「海の八甲田山」伝える旧海軍の沈没艦発見 94年前、島根沖で衝突

 1927(昭和2)年夏、今の松江市美保関(みほのせき)町沖で旧日本海軍が起こした多重衝突事故(美保関沖事件)で沈没した駆逐艦とみられる船体が見つかった。地元の慰霊の会などが昨年から調査してきた。船体は真っ二つになっており、計119人が死亡した悲劇の歴史を静かに物語る。美保関沖事件で沈没した旧日本海軍の駆逐艦「蕨」=広島県呉市の大和ミュージアム提供美保関沖事件で沈没した旧日本海軍の駆逐艦「蕨」=広島県呉市の大和ミュージアム提供 事件は無灯火での訓練中に起きた。4隻が次々とぶつかり、駆逐艦「蕨(わらび)」が沈没し、駆逐艦「葦(あし)」が大破した。青森・八甲田山で1902年に199人が死亡した雪中行軍遭難事件と同じく演習中だったことから、「海の八甲田山」とも呼ばれてきた。 沈没した蕨の所在はその後わからず、地元で事件を語り継いできた「美保関沖事件慰霊の会」(松下薫会長、約70人)が昨年5月、調査に乗り出した。会員の高齢化が進み、事件を知らない人も増えるなか、船のありかを具体的に明らかにすることで、事件を後世に伝えていきたいと考えた。漁場名を手がかりに 地元の漁師の話では、蕨が沈んだとみられる海域に、「グンカン」「ワラビ」と呼ばれる漁場があった。音波で海底の凹凸を調べるマルチビームソナーで周辺を探索したところ、鳥取県琴浦町沖の水深97メートルの海底に巨大な人工物があるのを見つけた。島根半島東端の美保関灯台からは北東に33キロ離れている。地元慰霊の会の人たちは、94年前の事件で沈んだ駆逐艦の船体を確認しました。海底で静かに眠る船が私たちに伝えてくるものは――。 昨年9月、水中調査に実績が…この記事は有料会員記事です。残り1890文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

日大理事長宅を捜索 東京地検、病院工事めぐる背任容疑の関係先

 日本大学が発注した付属病院の建て替え工事をめぐり、日大の理事が大学側に数億円の損害を与えた疑いがあるとして、東京地検特捜部は8日、背任容疑の関係先として日大本部(東京都千代田区)などを一斉に家宅捜索した。学校法人トップの田中英寿理事長の自宅と学内の理事長室も捜索した。関係者への取材でわかった。 他に捜索に入ったのは、関連会社「日本大学事業部」(世田谷区)など。同社は日大が全額出資して2010年に設立され、関連施設の管理・運営などを行っている。 関係者によると、日大は20年、医学部付属板橋病院(板橋区)の建て替え工事の設計監理を、都内の設計事務所に二十数億円で発注した。この契約に関連し、日大側の数億円の資金が不当に流出した疑いがあるという。 特捜部は、日大事業部の取締…この記事は有料会員記事です。残り442文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

8月のみずほ大規模障害、故障機器で点検漏れ 「総点検」掲げたが…

 みずほ銀行で8月に起きた大規模システム障害の原因となった機器が、同行が実施するシステムの総点検で点検されていなかったことが明らかになった。総点検は今年初めの大規模障害を受けてみずほが実施した再発防止策の柱だが、結果的に点検が徹底されないまま、トラブルの芽が見過ごされた形だ。 8月の障害は店舗と基幹システム「MINORI(ミノリ)」をつなぐシステムのサーバー内の機器が19日夜に故障して起きた。複数あったバックアップへの切り替えもうまくいかず、みずほ銀とみずほ信託銀の国内すべての約520店の窓口で20日午前9時の開業から、振り込みや入金などの取引が一時的にできなくなった。 これに先立つ6月、みずほは…この記事は会員記事です。残り398文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

給食用「ひじきのり」から優しさ連鎖 小1のため書いた手紙が起点に

 四国在住の月見さんは3児の母だ。 4月から小学1年生になった長女は、給食で食べた「ひじきのり」が大好物。 プチプチした食感のひじきとトロトロののりが特徴の、ごはんのお供だ。 給食用のジャムなどと同じで、食べきりサイズで個包装されている。 5月ごろから、帰ってくると「給食で出たひじきのりが食べたい」と言うようになった。 受け流していたものの、あまりに食べたい、食べたいと言うものだから、月見さんは自作してみた。 長女の感想は「おいしいけど違う。これじゃない」。 ネットで調べてみると、タカ食品工業(福岡県みやま市)の通販サイトに「Feひじきのり」という商品があった。 給食用のジャムやマーガリンを作っている会社らしく、ひじきのりは10グラム入りが40個入って税込み700円だった。 9月5日が長女の7歳の誕生日なので、サプライズプレゼントとして渡そうと、2セットを頼むことにした。 ところが、注文したのは8月28日で、発送は一番早くて9月8日となっていた。 間に合わないなと思いつつ、備考欄にこんなメッセージを書いた。 「小学1年生の長女が給食でひじきのりを食べて衝撃を受けたようで、いつも食べたいと言っています。9月5日が誕生日なので、その日に間に合えば大変うれしいです」 工場の都合もあるから無理だとわかっていたが、娘がひじきのりが大好きだということが伝われば、という思いだった。 この一文を書いたことが、月見さんも、タカ食品工業も予想だにしなかった「優しさの連鎖」につながることになる。 注文を受けたタカ食品工業で…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

東名あおり運転めぐるデマ、名誉毀損で罰金確定へ

阿部峻介2021年9月8日 18時58分 東名高速で2017年に夫妻が死亡したあおり運転事件をめぐり、無関係の会社を「逮捕された容疑者の勤務先」と思わせる書き込みをネット上にしたとして名誉毀損(きそん)の罪に問われた杉浦明広被告(54)=埼玉県=の上告審で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は被告側の上告を退けた。罰金30万円とした一審・福岡地裁小倉支部判決が確定する。6日付の決定で、詳しい判断は示していない。 杉浦被告は、あおり運転をした人物の身元を探る掲示板に、事件と無関係の会社のホームページを記すなどして名誉を傷つけたとして在宅起訴された。苦情や無言の電話が相次いだ同社は、一時的に休業した。 被告側は「具体的な事実を指摘していない」と無罪を主張したが、地裁小倉支部は迷惑電話が続いた結果も考慮して「同社の信用や評判に疑問を生じさせうるもの」と認定。二審・福岡高裁も追認していた。(阿部峻介)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「痴漢です!」泣き叫んでも、助けはなかった 被害者は幾度も傷つく

 私が叫んだらどうなるか。触られながら、いつも想像した。 《周りにやばいヤツだと思われるかも。人違いかもしれない。逆切れされて殴られるかもしれない》 そう思うと、声も出せなかった。 電車の中で男性たちの手が体に触れる。そのたび、恐怖で頭が真っ白になり、体は硬直した。子どもへの性暴力第5部② イラスト・花岡紗季 初めて触られたのは、高校に入学した翌日だった。東京都の殿岡たか子さん(23)=活動名=は、その朝の感触をいまでもはっきり覚えている。 高校から始めた電車通学は超満員。151センチの身長では、息をするだけで精いっぱいだった。何かがお尻に当たった。乗車してすぐトントンとドアをノックでもするようなリズム。それがぐるりと裏返り、手のひらだとわかった。何度かお尻をなでられ、ぎゅっと握られた。 《手がぶつかっているだけなのかも。満員電車ってこんなこともあるのかもしれない》 真新しい制服のスカートはひざがすっぽり隠れる長さで、ブラウスのボタンも一番上までしっかり留めていた。痴漢なんて、漫画やドラマの世界のできごとだと思っていた。5回ほど力強く握られ、やっとの思いで腰を少しずらすと手は人混みに引っ込んだ。乗車時間わずか10分。電車を降り、高校まで泣きながら歩いた。校門に立っていた男性教諭が事情を聴いてくれ、保健室で休んでから授業に出た。電車内で毎日のように痴漢被害にあった経験がある殿岡さん=東京都内、井手さゆり撮影子どもの性被害について考える企画「子どもへの性暴力」第5部は、通学路や自宅での被害、痴漢や性的な盗撮など、日常生活に潜む性暴力について取り上げます。 痴漢は、翌日から毎日のように続いた。車内で他の乗客から死角になるような角にグイグイと体ごと押しやられたり、スカートをたくし上げられたりしたこともある。 あるとき、下着の中に手を伸…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

赤木ファイル背表紙に「M事案」「取扱注意」 裁判所が原告側に説明

米田優人2021年9月8日 19時12分 学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを苦に自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)が残した「赤木ファイル」の背表紙に「(取扱注意)『M事案』」などと書かれていたことが8日、分かった。赤木さんの妻・雅子さん(50)が国などを相手に起こした訴訟で原本を確認した大阪地裁が、雅子さん側に対して明らかにしたという。 国は6月、赤木さんが残した備忘記録やメールのコピーを雅子さん側に開示した。だが、雅子さん側はメールの発信者などが黒塗りにされており、一部に欠落があるなどと主張。地裁は国から原本の提出を受け、内容を確認していた。 雅子さんの代理人によると、地裁はこの日あった非公開の手続きで、A4判の青色のファイルの背表紙に「M事案」「本省指示(調書等)備忘」などの文字が印字されていた、と説明したという。「M事案」の語句は、国が6月に開示したメールの中にもあり、「森友学園についての事案」を指すとみられる。 雅子さんは「夫は苦悩しながらファイルを残したと思う。黒塗りの部分もあり、知りたいことがある」と語った。(米田優人)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

札幌のYOSAKOIソーラン、コロナで2年連続中止に

【動画】2019年のYOSAKOIソーラン祭りの模様=戸田拓撮影 札幌市で開催される「YOSAKOIソーラン祭り」が、今年も中止になった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて当初は延期を発表し、開催の道を探ったが、コロナ収束が見通せず実施断念を決めた。 1992年から28回開催されてきたが、昨年に続いての中止となった。8日、組織委員会が発表した。 今年は6月9~13日に開催を予定していた。しかし、全国的な感染者増を受け、組織委は4月末に延期を発表。観客数の制限や会場の縮小など、開催方法について協議を重ねながら、10月下旬の開催をめざしていた。だが、現在も緊急事態宣言が発令されていて、収束の見通しが立たないなかでの実施は、地域の理解が得られないと判断した。 一昨年は、約280チーム、2万8千人が参加し、200万人以上の観客を集めた。(佐藤亜季)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

拾われた現金、何度も同じ人物が取りに…詐欺容疑の駅員、端末悪用か

2021年9月8日 19時30分 駅に届けられた現金の落とし主を装い、警視庁の遺失物センターを訪れてだまし取ったとして、警視庁は8日、東武鉄道の関連会社員、中村玄容疑者(27)=東京都墨田区押上3丁目=を詐欺容疑で逮捕し、発表した。調べに対し「金が欲しかった」と容疑を認めているという。 中村容疑者は東武鉄道の駅の係員。現金が拾われた日時や場所などを調べることができる社内の端末を悪用したとみられるという。 捜査2課によると、逮捕容疑は7月、東京都文京区の警視庁遺失物センターで落とし主になりすまし、4月に都内にある東武鉄道の駅で拾われた現金5万円の返却を受けたというもの。センターでは、拾得物が現金のみの場合、落とした際の状況を細かく説明できれば落とし主として引き渡していたという。 中村容疑者は5月以降、同様に拾得物の現金を計約30万円詐取したとみられるという。中村容疑者が何度も現金を受け取りに来ていることをセンターの職員が不審に思い、発覚した。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「従軍慰安婦」「強制連行」5社が教科書訂正 政府答弁受け

 「従軍慰安婦」という用語について「誤解を招く恐れがある」などとする答弁書を政府が閣議決定したことを受け、中学社会、高校地理歴史、公民科の教科書を発行する3社から教科書計10点の記述計11カ所について訂正申請があり、承認したと文部科学省が8日発表した。「従軍」の記述を削除する社や、記述は残したまま政府見解を併記する社など、対応は分かれた。 政府は4月27日、「『従軍慰安婦』または『いわゆる従軍慰安婦』ではなく、単に『慰安婦』という用語を用いることが適切」との答弁書を閣議決定。一方、「いわゆる従軍慰安婦」という用語を使った1993年の河野洋平官房長官談話は「継承」する立場も記した。これを受け文科省は5月、教科書会社20社近くを対象に説明会を開き、訂正申請は「6月末まで」と示すなどしていた。関係者によると、これまで出たことがない訂正勧告の可能性にも触れたという。 文科省によると、「従軍慰安婦」の記述については、山川出版社、実教出版、清水書院の3社から6月末に訂正申請があり、萩生田光一文科相が8日承認した。山川出版社は、現在使われている中学社会科や高校の日本史の教科書にある「いわゆる従軍慰安婦」という記述をなくしたり「従軍」を削ったりした。一方、清水書院は来年度から高校で使われる「歴史総合」の教科書で、「いわゆる従軍慰安婦」の記述は残したまま、注釈に「日本政府は、『慰安婦』という語を用いることが適切であるとしている」との政府見解を付記した。 また、戦時中に朝鮮半島の人々を日本で働かせたことを「強制連行」と表現することについても、政府が「適切でない」との答弁書を4月27日に閣議決定しており、これらの3社と東京書籍、帝国書院の計5社が、「徴用」「動員」などと計28点で計53カ所の記述を訂正した。 中学の社会科や高校の地理歴史、公民科の教科書は、2014年の検定基準改正で「政府見解がある場合はそれに基づいた記述」をすることが定められた。(伊藤和行)各教科書会社の主な訂正内容…この記事は会員記事です。残り350文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル