映画を短く無断編集 「ファスト映画」投稿、全国初の有罪判決

近藤咲子2021年11月17日 9時06分 映画を短く無断編集した「ファスト映画」をネットに投稿したとして、著作権法違反の罪に問われた無職高瀬拳也被告(25)=札幌市東区=ら3人の判決が16日、仙台地裁であった。大川隆男裁判長は「映画の収益構造を破壊するもので厳しい非難に値する」とし、主犯とされる高瀬被告に懲役2年執行猶予4年と罰金200万円(求刑・懲役2年、罰金200万円)を言い渡した。ファスト映画を巡って刑事責任が認められたのは全国初。 判決によると、高瀬被告らは共謀して昨年6月6日~7月21日ごろ、映画5作品の映像を無断で編集して、あらすじを説明するナレーションなどを入れた動画を作り、ユーチューブ上で公開した。 大川裁判長は判決理由で「役割分担して職業的に繰り返し犯行に及んでいる。被害額は多額で結果は重い」と述べ、共犯の2人にもそれぞれ執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。(近藤咲子)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

逮捕の男「女性とは面識ない」、無差別に狙ったか 福島駅切りつけ

飯島啓史2021年11月17日 9時18分 JR福島駅で女性が男に刃物で切りつけられた事件で、逮捕された男が容疑を認めた上で「被害者の女性とは面識がない」と供述していることが県警への取材でわかった。県警は男が駅の通行人を無差別に狙った可能性があるとみて調べている。 傷害容疑で逮捕されたのは住所不定無職の高橋清容疑者(69)。逮捕容疑は、15日午後3時50分ごろ、福島駅西口の植え込みに座っていた80代女性の腹部を刃物で切りつけてけがを負わせたというもの。 男は逮捕直後、「記憶にない」と容疑を否認していたが、16日に一転して「切りつけたことは間違いない」と供述を始めたという。同署によると、女性のけがは全治10~15日ほどで、命に別条はない。 捜査関係者によると、高橋容疑者は別の事件で2017年に有罪判決を受け、事件の数日前に服役を終え、出所したばかりだったという。事件現場で取り押さえられた際には2本の小型ナイフと腕時計、現金約2万円が入った小物入れを持っていたという。 事件を受け、16日朝の通勤、通学の時間帯に福島署や県警本部の警察官ら約20人が福島駅周辺を警戒した。県警は駅の防犯カメラや目撃情報から容疑者の事件前の足取りを調べるとともに、動機などを調べている。(飯島啓史)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「13年間の還付金」と書かれたメモ 男性が詐欺を確信した瞬間

森下友貴2021年11月17日 9時29分 9月28日午後6時半ごろ、埼玉県朝霞市の広垣義仁さん(58)は仕事帰りに市内の銀行を訪れた。ATMで現金を引き出そうとしたところ、スマートフォンを片手に不慣れな様子でATMを操作する高齢男性の姿が目にとまった。誰かと電話で話をしている様子で、「医療還付金」「入金」といった言葉が聞こえてきた。 「還付金と言っているのに、入金の話がでているなんておかしい」。そう思った広垣さんが「おじいさん、どこに電話しているの」と話しかけると、「スマホにかかってきた電話にかけているんです」。男性が手に持っていたメモには「13年間の還付金」と書かれていた。 詐欺を確信した広垣さんは「おじいさんだめだよ。怪しいよ」。近くにいた女性も加わり、数分間、説得を続けて男性からキャッシュカードを預かり、110番通報した。男性も次第に納得し、広垣さんに感謝の言葉を述べた。 広垣さんには10月20日、特殊詐欺被害を未然に防いだとして朝霞署から感謝状が贈られた。広垣さんは「説得に協力してくれた女性にも感謝です。詐欺がこんなにも身近なことになっていると感じたので、地域で見守ることが大切だと思いました」と話した。(森下友貴)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

いじめ対応の会議録、生徒向けのページに誤投稿 実名や病名記載

会員記事宮城奈々、大久保貴裕2021年11月17日 5時00分 広島市にある私立の中高一貫校で、教員間で共有すべき生徒指導の会議録が一時、オンラインの生徒向けページに誤って投稿されていたことがわかった。会議録には、いじめや不登校への対応内容などが生徒の実名とともに記されていた。学校は「人為的なミス。全校生徒や保護者に説明し、おわびした」としている。 問題が起きたのは、安田女子中学・高校(広島市中区)。学校によると10月28日、教員が生徒指導の会議録をオンラインの学習管理ツール「グーグル・クラスルーム」を使って教員間だけで共有しようとしたところ、操作を誤り、学校側から生徒に連絡事項などを伝えるページに投稿した。学校関係者が気づき、約5分後に削除したという。 会議録には、いじめ被害を訴えている生徒の実名や被害内容、加害側とされる生徒に関する情報が載っていた。不登校や転学希望の生徒への対応内容のほか、生徒の病名なども記されていた。 学校の説明では、閲覧した可能性のある生徒たちに対し、何らかの形でデータを保存した場合は消去するように求めた上で、全校生徒と保護者にメールや書面で謝罪。会議録に名前の記されていた生徒には学校側から個別に連絡をしているという。「閲覧できたのが生徒だけで、内容も校内のこと」として、公表はしなかった。 問題の発生を受け、学校は1…この記事は会員記事です。残り286文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「ヘビは気持ち悪い」子どもの前で言わないで 飼育係が考える価値観

 北九州の市街地を流れる紫川のほとりにある「水環境館」。 紫川に生息する生き物を展示していたり、ゲームやアトラクションを楽しみながら河川について学べたりする施設だ。 展示している生き物は、魚やカメ、ヘビ、カエルなど流域にすむ約70種類。 ヘビは、アオダイショウ、シマヘビ、ジムグリの3種類が計13匹いる。 ヘビの展示を見て「気持ち悪い」と口にする人は多い。 飼育係の福田海輝さんは、その言葉を聞くたびに「ヘビに申し訳ないな」と思ってきた。 コロナ禍での臨時休館を経て再開した10月1日、爬虫(はちゅう)類コーナーに1枚のパネルを設置した。 かつて環境教育のキャンプに携わってきた時、子どもたちとの経験をもとに書いた文章だ。    ◇ 爬虫類コーナーをご覧の大人…この記事は有料会員記事です。残り1190文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「ごっつぁん体質」の田中理事長 背任の共謀認定難しく 日大事件

 日本大学板橋病院をめぐる背任事件で、東京地検特捜部は16日、医療機器などの調達で日大に約2億円の損害を与えたとして、日大元理事・井ノ口忠男容疑者(64)と医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」(大阪市)の前理事長・籔本雅巳容疑者(61)を背任罪で追起訴し、発表した。両容疑者は建て替え工事の設計・監理の発注でも2億2千万円を流出させたとして起訴されており、日大の損害の総額は約4億2千万円となった。 井ノ口容疑者は一連の取引の「お礼」として田中英寿理事長(74)夫妻に計7千万円を渡したと供述したが、特捜部は田中氏が資金作りの仕組みまで認識していたとは言い切れないと判断し、現時点での背任罪での立件は見送ったとみられる。日大元理事らを追起訴 損害総額4.2億円に 追起訴分については、取引に関与した医療コンサルタント会社代表・吉田徹也容疑者(50)も在宅起訴した。発表によると、3容疑者は板橋病院に医療機器と電子カルテ関連機器を調達する取引で、無関係の籔本容疑者側の2社を不必要に介在させた。その上で今年5~8月、2社の利益として計約2億円を上乗せしたリース契約を日大に結ばせて損害を与えたとされる。 関係者によると、籔本容疑者側から井ノ口容疑者の知人の会社に計約7千万円の送金が予定されていた。約2700万円を振り込んだ後、特捜部の捜索を受けて送金を中断したという。 建て替え工事をめぐる最初の事件では、評価点を改ざんして選定した都内の設計事務所から籔本容疑者側に、2億2千万円の日大資金が2020年8月に流出。その後、6600万円が井ノ口容疑者の知人の会社に送金されたとされる。 一連の契約の業務は井ノ口容疑者が取締役だった日大子会社「日本大学事業部」が担当。特捜部は事業部を利用して井ノ口、籔本両容疑者が不正な利益を分け合っていたとみている。一方、大学に損害を与えたという違法性について、井ノ口容疑者は否認、籔本容疑者は機器をめぐる追起訴分は認めているという。側近が理事長への「お礼」7千万円を供述 今回の事件で特捜部は田中氏の自宅を2回捜索し、側近の井ノ口容疑者らにも田中氏への現金提供を集中的に聴いた。 「日頃からお世話になっているので」。関係者によると、籔本容疑者は田中夫妻への現金や高級時計などの提供を比較的早くに認めた。秘書に出金を指示したメールも残っていた。一方、理事長再任や誕生日の祝いで渡したものも別途あるなど、趣旨の特定に難しさもあったという。 井ノ口容疑者は当初は「知らない」と話していた。だが、起訴内容となった新病院の設計業者選定で計4千万円、追起訴内容の医療機器などの納入で計3千万円の「お礼」を籔本容疑者と相談して田中夫妻に渡したと最終的に認めた。うち1千万円については、出金した銀行の帯封が田中氏宅から見つかったという。 ただ、背任罪の成立には、日大に損害を与えるという認識や、自分や第三者の利益を図るという目的を立証しなければならない。田中氏を共犯に問うには、手元に来た資金が作られる仕組みまで理解していたという証明が必要となる。 井ノ口容疑者は、田中氏に仕組みは報告せず、現金提供の際も趣旨は伝えていないと説明した。任意聴取を複数回受けた田中氏は、受領自体を否定した。専門家「理事長は辞職すべきだ」 「ごっつぁん体質」。検察幹部は相撲部出身の田中氏をこう評し、「現金を受け取っていても全体の構造を知らなければ背任罪の共謀認定は簡単ではない」と語った。 田中氏が現金を受領していた場合、所得として適正に税務申告していたかどうかは疑問点として残る。 大学運営に詳しい明治学院大の石原俊教授は「特定業者との癒着は、深刻なガバナンス(統治)不全を表している。自らトップの権限を強めてきた田中氏は、責任をとって辞職すべきだ」と話した。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ニセ身分証で「道具」調達 特殊詐欺で暗躍する集団の実態とは

 だましの電話をかけるスマートフォン、その通信に必要なSIMカード、金を振り込ませる口座……。被害が絶えない特殊詐欺の犯罪ツール(道具)を調達する集団がある。「道具屋」と呼ばれる。ある事件から、その輪郭が浮かんだ。553枚のSIM 145口の金融口座 兵庫県警は8月、通信事業者からSIMカード2枚をだまし取った詐欺などの疑いで、大阪や神戸に住む30~60代の男女4人を逮捕した。 捜査関係者によると、4人の自宅への家宅捜索や押収したパソコンからは、553枚のSIMカードと、145口の金融口座情報が見つかったという。すべて4人以外の名義だった。 「SIMカードは1枚1万5千円、口座は1口2万5千円ほどで転売した」。そんな供述は得られたが、誰に売ったかは明かさなかったという。 口座の一部は、大阪府内であった特殊詐欺事件の振込先と名義や番号が一致したといい、県警は4人が道具屋で、転売先は特殊詐欺グループだったとみている。なぜか。 スマホの通信に必要なSIM…この記事は有料会員記事です。残り757文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

最大の地主、引っ越し先の新ビルの床面積は… 再開発のからくり

現場へ! 再開発 追われる地権者② 東京23区の北東部に位置する荒川区は、かつて多くの工場が立ち並んでいた。近年、そうした工場跡地や住宅密集地を再開発して大規模なマンションが建てられ、ファミリー層の人気を集める。 区内のJR西日暮里(にっぽり)駅前でも、市街地再開発の計画が進む。計画地は、JR上野東京ラインや日暮里・舎人(とねり)ライナーなどの線路に囲まれたような場所にある。その約2万3千平方メートルの土地に、タワーマンションや商業棟など計約16万3千平方メートルの床面積の施設を建てるという。 この計画地の最大の「地主」が荒川区だ。区立中学校跡地の約4300平方メートル、保育園の約940平方メートルなどの計約5500平方メートルの区有地を持つ。道路などをのぞいた現在1万5千平方メートル弱の宅地の約37%を占める。 ところが、区が地権者として…この記事は有料会員記事です。残り1021文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

秋色の別世界 桐生・宝徳寺の「床もみじ」

迫和義2021年11月16日 20時00分 群馬県桐生市の「宝徳寺」で境内のモミジが色づき、見ごろを迎えている。本堂の漆塗りの床板に、昼は青空に映えるモミジが、夜はライトアップされたモミジが映り込むようすは「床もみじ」として知られ、多くの拝観者が訪れている。 宝徳寺は室町時代に建てられた歴史のある禅寺で、境内には100本以上のモミジがある。「床もみじ」の公開は28日まで。住職の金子英宗さん(55)は「コロナ禍の今だからこそ、心を癒やしに来てほしい」と話している。(迫和義)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

阪神大震災悼む「1・17のつどい」 東遊園地の工事で規模縮小に

鈴木春香2021年11月16日 20時00分 阪神・淡路大震災の犠牲者を悼んで毎年1月17日に神戸市で開かれる「1・17のつどい」が、来年は縮小して実施される見通しとなった。会場となる東遊園地が再整備の工事中でスペースが狭く、出入り口も少なくなるため。市民団体などでつくる実行委員会が16日、発表した。 実行委によると、今年は約1万本並べた竹灯籠(とうろう)・紙灯籠の設置も難しくなる。出入り口を拡充するよう市と調整を進めているが、拡充できたとしても、灯籠の数や大きさを縮小し、今年の3分の1程度の規模にせざるをえない見込みだという。炊き出しなども行わない。(鈴木春香)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル