和歌山の断水、きょう給水再開 水管橋崩落でうかい水路工事完了

下地毅2021年10月8日 23時22分 和歌山市の紀の川に架かる六十谷(むそた)水管橋の一部が崩落し、市北部の約6万世帯(約13万8千人)が断水になった問題で、市は8日、各家庭への給水を9日朝にも始めると発表した。 水管橋から東に約40メートル離れた六十谷橋(県道)に水路をうかいさせる仮復旧工事を8日夜に終えた。長さ6メートル、直径0・7メートルの水管約110本を、橋の車道上でつなげる作業を6日から24時間態勢で進めた。 仮復旧工事の終了と同時に市は送水を始めた。ただ、家庭で水が使えるようになる9日以降も、断水地域の全域に水が行きわたるようにするため節水を呼びかけている。給水直後は濁り水が発生するため、飲み水に使えるようになる時間はあらためて周知するとしている。 紀の川の北側には和歌山市民の約4割が暮らす。崩落した水管橋は、川の南側にある浄水場からの唯一の通水路だった。市は3日夜の断水発生後、約100台の給水車を確保してきた。給水開始後も水不足に対応するため給水車をしばらく待機させておくという。 市は小中学校などに給水所を設けたが、水を運ぶのが大変なお年寄りを支援しようと地元大学生がボランティアで運搬を手伝った。断水していない地域の事業者が水道を貸したり、水を入れるためのペットボトルを無償配布したりするなど、助け合う活動も見られた。(下地毅)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

コロナ禍のいまこそ作文教育 大阪・堺の「綴方教師」が本を出版

2021年10月8日 19時00分新著「続・こころの作文」を手にする勝村謙司さん。勤務校の一つ・堺市立新金岡東小学校の玄関には子どもたちの作文が掲示されている=2021年10月7日、堺市北区新金岡町4丁、宮崎亮撮影 子どもが生活のありのままを作文に書き、それをクラスで読み合う「生活綴方(つづりかた)」と呼ばれる作文教育に取り組む小学校教員の勝村謙司さん(67)が「続・こころの作文」を出版した。コロナ禍でオンライン学習が注目される中、子どもが学校に通って友だちや教師とともに学ぶ意味を改めて問いかける一冊だ。 勝村さんは2018年、堺市立安井小学校で10年以上続く作文教育について書いた「こころの作文」を出版した。勝村さんが担任をした6年1組に密着し、子どもたちが成長する姿を朝日新聞大阪版に連載した宮崎亮記者との共著だった。 「続・こころの作文」でも、いまも講師を続ける安井小で出会った子どもたちを1章で紹介している。 作文を授業に採り入れるきっかけとなったやんちゃな子、心身を病んだ母親を支える姉妹、オンラインいじめをめぐって葛藤する子どもたち……。作文を書くことで自分自身を見つめ、友だちの作文を読むことで相手の気持ちを想像する力が育まれる様子を描いた。勝村さんは「子どもは、みんなから自分が必要とされていると自覚できたとき、伸びようとします。優しい人でありたいと思うようになります」と書いている。作文の授業で活発に手を挙げる4年生の子どもたち=2020年1月31日、堺市立新金岡東小学校 2章は、主に19年から講師をする堺市立新金岡東小学校について書かれ、コロナ禍での子どもたちの作文も掲載した。同小はコロナ禍の一斉休校中、「書きたいときに書きたいことを書きたいだけ」書く自由作文を、無理にやらなくてもよい自由宿題とした。先生たちは他の課題プリントと一緒に封筒につめ、家庭訪問し、校長は一人ひとりに自筆の手紙を書き添えた。 巻末に解説文を寄せた川地亜弥子・神戸大大学院准教授は作文教育の意義について、「教師や仲間の中で自分の言葉がかけがえのないものとして大事にされることを通じて、自分自身が大事にされ、自分の言葉がしっかり受けとめられていることを感じる時間を積み重ねる。そして、文集が学校や地域のみんなにも読まれることによって、その空間が広がっていく」ことだと記している。 問い合わせは、かもがわ出版(075・432・2868)。税抜き1800円。「続・こころの作文」Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

小池都知事と新首相の相性は? 高まる期待と周囲に語った「岸田評」

 東京都の小池百合子知事が8日、岸田文雄首相と面会した。2人が公の場で顔を合わせるのは、岸田氏の首相就任後初めて。国と首都の連携が問われたコロナ禍では、首相と都知事の関係が時に注目を集めたが、2人の相性はいかに。 「仲間として総理になられたこと、それから国との連携ということを確認し合ってうれしく思っている」 8日夕方の首相官邸。岸田氏との面会が終わり、記者団に囲まれた小池氏はそう言って、岸田氏との距離の近さをアピールした。 政治一家に生まれた岸田氏と、ニュースキャスター出身の小池氏。出自が違う2人には目立った接点はないように見えるが、政治家としての経歴をたどると、重なる点も少なくない。 2人が衆院議員になったのは1993年で、いわゆる当選同期だ。先に入閣を果たしたのは5歳年上の小池氏。小泉内閣だった2003年に環境相に起用され、「クールビズ」で時の人となった。07年には防衛相を務め、17年に防衛相に就任した岸田氏の「先輩」にあたる。 小池氏は以前、岸田氏との関…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

最大震度5強の揺れで想起された首都直下地震 どう備える?

吉沢英将2021年10月8日 20時00分 7日夜に発生した地震は、水道管や交通インフラに影響が出るなど、甚大な被害が予想される首都直下地震を想起させた。 東京23区や千葉県北西部などでは高層ビルをゆっくりと揺らす長周期地震動が観測され、東京都立大の中林一樹名誉教授(都市防災学)は「直下地震でも、インフラ施設や高層マンションに、長周期地震動が襲うことを改めて首都圏に突きつけた」と話す。 国の中央防災会議が設けた有識者によるワーキンググループが2013年にまとめた報告では、マグニチュード(M)7級の地震は首都圏で30年以内に70%の確率で起こるとされる。首都中枢機能への影響が最も及ぶ都心南部直下地震(M7・3)では最悪の場合、建物の全壊は17万5千棟、焼失は41万2千棟に。死者は2万3千人に上り、経済被害は総額95兆円に及ぶ。 このワーキンググループで委員を務めた中林名誉教授は、想定される首都直下地震について「地震のエネルギーは約100倍。被害は今回と比べものにならない」と警鐘を鳴らす。建物のみならず、室内に危険が及ばないよう家具の固定や配置を見直したりすることが大切だという。(吉沢英将)帰宅困難時に備えて準備しておくこと・状況把握のために携帯ラジオを持つ・徒歩での帰宅地図を作っておく・ロッカーにスニーカーを入れておく・季節に応じた冷暖グッズ(カイロなど)を準備・連絡手段や集合場所を事前に家族で話し合う・歩いて帰る訓練をする(東京都防災ホームページから)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

保釈中の被告にGPS端末 海外逃亡防止に限定し制度導入へ

 保釈された被告に全地球測位システム(GPS)端末の装着を可能にする制度が導入される見通しとなった。日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告ら保釈中の被告の逃亡が相次いだことを受け、防止策を検討してきた法制審議会(法相の諮問機関)の部会が8日、答申案をまとめた。海外逃亡の恐れがある場合に対象を限り、空港などに近づけば即座に把握できるようにする内容だ。 答申案ではさらに、被告をその関係者に監督させる「監督者」制度を新設するなど、保釈保証金により逃亡を抑止する現行の仕組みの大幅な強化が盛り込まれた。法制審総会での審議を経て法務省が刑事訴訟法や刑法の改正案を作成し、早期の国会提出を目指す。 答申案によると、海外逃亡の防止に必要と認めるとき、裁判所はGPS端末の装着を被告に命令できるようになる。弁護人や検察側から意見を聴くなどして必要性を判断することになるとみられ、命令する場合には空港や港湾施設の周辺などを「所在禁止区域」に指定し、立ち入りを端末が検知すると必要に応じ被告を拘束する。1年以下の懲役の罰則を設け、被告が義務に反し端末を外した場合も拘束と罰則の対象とする。 監督者制度では、裁判所が本人の同意を得て選任した監督者から「監督保証金」を納付させ、被告が逃げて保釈を取り消された場合などに没収できるようにする。迷惑をかけられないという心理的効果を狙ったもので、監督者に選ばれるのは被告と一定の人間関係がある人になる見込みだ。 答申案ではほかに、控訴審に…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ドコモのシェア自転車、「帰宅難民」利用者の料金減免 7日夜の地震

山本知弘2021年10月8日 17時00分 東京都心部などで自転車シェアサービスを運営するNTTドコモの子会社「ドコモ・バイクシェア」は8日、首都圏で最大震度5強を記録した7日夜の地震の影響で電車で帰宅できずに自転車を利用した人を想定し、料金を減免すると発表した。 対象は、地震が発生した7日午後10時41分から8日午前5時にかけて自転車を借りた人。当初30分の利用料にあたる基本料金165円はかかるものの、通常なら30分ごとに110円かかる延長料金を無料にする。地震で電車が止まって「帰宅難民」になったとみられる人による利用が増えていた。 同社のサービスは一定の地域内なら、借りた場所と異なる場所でも返却できる。具体的には、東京都心の11区で借りた人は、11区内なら別の場所で返せる。練馬区、横浜市、川崎市でも同様の扱いになる。同社広報は「自転車を利用した方は、早めに返却を」と呼びかけている。(山本知弘)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

医療的ケア児支援法が9月から 未来へ期待は?課題は?

 医療的ケア児支援法が6月に国会で成立し、9月18日施行された。胃ろうやたんの吸引、人工呼吸器などの医療的ケアが日常的に必要な子どもとその家族への支援を充実させることが目的だ。人工呼吸器を付けた子どもや家族で作る「バクバクの会」の新居(あらい)大作会長(50)は「まずは喜ばしい。これからがスタート」と歓迎する。 この法律のきっかけは2015年、荒井聡衆院議員(立憲)が東京都内の保育園を視察したときのことだ。そこには野田聖子・少子化相の長男で医療的ケア児の真輝(まさき)さん(10)が通っていた。荒井さんは野田さんに言った。「法律が整備されていないから、医療的ケア児を預かる施設がない。こういう子どもたちが差別されない世の中を作っていこうよ」 その年、超党派の国会議員などによる勉強会「永田町子ども未来会議」が発足。何度も議論を重ね、法律制定につながる。 野田さんは11年、真輝さん…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

Randy Arozarena homers and steals home to power Rays to win over Red Sox in Game 1

Randy Arozarena hit a solo home run and scored on a straight steal of home,…

フランス人監督が描く最後の日本兵 「ONODA」が見せた可能性

 太平洋戦争終結後もフィリピンで約30年潜伏した元陸軍少尉の故・小野田寛郎さんをモデルにした映画「ONODA 一万夜を越えて」が8日公開された。企画したのはフランスの新鋭アルチュール・アラリ監督。第三者の視点から見つめ直した“最後の日本兵”の物語が現代に作られたことの意味とは。「ONODA 一万夜を越えて」。小野田寛郎さんを演じた遠藤雄弥さん(左)(C)bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France cinéma「神話のような力がある」 1944年にフィリピンに派遣された小野田さんは終戦後もルバング島で74年の帰国まで潜伏を続けた。映画は実際の出来事をたどりながらそれぞれの場面では脚色も交え、過酷な状況で仲間を一人ずつ失いながらジャングルにとどまり続けた姿を2時間54分かけて描く。 「寛郎さんが語っていた『戦争は絶対に始めてはいけない』ということ、生きることの大切さ、平和の貴さがよく分かる」。小野田さんの親族、小野田典生さん(71)は映画を見てそう口にした。 「事実と違う部分もあるが、命令を頑(かたく)なに守って生き延びようとした姿が映像を通して解き明かされるようだった」と感じたという。「人と人とが殺し合う究極の悪事が戦争。私たちの平和な暮らしは多くの犠牲の上に成り立っている」「ONODA 一万夜を越えて」のアルチュール・アラリ監督=フランス・カンヌ、佐藤美鈴撮影 40歳のアラリ監督は父親との会話をきっかけに小野田さんの存在を知り、心を奪われたという。「誰もが興味を引かれる神話のような力がある。国や文化を超えて、人間とは何か、人間性の根幹に関わる普遍的なものを描きたかった」と語る。 小野田さんを演じた遠藤雄弥さんと津田寛治さんをはじめ日本人俳優を多数起用し、カンボジアのジャングルで撮影。7月のカンヌ国際映画祭で「ある視点」部門のオープニング作品として上映、注目された。 青年期の小野田さんを演じた34歳の遠藤さんにとっては「戦争というもの自体が教科書の中の出来事」。脚本や関連の文献を読み、なぜ30年近くもジャングルにとどまり続けたのかを考えた。 「上官から『君は特別だ』と言われて心酔するような、信じる強さというのが島にいる原動力になったととらえて、演じる上で大事にした」と話す。 アラリ監督は「時代を超えた普遍的なものを目指していた」と言うが、くしくも現代とも呼応する物語になった。「自らが信じることに全身を捧げて一つの世界に閉じこもる思考の過激化と孤独、見えない誰かに対する恐怖と想像力によって敵を生み出す陰謀論やフェイクニュースなど今の時代とつながった」「ONODA 一万夜を越えて」(C)bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France cinéma 映画はフランス、日本、ドイツ、ベルギー、イタリアの5カ国による国際共同製作で、フィリピン人俳優も出演。当事者の日本やアジアだけでなく、複数の視点から歴史を問い直す。そこには難しさもあるが、新たな可能性も見えてくる。記事の後半ではアラリ監督が脚本を書き進める中で変わっていた小野田さんの描き方、そして青年期を演じた遠藤雄弥さんと成年期を演じた津田寛治さんの両主演のインタビューを掲載しています。 小野田さんを描いたフィクシ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「会いたいお坊さん」は誰 H1法話グランプリ、初の奈良開催へ

 お坊さんが説く仏さまの教えに耳を傾けてみませんか。様々な宗派の若手僧侶が10月30日、古都・奈良でとっておきの法話を披露しあいます。登場するのは選考会を通った8組9人。題して、M―1グランプリならぬ「H1法話グランプリ2021」。「教えがすぐれている」「話術がたくみだ」。聴衆が選ぶ基準は法話だけではありません。法話はすべて平等に尊ばれるもの。選考基準は「もう一度会いたいお坊さん」です。実行委員会のメンバー。委員長の雲井雄善さん(中央)がポスターを持つ=2021年8月25日午後3時34分、奈良市、岡田匠撮影 宗派を超え、若手僧侶が法話を披露する「H1(エイチワン)法話グランプリ2021」が30日、奈良市のなら100年会館で開かれる。奈良での開催は初めて。全国公募で集まった僧侶のうち、選考会を通った8組9人が参加する。法話の腕前を競うのではなく、「もう一度会いたいお坊さん」を選ぶ。 実行委員会によると、H1には、仏の教えを説く法話を幅広く伝えたいという思いが込められている。新型コロナウイルスの感染拡大による不安をはじめ、現代社会が抱える問題は尽きない。多くの人が心のよりどころを失いかけている今、慈悲と共生の仏教精神を感じてほしいという。H1のHは、法話をローマ字にした際の最初のHだ。 2017年、栃木県の真言宗豊山(ぶざん)派の青年会が初めて開催した。18年には兵庫県の高野山真言宗の青年会が催した。一つの宗派にとどまらず、様々な宗派の僧侶に参加してもらおうと19年には神戸市の須磨寺で実験的な大会「H1法話グランプリ エピソード・ZERO」を開いた。実行委の呼びかけで7組8人が出た。2019年に須磨寺で開かれた「H1法話グランプリ エピソード・ZERO」の様子=2019年6月、神戸市、実行委員会提供 今回は初めて全国公募した。条件は全日本仏教会の加盟団体に所属する僧侶で45歳以下。4~6月の公募期間中に16宗派36組が応募し、10分までの法話の動画を寄せた。思想家の内田樹(たつる)さんや相愛大教授の釈徹宗(てっしゅう)さんらによる選考委員会が日蓮宗や臨済宗妙心寺派、天台宗など8組を選んだ。 当日の持ち時間は1組10分。オープニングセレモニーで奈良市立飛鳥中学校の生徒が書道アートパフォーマンスを披露し、釈迦の名号を紙に書く。それを舞台に掲げて魂を入れて本尊とし、そのもとで法話を繰り広げる。釈さんが審査員長、いとうせいこうさんやミュージシャンの後藤正文さんらが審査員を務める。審査員は10票、来場者は3票を持ち、投票する。2019年に須磨寺で開かれた「H1法話グランプリ エピソード・ZERO」の様子=2019年6月、神戸市、実行委員会提供 実行委員長で、天台宗能福寺(のうふくじ)(神戸市)の雲井雄善(ゆうぜん)住職(52)は「すべての法話は平等に尊ばれるもの。教義の優劣や話術の巧みさを競うのではなく、もう一度会いたい、話を聞きたいと思ってもらえるかが基準です」と言う。奈良での開催は「奈良は仏教のふるさとで、色んな宗派の色んな僧侶が集まるのには、ふさわしい場所」と説明する。 「今は仏教と民衆が乖離(かいり)してしまった。昔はお寺に多くの人が集まって仏さまの話ができた。若い僧侶は危機感を持っている。H1は他宗派の僧侶の法話を聞け、聴衆の反応も感じられ、研鑽(けんさん)の場になる。特に若い人たちに、もっと気楽に法話を聞いてほしい」 30日午後0時半からユーチューブで配信する。詳細はH1法話グランプリのホームページ(https://www.houwagrandprix.com/)。開催地元の奈良県からは唯一、華厳宗隔夜寺の中田定慧住職が選ばれました。記事の後半では、本番に向けた中田住職の意気込みなどを紹介します。■「仏さまの教え、伝えたい」…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル