「未接種の人を断れるのか」 行動制限の緩和、期待と苦悩の接客業

 11月ごろを念頭に新型コロナ対策の行動制限の緩和を目指すとする政府の方針に、長く苦しんできた宿泊や飲食業界に期待と困惑が広がっている。緩和を歓迎し、客をワクチン接種者に限る動きがある一方、「未接種者の入店を断れるのか」との懸念の声も出始めた。 東京都新宿区の宿泊施設「UNPLAN(アンプラン) Shinjuku」は11月15日から、ワクチンを2回接種した人だけが宿泊できるようにする。ワクチンが行き渡り、国の緩和策も始まるとされる時期だ。運営会社FIKA(フィーカ)(東京)の福山大樹代表は「安心して泊まれるようにしたい。国の緩和で接種済み証明の活用が広がってほしい」と話す。宿泊「接種済み」限定に 酔客入店「断るのは負担」 同社は都内2施設を含む4ホステルを運営する。新宿の施設は全17室のうち8室がドミトリー(相部屋)。共有のキッチンも備える。旅の情報交換など客同士の交流が売りで、若い世代に人気だったという。 しかし、コロナ禍で客の8割を占めた外国人客が消え、売り上げは8分の1に激減。福山さんは「相部屋や共有施設は感染リスクが高いと見られがち。再起にはイメージ払拭(ふっしょく)が必要だ」と考え、宿泊を接種済みの人に限定した。未接種者には同社運営の都内の別施設を案内するなど、「可能な限り配慮したい」と言う。 大阪府枚方市でバー「TAYUU(タユー)」など4店舗を経営する井関拓史さん(35)は、緩和策に懐疑的だ。 政府の発表では、接種済み証の提示などでグループ会食の人数制限を緩和すると例示された。だが、グループで1人だけ未接種だったり、証明書を忘れたりする客がいた場合はどうするのか。「客商売で、バーは酔客の来店も多い。入店を断るのは大きな負担。政府方針はすきだらけだ」と言う。医療現場「接種済みなら何をしてもいい、とならないか」 店には接種に慎重な従業員も…この記事は会員記事です。残り689文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「運命だったのかな」煙充満のトンネル、2人の勇気が同郷の命救った

国方萌乃2021年9月24日 8時21分 事故を起こし、トンネル内で炎上する車の中で動けなくなっている運転手を、和歌山県内の会社員の男性2人が助け出した。海南署は勇気ある行動をたたえ、2人に感謝状を贈った。 署によると、事故があったのは9日午前6時半ごろ。50代の会社員男性が運転する車が和歌山市毛見にある新毛見トンネルの南側入り口付近で縁石に乗り上げた。車体は回転しながら20メートルほど転がり、トンネル内でとまった。 海南市の会社員宮本康雄さん(39)は車で出勤中、車の横を通りかかった。車体はぼこぼこで、進行方向と逆を向いていた。運転席の男性が目をつぶり、ぐったりしているのが見えた。 近くに車をとめて様子を見に行くと、車のエンジン付近から火が出始めていた。「おっちゃん、動けるか」。ドアを開けて声をかけると、「動けない」の返事。男性の両脇に手を入れ、急いで車から引きずり出した。 そこに、湯浅町の会社員駒方章二さん(43)が駆け寄った。駒方さんも車で出勤中で、トンネルにさしかかった時、「3台ぐらい前を走っていた車が宙に浮くのが見えた」。車をとめ、通報した後、現場まで走って戻ってきた。 宮本さんが男性の両脇を、駒方さんが足を持ち、約180メートル先のトンネル北側の出口に向かった。 トンネル内には車の火災の影響で煙が充満していた。「体勢を低く」。駒方さんは元自衛隊員。その経験から宮本さんに声をかけて外を目指した。煙をあまり吸わずにすんだ。署は「いい判断だった」とたたえる。 出口付近では、通報を受けた海南署員も駆けつけ、男性をトンネルから外に運びだした。男性はその後救急車で搬送された。腰の骨を折るなどの重傷を負っていたが、命に別条はなかったという。 署は17日、「危険が伴う中、正しい知識で尊い命を救ってくれた」と2人に感謝状を贈った。贈呈式で、駒方さんは「僕らが救助している間、となりの車線を車が素通りしていった。自分の大切な人だったらどうするのかと思い、悲しかった」と振り返った。宮本さんは「助けられてよかった。運転手と駒方さん、僕も有田出身。助ける運命だったのかな」と話した。(国方萌乃)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

期限迫る食品、あなたは選ぶ? コンビニ業界「てまえどり」のススメ

数字は語る 本来食べられるのに捨てられてしまう食品ロス。農林水産省などによると、国内の食品ロスの量は600万トン(2018年度)と推計される。1人あたり毎日茶わん1杯分の食べ物を捨てている計算で、食材を無駄にしない様々な取り組みが行われている。10月は「食品ロス削減月間」。 内訳は事業系が324万トン、家庭系が276万トン。家庭で発生する食品ロスは、「食べ残し」(123万トン)、「未開封のまま廃棄」(96万トン)、「野菜の皮をむきすぎるなど食べられる部分の除去」(57万トン)の三つに分類される。 同省によると、20年度の食料自給率はカロリーベースで過去最も低い37%だった。大量の食料を輸入している一方で、その多くを捨てているのが実情だ。 食品ロス削減推進法の施行から10月で2年。国や自治体、事業者、消費者が連携した取り組みが進む。 消費者庁などは6月から、小…この記事は会員記事です。残り578文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「子どもアドボケイト」って何する人? 説明聞いた子どもの反応は

 子どもの意見表明権を保障するための子どもアドボカシーの取り組みが全国で始まりつつある。子どもの声を聴く「子どもアドボケイト(意見表明支援員)」と呼ばれる人たちを養成し、児童相談所の一時保護所や児童養護施設を訪問する活動だ。先進的に取り組む大分県を訪ねた。(編集委員・大久保真紀) 「アドボケイトはひとりでは難しいことをマイクのように言ってくれる人。マイクを使うとどうなる?」 8月、大分県中津市の児童養護施設「清浄園」。初めて園に来たアドボケイトの問いに、小学生たちが「みんなが聞こえる」と声を合わせた。「聴いた話は、話してくれた人がいいと言わなければだれにも話さない。秘密は守ります」と、アドボケイトは活動の説明を続けた。子どもアドボケイトは、どんな気持ちでも、困ったことでも、うれしいことでもなんでも聴いてくれる人です。100%子どもの立場に立ちます。アドボケイトの活動は、親と暮らせない子どもたちの生活にどんな影響があるのでしょうか。各地での取り組みを紹介します。 説明は、幼児、小学生、中高…この記事は会員記事です。残り3867文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

軽で65キロオーバーで走った疑い 道警、レーダー取り締まりで逮捕

2021年9月23日 18時00分 北海道警釧路署は23日、国道で法定速度を65キロオーバーした時速125キロで走行したとして、釧路市緑ケ丘1丁目、介護職員畑勇輔容疑者(29)を道路交通法違反(速度超過)の疑いで現行犯逮捕し、発表した。軽乗用車でドライブしていたといい、容疑を認め、「急いでいた」と供述しているという。 調べでは、畑容疑者は23日午後0時50分ごろ、白糠町和天別の国道38号で時速125キロで走行した疑い。法定速度は60キロ。助手席に同乗者を乗せてドライブしていたという。 署では21日からの「秋の全国交通安全運動」に合わせ、レーダー装置を使った速度超過取り締まりをしていた。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

5分以上高温の湯をかけたか 3歳児の殺人事件、容疑の男は否認

 大阪府摂津市のマンションで新村桜利斗(おりと)ちゃん(3)が死亡し、母親の交際相手の無職松原拓海(たくみ)容疑者(23)=羽曳野市=が府警に殺人容疑で逮捕された事件で、桜利斗ちゃんが5分以上にわたって高温の湯を浴びたためとみられる重いやけどを負っていたことが、捜査関係者への取材でわかった。 府警は、松原容疑者が桜利斗ちゃんの全身にしつように湯をかけ続けて死亡させたとみて、殺意があったと判断した。松原容疑者は調べに「湯を故意に浴びせていません」と容疑を否認しているという。 捜査関係者によると、桜利斗ちゃんは母親の長男で、摂津市鳥飼本町5丁目のマンションで暮らしていた。8月31日午後、母親と交際し、同居していた松原容疑者の119番通報で駆けつけた救急隊員が、全裸で倒れていた桜利斗ちゃんを病院に搬送したが、まもなく死亡した。死因は全身やけどによる熱傷性ショックだった。 捜査関係者によると、府警は…この記事は会員記事です。残り266文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

#ねえねえ尾身さん 「ルビコン川渡って」インスタライブ始めた狙い

 政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身(おみ)茂会長(72)が開設したインスタグラムが話題だ。フォロワーは8月末の開設から1カ月弱で約80万人に。18日夜には初のライブ配信を開催した。コロナ専門家の「顔」である尾身会長がインスタで発信する狙いとは。 18日午後8時。インスタグラムの画面に、尾身会長が登場した。不織布のマスクに、胸に「#ねえねえ尾身さん」と書かれた白いTシャツ姿。普段の会見よりもリラックスした雰囲気だ。 「どんな考えや悩みがあるのかを知りたいし、私たちの考え方も知ってもらい、双方向の対話ができれば」。尾身会長がアカウントを開設した理由を説明。事前に募った質問を司会役が紹介し、それに答える形でライブ配信は進んだ。「若者と対話の場を」持ちかけたのは尾身氏表現などをアドバイスしている早稲田大学大学院の田中幹人教授は「一方的な発信だけでなく、社会全体で議論し、選んでいくフェーズになってきている」と話します。この時期に双方向の発信を始めた経緯は。インスタの「中の人」を取材しました。 率直な質問に、尾身会長が次…この記事は有料会員記事です。残り1708文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

高岡大仏が初めて「たすき」 迫る衆院選を前に? いえ、別の理由が

2021年9月23日 21時00分 奈良、鎌倉の大仏と並んで日本三大大仏と称される高岡大仏(富山県高岡市)に23日、「たすき」がかけられた。迫る衆院選にちなんだ、というわけではなく、交通安全の祈願という。1933年に3代目として建立されて以来、たすき掛けは初めてだ。 23日は秋分の日で、1年に1度、白装束の高岡大仏奉賛会員たちが大仏にはしごかけて拭き清める「御身拭い」の日だ。富山県警高岡署がそれにあわせ、30日までの「秋の全国交通安全運動」の企画としてたすきを贈った。 端正な顔立ちの深緑色の大仏。秋晴れの青空に、「交通安全」と書かれた黄色いたすきが映えた。 管内の交通死亡事故が、既に昨年より1件多いという高岡署。車俊幸・地域交通官は「市のシンボルの大仏様の効果で、市民の意識が高まって事故がなくなってほしい」と言う。たすきを掛けているのは30日までの予定だ。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

入管死亡のスリランカ人ウィシュマさん、妹ワヨミさんが帰国の途

 名古屋出入国在留管理局の施設収容中に死亡したスリランカ人ウィシュマ・サンダマリさんの妹ワヨミさん(28)が23日、成田空港からスリランカへ帰国の途についた。監視カメラで撮影されたウィシュマさんの生前のビデオ映像を見て体調を崩し、日本滞在の続行が困難になったためで、帰国後、故郷で待つ母スリヤラタさん(53)に姉の死について説明するという。 ワヨミさんは出発前、成田空港で報道陣の取材に応じ「姉の死因も確定しないままで、ずっと怒りを感じている。入管は責任を受け止め、姉の死のようなことが二度と起きないよう、きちんと法律をつくってほしい」と語った。 ワヨミさんとともに5月1日に来日したもう一人の妹ポールニマさん(27)は日本に残る。入管庁に対してウィシュマさんの死の真相解明と、収容中の姉の姿を映した監視カメラのビデオ映像のうち、亡くなった3月6日までの13日分のデータの全面開示を求める働きかけを続けるという。(編集委員・北野隆一)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

14年前の強盗強姦容疑で逮捕 時効まで1年、別の事件から関与浮上

2021年9月23日 22時16分 14年前、女性から現金を奪って性的暴行を加えたとして、兵庫県警は23日、兵庫県姫路市打越の会社員、大塚修一容疑者(56)を強盗強姦(ごうかん)容疑で逮捕し、発表した。強盗強姦罪の公訴時効(15年)まで1年を切っていた。「全く覚えがない」と容疑を否認しているという。 捜査1課によると、大塚容疑者は2007年7月6日午前2時20分ごろ、同県加東市内の女性方に侵入し、刃物で脅して現金約4万4千円を奪ったうえ、強姦した疑いがある。 大塚容疑者は今年7月、別の事件の窃盗容疑で岡山県警に逮捕・起訴された。14年前の現場の遺留物が本人のものと一致した、と同課は説明している。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル