森会長発言にスポンサー企業が苦言 組織委は声明と説明

 東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)の女性蔑視発言をめぐる批判が広がり、多様性の尊重をうたう大会の理念に賛同して支援してきたスポンサー企業から組織委に苦言が示されている。組織委は7日夜、改めて声明を発表。8日夜、スポンサー企業に改めて一連の経緯について説明した。  問題になったのは、3日にあった日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で出た「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」などの発言。森会長は4日の会見で謝罪し、撤回したが、その際の対応も「反省していない」などと批判された。  日本生命は朝日新聞の取材に「発言は女性蔑視ともとらえられ、男女平等がうたわれている五輪・パラリンピックの精神に反する表現で大変遺憾。組織委に対しても伝えた」と答えた。  東京海上日動火災保険の広報担当者も「五輪・パラリンピックの理念に反するもので、誠に遺憾だ。引き続き、多様性と調和を掲げる東京大会の成功、そして安心・安全な大会になるよう尽力していく」とした。  多くのスポンサー企業は海外でもビジネスを展開している。ある企業は「メッセージを出して終わりではダメ。森会長の発言のような大会にはしないときちんと分かるようにしてほしい」と組織委に伝えたという。幹部は「海外からどう見られているか。もはや会長が辞める辞めないという次元の低い問題ではない」と話す。  組織委は昨年12月末、国内スポンサー全68社が契約延長に合意したと発表。新型コロナの影響で経営に深刻な打撃を受けた企業もあるなか、追加協賛金は総額220億円にのぼった。  SNSでは「スポンサーにとっても迷惑だ」という声がある一方で、「なぜ辞任を求めないのか」「抗議の声をあげるべきだ」との意見も出ている。  P&Gの広報担当者は「お客様からいただく様々な意見の中には、批判的なものもある」とした上で、「私たちは平等な社会の実現など五輪のめざす精神、理念に共鳴しており、今後もパートナーとしてそのような大会が実現するよう協働していきたい」と答えた。  ある企業はジェンダー平等を掲げる国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)に賛同し、協力企業に順守を求めている。幹部は「時代錯誤も甚だしい発言。取引先だったら調達を打ち切る」と話した。  このほか企業の広報担当者からは「3月に聖火リレーが始まる大事なタイミングで水を差された。開催に前向きな人も大勢いるなか、先頭に立つ人とは思えない」「会社としては何も対応もしないし、検討もしない。別に森さんのスポンサーじゃない」といった声も上がった。  東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言に反発が広がったことを受け、組織委は7日夜に公式サイトで発表した声明で「森会長の発言は五輪・パラリンピックの精神に反する不適切なもの」と認めた上で「ジェンダー平等は東京大会の基本的原則の一つ」と述べ、差別のない多様性ある大会を追求すると表明した。  参加予定選手のうち五輪は48・8%、パラは40・5%が女性で「最もジェンダーバランスの良い大会」と訴えた。  また、大会ボランティア約8万人にも、5~6日にかけて「不愉快な思いをされた皆様に深くおわびします」と謝罪メールを送った。ボランティアの辞退者数について「会長の発言後に増えているということは特段ない」とした。  関係者によると、組織委は週内にも臨時の会合を開き、女性蔑視発言問題について協議する予定だ。  オフィシャルパートナーの1社である朝日新聞社の広報部は「森喜朗氏の女性差別発言について、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長をすみやかに辞任するよう求める社説を2月5日付朝刊に掲載しています」とコメント。社説では、女性指導者の育成と女性幹部の登用はスポーツ界の喫緊の課題とした上で、「その取り組みを揶揄(やゆ)し、女性全般を侮辱した責任は極めて重い」と指摘した。…

交番襲撃、元自衛官に死刑求刑 弁護側は「無期懲役を」

 富山市で2018年、交番が襲撃され、警察官と近くの小学校の警備員が殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われた元自衛官島津慧大(けいた)被告(24)の裁判員裁判の公判が8日、富山地裁(大村泰平裁判長)であった。検察側は「凶悪非道な犯行」として死刑を求刑。弁護側は、拳銃を奪うために警察官を殺害しておらず、強盗殺人罪は成立しないと訴え、無期懲役を求めた。  被告は初公判以降、法廷で何も話していない。判決は3月5日の予定。  検察側は、被告の社会不適応の一因に自閉症スペクトラム障害(ASD)があった点を認めたうえで、「人への暴力を選んだのは被告の意思」として犯行への影響は間接的・限定的だと主張。周囲がASDに気付かず、社会的支援を受けられなかった点なども、「刑を軽くする方向に考える余地はない」とした。  起訴状によると、島津被告は18年6月26日、奥田交番付近で稲泉健一警部補(当時46)=殉職により警視=をナイフで刺殺して拳銃を奪い、その後、富山市立奥田小学校の正門付近で警備員の中村信一さん(当時68)を拳銃で撃って殺害したとされる。(竹田和博) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

国内で新たに1216人が感染 大阪では死者1千人超え

 新型コロナウイルスの国内感染者は8日午後8時現在で新たに1216人が確認された。2日連続で2千人を下回った。一方で、全国の死者は83人増えた。大阪府では新たに11人の死亡が確認され、累計の死者が1009人となり、東京都に次いで1千人を超えた。  東京都の新規感染者は276人。昨年12月7日(299人)以来約2カ月ぶりに300人以下となった。8日までの1週間の平均新規感染者は553・3人と、前週比で68%。都基準の重症者数は前日より7人減って104人となった。  大阪府では新たに119人の感染を確認。直近7日間の平均が300人以下となり、緊急事態宣言の解除を政府に要請するために府が設けた独自基準を満たした。府は実際に解除を要請するかどうかを、京都府や兵庫県と協議したうえで、専門家の意見もふまえて判断する。  また厚生労働省は、英国で報告されている変異ウイルスが、兵庫県と埼玉県で新たに8人から見つかったと発表した。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

五輪ボランティア390人が辞退 森喜朗氏の発言受け

 東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)の女性蔑視発言の後、会場運営に関わる大会ボランティア約390人が辞退したことがわかった。組織委が8日夜、公表した。聖火ランナーについても、発言を理由に2人が辞退を希望したという。  組織委は8日正午までの数を公表。ボランティアの辞退者も大半は発言を理由に挙げたという。組織委のコールセンターには電話やメールで約4550件の意見が寄せられた。  一方、都によると、駅などで活動する都市ボランティアの辞退は8日夕方時点で53件に達した。都に寄せられた発言に関する電話やメールは計1162件。「会見でも謝罪しているように見えなかった」「日本社会全体が海外から誤解を招く」といった意見が多かったという。  問題になったのは、3日にあった日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で出た「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」などの発言。森会長は4日の会見で謝罪し、撤回したが、その際の対応も「反省していない」などと批判された。(斉藤佑介、長野佑介) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

原発不正入室問題、東電に追加検査へ 「関門」機能せず

 原子力規制委員会は8日、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で昨年9月に東電社員が他人のIDカードで中央制御室に入った問題について、「安全確保に影響がある」と認め、東電に追加の規制検査を行うことを決めた。東電が不正入室を報告した2日後に、柏崎刈羽の再稼働に向けた審査が事実上終結したが、更田豊志委員長らは今年に入るまで不正入室を知らなかった。  規制委によると、不正入室は昨年9月20日に発生。自分のIDカードを見つけられなかった東電社員が、他人のIDカードを無施錠のロッカーから無断で持ち出し、その人物になりすまして認証手続きを通過し、中央制御室に入室した。  東電は核物質防護規定に反するとして、翌21日に規制委の事務局である原子力規制庁に報告した。規制庁は幹部まで情報をあげたが、軽微な事案として委員長らには四半期ごとの定期報告で伝えればよいと判断したという。今年1月に報道で発覚。その後、ミスやトラブルの深刻さを評価する手続きを進めていた。  規制委はこの日の非公開の臨時… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

海自潜水艦、貨物船と衝突 高知県沖、見張りにミスか

 8日午前11時ごろ、海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」が、高知県沖で民間船と衝突した。潜水艦の乗組員3人が打撲などの軽傷。関係者によると、民間船は香港籍の貨物船で、接触に気づかなかったとみられ、けが人の情報はないという。通報を受けた海上保安庁が、詳しい状況を調べている。国の運輸安全委員会も8日、船舶事故として調査を始めた。  海上幕僚監部などによると、発生場所は高知県土佐清水市にある足摺岬の南東約50キロ。「そうりゅう」には約65人が乗艦して訓練中で、潜望鏡やアンテナが海面に出る「潜望鏡深度」まで浮上するところだった。民間船を確認したが、よけきれなかったという。  海上自衛隊のホームページによると、そうりゅうは全長84メートル、幅9・1メートル、深さ10・3メートル、速力は約20ノット(時速37キロ)。広島県呉市の海自第1潜水隊群の所属で、2009年に就役した。今回の事故で潜望鏡やアンテナが壊れたが、自力で航行可能で、海保の指示に従って高知港(高知県)に入港する予定という。  通常、潜水艦が浮上する際は、海面に船舶がいないかどうかを潜望鏡やソナーで事前に確認する。海保や自衛隊が原因を確認中だが、海自幹部は「船から潜水艦は見えず、絶対にあってはならない事故。ソナーなどによる見張りにミスがあったのではないか」と話した。  一方、衝突した貨物船は、海上保安庁関係者によると香港船籍の「オーシャン アルテミス」で、鉄鉱石を積んでいた。乗組員にけが人はなかったという。  船舶の位置情報を公開するサイ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

ゲイ公表の日テレ社員が番組配信 線引き社会から卒業を

 誰に対しても優しい、多様性を受け入れる社会をつくるには――。そんな問いかけをする討論番組「Update the world」のネット配信が始まった。ゲイを公表して報道番組を制作する日本テレビのプロデューサーが企画した。  企画したのは報道番組「news zero」プロデューサーの白川大介さん(39)で、テーマは「多様性」だ。「ニュースは限られた時間で『何が起きたか』を伝えるのが中心だけど、『どう受け止め、行動したらよいか』を視聴者と考えたかった」という。  1月31日の初回の話題は「LGBTQ(性的少数者)」。《初対面の人に「彼氏/彼女、いるの?」って聞いたこと、ありませんか?》。そんな問いから始まり、クリエーティブディレクターの辻愛沙子さん(25)、お笑いトリオ「パンサー」の向井慧さん(35)、ゲイでライターの松岡宗嗣さん(26)、トランスジェンダー女性で広告会社員の岡部鈴さん(57)、日テレアナウンサーの岩本乃蒼さん(29)らが、当事者の心情や周囲の接し方について議論した。 拡大する番組終了後、出演者と話す白川大介さん(右)。中央はクリエイティブディレクターの辻愛沙子さん、左は日本テレビの岩本乃蒼アナウンサー=東京・汐留の日本テレビ、嶋田達也撮影  配信中には視聴者からSNSで「LGBTQの人はどんな言葉、態度、行動に傷つくのか知りたい」「今後は気をつけたい」などの投稿が相次いだ。自身も出演した白川さんは「当事者以外の人の目線を大事にしたいという番組の趣旨が、届いたのかもしれない」とほっとした表情を見せた。 初回は配信サービス「TVer」(https://tver.jp/corner/f0066235)で視聴できる。第2回は2月26日で、話題は「ミックスルーツ」です。 白川さんが自身のこれまでの葛藤と、家族との「和解」に至るまでを語ってくれました。  大阪府出身の白川さんは中1で自分をゲイと自覚した。  親しい友人に少しずつ打ち明け… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

エクステ卸売会社大手、1億円超の脱税容疑 国税局告発

 東京国税局査察部は8日、消費税約1億3千万円を脱税したとして、東京都墨田区のヘアエクステンション(付け毛)卸売会社「ジェンティール」と、同社の青木信貴代表(41)、何沙寧・元取締役(40)の2人を消費税法違反容疑で東京地検に告発した、と発表した。同社はヘアエクステンションの国内シェアがトップクラスだという。  消費税は、売上時に受け取った消費税額から仕入れ時に支払った消費税額を差し引いた金額を納める仕組み。発表によると、2人は仕入れ時に支払う消費税額を過大に計上して納める消費税を少なくする方法で、2019年3月までの3年間で消費税約1億3千万円を脱税した疑いがある。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

東海道線が新駅設置へ 2032年ごろ、大船―藤沢間に

 JR東海道線の大船駅(神奈川県鎌倉市)と藤沢駅(同県藤沢市)の間に、新駅(仮称・村岡新駅)が設置される見通しになった。JR東日本と神奈川県、藤沢、鎌倉両市が新設に合意し、8日に覚書を締結した。設計に1年半~2年、工事に約8年かかり、開業は2032年ごろの見通し。同社管内の東海道線の新駅設置は、1925年の熱海(静岡県熱海市)以来となる。  新駅は鎌倉市との境に近い藤沢市宮前付近に設置される予定。事業費は約150億円を見込み、県が30%、2市が各27・5%、JR東日本が15%負担する。県と2市は18年12月に新駅の設置協議会を立ち上げ、JR側に新駅の設置などを求めてきた。新駅予定地の近くにはJRの車両センター跡地もあり、周辺も含めた約31ヘクタールに鎌倉市の庁舎を移して住宅や商業施設を開発する計画もある。(末崎毅) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

大阪の暑さ、21世紀末は連日危険レベル 熱中症3倍に

 地球温暖化の影響で21世紀末の大阪市は、8月には連日のように「危険レベル」の暑さとなることが、環境科学者らの共同研究によるシミュレーション予測で明らかになった。積極的な対策を取らなければ、熱中症による搬送者は現在の3倍になると見込まれるという。  日本気象協会関西支社(大阪市)が、大阪市立環境科学研究センターの桝元慶子研究員(環境科学)と、兵庫県立大環境人間学部の奥勇一郎准教授(気象学)の2人から助言を受け、「熱ストレス増大による都市生活への影響調査」をテーマにまとめた。環境省からの委託を受け、3年かけて研究し、昨年6月に公表された。  シミュレーションしたのは、気温に湿度や輻射(ふくしゃ)熱を加味して算出する体感の暑さ指数(WBGT)で、31度を超えると危険レベルと定義される。  国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の試算に基づき、今世紀末までに8月の平均気温が3・6度上がるとの想定を元に、2013年8月6日~23日のデータから、温暖化が進んだときの状況を予測した。この年は、高知県四万十市で国内観測史上最高(当時)の気温41・0度を記録するなど猛暑続きの夏だった。  シミュレーション予測を担当した奥准教授によると、大阪市では晴天の場合、日中は暑さ指数が危険レベルの31度以上で、通常は気温が下がる夜から明け方にかけても、厳重警戒レベル(28度以上31度未満)にとどまる日が多かった。  こうした予測から、現在は大阪市内の熱中症による搬送者数は1日50人以下だが、温暖化により21世紀末には100人を超える日が多くなり、月間で3倍以上になると見積もられた。  奥准教授は「都市化によるヒー… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル