か見つかればただちに日本側へ連絡する」と答えた。情勢問題抱えているが「関係はいい」 政府関係者によると、日ロの政府間ではウクライナ情勢をめぐる関係の難しさを抱えているものの、ロシア側の海保にあたる同警備局と日本の海保は日頃から海上の安全確保について連絡を取りあっており、「現場同士の関係はいい」。今回も同警備局は国後島の周辺で「捜索にあたってくれている」という。 ただし、現場では当初から国…この記事は有料会員記事です。残り1102文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

無人潜水機載せた作業船「新日丸」、網走港に入港  知床観光船事故

2022年5月7日 16時14分 北海道・知床半島沖の観光船「KAZUⅠ(カズワン)」の沈没事故で、無人潜水機を載せた民間作業船「新日丸」が7日午後3時ごろ、網走港に入港した。第1管区海上保安本部(小樽市)によると、同日中にカズワンの沈没海域付近に向けて出港する予定だという。 乗客乗員26人が乗ったカズワンは、4月23日に知床半島沖で消息を絶ち、同29日に半島西側の水深約120メートルの海底で見つかった。国は今後、無人潜水機などで船体を調査し、国主導で引き揚げる方針を示している。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「ウクライナ侵攻、核共有を念頭に」 長崎平和宣言に向け意見

 8月9日の長崎原爆の日の平和祈念式典で、長崎市長が読み上げる平和宣言の内容を話し合う起草委員会の初会合が7日、同市であった。宣言の作成にあたり、委員からはロシアのウクライナ侵攻や、米国の核兵器を日本に配備して共同運用する「核共有」の議論を念頭に置くよう求める意見が相次いだ。 起草委は市長と被爆者、学者ら16人で構成。この日は、各委員が宣言文への思いや内容について意見を出し合った。 調漸(しらべすすむ)・長崎平和推進協会理事長は、「ウクライナの姿は、長崎の当時の惨状と重なる。今こそ平和を希求する長崎からの願いが重要だ」と述べた。 さらに、「危機に乗じ、核共…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

山梨・道志村の女児不明、新たな手がかりみつからず 8日も捜索続行

池田拓哉2022年5月7日 17時31分 山梨県道志村の山中で子ども用の靴や骨の一部が見つかったことを受け、県警は7日も周辺を捜索した。40人態勢で遺留品などを探したが、新たな発見はなかったとしている。8日も捜索を続けるという。 付近では2019年9月に千葉県成田市の小学生、小倉美咲さん(9)が行方不明になっている。県警は見つかった遺留品や骨を鑑定し、小倉さんとの関連を慎重に調べている。(池田拓哉)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

火薬は平和のために 爆音におびえた夫妻が最後にほほえんだ贈り物

 ウクライナ人のチェボタレフ・ルスランさん(38)は4月10日から、妻のリディアさん(35)と愛知県安城市で暮らしている。 それまでは首都キーウ(キエフ)でロシア軍の空爆におびえる日々だった。 侵攻から1カ月たった3月24日、ルスランさんはメッセージを送った。 「日本に避難したい。住居と仕事を見つけるのを手伝ってもらえませんか」 頼ったのは、かつての日本語の先生だ。 SOSを受け取った葛西孝久さん(71)と妻の不二恵さん(70)はその4日前、12年間過ごしたキーウから、故郷の愛知県に戻ってきたばかりだった。 教員を早期退職した孝久さんたちは、日本語講師としてキーウで第二の人生を歩んでいた。ルスランさんは当時の教え子だった。 すぐに住居や家財道具の手配を始めた。 ルスランさんは糖尿病を患いながら避難生活を送っていた。キーウでは地下シェルターの冷たい床で眠り、食事をする生活が続いていた。 爆撃のないところへ逃げたい。そう願ってやってきた日本。もう空襲警報は聞こえてこない。 2人の顔に穏やかさが戻ってきた。それを見た葛西さんの次男、喬介さん(38)は、ある「贈り物」をすることにした。 「喜んでくれるかな。でも……」。贈る側にも迷いがあった。案の定、2人は複雑な表情を浮かべた。母国の惨状を思い出し、当初は困惑する2人 困惑させたその贈り物とは打…この記事は有料会員記事です。残り842文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

小6、平和憲法のイメージは多様な○「角がなければ戦争起こらない」

 街中を覆っていた雪が消え、花と緑の季節を迎えた札幌市。週末、街頭ではロシアのウクライナ侵攻に抗議する声があちこちで上がっている。 JR札幌駅前では毎週日曜日、SNSなどで連絡を取り合った有志が集まり、反戦を訴えている。ロシアのウクライナ侵攻開始から3日後の2月27日に始まったこの集会は、5月1日で10回目を迎えた。 毎回、多くの人が集まり、交代でマイクを握る。母親に聞いた戦争のこと、広島への原爆投下を題材にした絵本のこと、最新のニュースのこと――。それぞれ自らの経験や考えを踏まえたスピーチを通じ、一刻も早く平和が訪れることを願う。 北海道勤医協労働組合書記長の佐賀正悟さん(38)はほぼ毎回、この札幌駅前での街頭活動に参加している。市民活動グループ「UNITE&FIGHT Hokkaido」(ユニキタ)の中心メンバーの1人。ユニキタは2015年、安保法制に反対する若者ら約50人で結成された。街頭などで安保法制の廃止を訴えたほか、安倍晋三首相(当時)の政権運営に異を唱えるなどしてきた。 佐賀さんは「今回のロシアを…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

反戦農家の門が開いたあの日 1994年4月26日

 愛知県営名古屋空港の北端(同県小牧市小針)には、いまは閉じられた小さな門がある。門は鉄条網があるフェンスの一部になっており、長年の風雨による赤さびが目立つ。 その扉が中華航空機が墜落した1994年4月26日、耳をつんざくサイレンとともに開かれた。 同空港はもともと戦争末期の44年、農地をつぶして造った旧陸軍飛行場。戦後米軍基地となり、55年、門の付近にあった旧小針集落などを移転させ、基地を拡張する計画が持ち上がると、大規模な反対運動が起きた。 小牧市に合併される前の旧北里村では、村長が反対の対策委員長、戦前はあたりの大地主だった大野春吉さんが副委員長に。100人以上で県庁へ要請にも行った。大野さんは55年6月、衆院内閣委員会の参考人になり、「生活の根拠を根底から覆される」と訴えた。 だが、補償金などで切り崩され、116戸が集団移転した。大野家だけが粘ったが、滑走路は58年、現在の2740メートルまで延長された。同年、米軍管理から自衛隊と旧運輸省の共同使用に代わった。 それでも大野さんは、空港敷…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

お名前は?「土方歳三」 高齢女性への怪電話、叱りつけた郵便局長

 「お名前は?」 その問いに、電話の向こうで男が答える。 「土方歳三」 こちらで受話器を握っていたのは、京都市上京区の京都仁和郵便局の田尻雅之局長(59)。電話の男が息子だと思い込む高齢女性の代わりに、特殊詐欺電話に応対していた。 それは4月7日午後4時過ぎ、外から戻った田尻さんに女性がATMの操作を尋ねたのが発端だった。 女性は100万円を引き出そうとしていた。「息子が緊急入院しなきゃあかんから、お金を頼まれた」と言う。 「もしや」。田尻さんは長年の経験で、特殊詐欺だと感じた。だが、女性は「絶対に息子に間違いない」と疑わなかった。 仕方なく「息子さんの顔を見て渡して下さいね」と送り出したが、女性は一人暮らしの80代。「後悔してほしくない」と田尻さんは考え、女性の家へ向かうことにした。 到着して間もなく、女性宅の電話が鳴った。田尻さんによると、特殊詐欺犯は郵便局が閉まる夕方を狙って電話する傾向がある。案の定、女性は電話の相手にこう告げていた。「お金の用意はできたよ」 田尻さんは電話を代わってもらい、相手の名前を尋ねた。「は?」と言って電話は切れた。若い男の声だった。田尻さんは特殊詐欺だと確信した。 数秒後、また電話が鳴る。電話の男は女性に、田尻さんにも聞こえる大きな声で「あいつ誰?」と言っていた。女性が「郵便局の人」と答えると、男は「上司に代わる」。こちらも、再び田尻さんに代わった。電話の向こうの声はさっきとは別の男だった。 「お名前は?」「お母さんの誕生日は?」。田尻さんの相次ぐ質問にも、答えない。しばらくして名乗ったのが「土方歳三」。幕末に活動した新選組の「鬼の副長」の名前だ。だますことを諦めた代わりに、挑発しているようだった。田尻さんの隣で、心配した女性は息子の名前を呼んでいた。 「詐欺をして何が楽しいんや」と怒鳴った田尻さんに、男は「何を興奮しているんですか」と返し、電話を切った。田尻さんは、すぐに上京署に通報。詐欺だったと女性に説明した。 京都府警は後日、特殊詐欺を未然に防いだとして、田尻さんに感謝状を贈った。上京署の西野匠署長は「機転の利いた対応だった」と称賛した。 女性は警察に事情を聞かれ、詐欺だと理解した上で、こう言ったという。「息子が元気ならよかった」。その言葉が田尻さんの印象に残っている。(屋代良樹)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

全国初の特定技能2号、岐阜の中国籍男性「やっと家族と暮らせる」

 外国人労働者の受け入れを拡大するために創設された在留資格「特定技能」。制度スタートから3年たった今年4月、熟練した技能が必要な「2号」の資格を持つ外国人が全国で初めて誕生した。岐阜県各務原市の建設会社で働く中国籍の翁飛(おうひ)さん(35)だ。 「これからは家族を呼んで一緒に生活できるのが一番うれしい」。翁さんが今後の仕事への意気込みとともに口にした言葉からは、日本で働く外国人が置かれていた境遇のつらさがにじむ。 2010年11月に建築の技能を学ぶために初めて来日した。同市内の建設会社「コンクリートポンプ」で技能実習生として3年間働いていったん帰国。15年5月には建設業の人手不足を解消するために緊急的に設けられた「外国人建設就労者」として再び来日した。同社で3年間、コンクリートポンプ車のオペレーターとして勤め終えて再び母国に戻った。 18年11月に技能実習生と…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル