書評家が語る「推し、燃ゆ」とアイドル論 三宅香帆さん

 「病めるときも健やかなるときも推しを推す」――。アイドルの応援に全てを捧げる高校生の姿を描き、芥川賞を受賞した宇佐見りんさんの小説「推し、燃ゆ」が話題を呼んでいる。女性アイドル好きの書評家・三宅香帆さん(27)に、「推し、燃ゆ」に込められたテーマや「今の時代に求められるアイドル像」について語ってもらった。  ――三宅さんにとって女性アイドルとは、どんな存在ですか?  同世代で一番「仕事を頑張っているのを見せてくれる女の子」という感じですね。  アイドルはデビュー当初から卒業に至るまでずっと追いかけていると、その子がどういうふうに成長したのかがすごくよく分かります。それが面白くて、よくできた少女漫画を読んでいるような気持ちで見ています。  大人数アイドルはどの子が人気が出るかが最初は分かりません。だから、「誰が主役になるか分からない、筋書きが分からない群像劇」みたいな感じで、見ていて楽しいです。  ――「推し、燃ゆ」を読んで、どんなことを感じましたか?  「推し」(応援するアイドル)… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

子どもの笑顔に私も笑顔 被災地通い続ける内田恭子さん

 フリーアナウンサーの内田恭子さんは10年前の東日本大震災直後から、宮城県女川町の保育所で、絵本の読み聞かせを続けてきた。初めて町を訪れたのは、震災から2カ月後。ボランティアの受け入れ態勢が整い始めたころだった。 〈うちだ・きょうこ〉1976年生まれ。学生時代の多くを米国で過ごした。慶応大卒。2児の母。アナウンサーで活躍したフジテレビを06年に退社、フリーアナウンサーに転身した。その後、プライベートで読み聞かせグループ「VOiCE」を設立した。  「私にもなにかできないか」とニュース映像を見ていてもたってもいられなくなって子育て中の友人たちに連絡すると、みな同じ思いを抱いていました。  当時はちょうど長男を産んだばかりで、とにかく子どもを守らなくてはという気持ちが芽生えていたんだと思います。車に食料を詰め込んで、知り合いが紹介してくれた女川の避難所に数人と向かいました。初めての炊き出しです。町の様子に何も言葉が出なくて、「2、3年でどうにかなるものではない」と痛感しました。  《その夏に女川の保育所を紹介されて以降、年2回の訪問と読み聞かせが恒例になった》 モットーは「無理せず…」  きっとご家族を亡くされてつら… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

貯水槽に足首ない遺体 遺棄容疑で2人を逮捕へ 千葉

 千葉県印西市の防火貯水槽内で昨年10月、左足首のない男性の遺体が見つかる事件があり、知人の男2人が遺体を遺棄した疑いが強まったとして、県警は8日にも、2人を死体遺棄容疑で逮捕する方針を固めた。県警はすでに暴力団幹部の男ら男女3人も同容疑で逮捕しているという。捜査関係者への取材でわかった。  遺体は全身に複数の損傷があったといい、県警は、男らが殺害に関与した可能性も視野に捜査する方針。  捜査関係者によると、5人は昨年10月21日ごろ、印西市小林の防火貯水槽内に、運送業宮内孝介さん(当時46)=千葉県成田市はなのき台3丁目=の遺体を遺棄した疑いが持たれている。印西市内の別の場所では、切断された宮内さんの左足首と、宮内さんの血液が付着した男らのものとみられる衣服が見つかったという。県警は、男らが宮内さんの左足首を切断し、遺体を貯水槽に遺棄したとみている。  県警によると、宮内さんの妻が昨年10月24日、「16日に1人で外出後、連絡が取れない」と成田署に行方不明者届を提出。27日には、事情を知る男性から「宮内さんがトラブルに巻き込まれたようだ」と情報提供があり、県警が28日に遺体を発見していた。司法解剖の結果、死因は首の左右の動脈の損傷による出血性ショックの疑いだった。(小木雄太、福冨旅史) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

身長100センチの子育て 「できるはずない」を超えて

 身長100センチ、体重20キロ。コラムニストの伊是名夏子さんは、「できない」と反対されることの多い人生です。出産や子育てもしかり。しかし、何事も「あきらめない」をモットーに、応援してくれる人を増やし、思いをかなえています。 目標は「おなかで胎児を1000gまで育てる」  7歳の息子と5歳の娘がいます。身長100センチ、体重20キロの小さな私が産むことに、周囲は心配し、反対しました。  これまでもたくさんの反対に遭ってきました。普通高校や東京の大学への進学、大学で知り合った夫との結婚……。でも、できないことが多いからこそ、準備する。あきらめなければ必ず応援してくれる人がいる。そう信じてきました。子どもを育ててみたいという気持ちも、私にとっては自然なことでした。  最初の難関は医師を見つけることでした。障害を理由に出産は無理と考える医師は多いです。産婦人科に行っても、診察台に乗せてももらえず、形だけの問診で済まされることもありました。同じ障害の友だちに相談しながら信頼できる医師を探し、出会えたことが支えとなりました。  養子も考えていましたが、2人の子を授かりました。  目標は妊娠27週。胎児が1千グラムになるその時期までおなかの中で育てられれば、高い確率で命を救えます。しかし、胎児の成長に伴い、私の呼吸が苦しくなったり骨折したりする危険がありました。  医師はいつも「できるところまでやってみよう。体が苦しくなったら取り出せばいい」と言ってくれました。同じ障害で出産した先輩もいますが、私ほど小さな人はほぼ前例がないようです。何が起こるかは医師にも予測できません。  無理をせず、安全な生活を送ろうと工夫しました。横になったまま車いすに乗れるよう、座面にホームセンターで買った板を結束バンドで取り付けて改造。家の中での移動には、100円ショップで見つけた車輪付きの植木鉢置きを使いました。  幸い経過は順調で、目標を超える35週、帝王切開で出産しました。2160グラムの男の子。この子が入ってたんだー、やっと会えたーと思いました。 「無理」を前提に質問攻め  ショックだったのは退院時のこ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会…

クールな「相棒」と狩りに夢中 訓練重ねる20歳の鷹匠

 オオタカやハヤブサを放ち、キジやカモを捕らえる「鷹匠(たかじょう)」に憧れ、訓練を重ねる女性が山梨県富士河口湖町勝山にいる。旅館従業員の篠田朔弥(さくや)さん(20)だ。  篠田さんが所属する「諏訪流放鷹(ほうよう)術保存会」(東京都青梅市、大塚紀子事務局長)によると、鷹狩りは平安時代の貴族や天皇に親しまれ、15世紀以降は戦国時代や江戸時代の武士にも広く愛好されたという。  篠田さんは中学2年の時、海外から雄のオオタカ「颯雅(そうが)」を購入。2年前、諏訪流の認定試験に合格し、鷹匠になった。  毎朝2時間、左手に颯雅を止まらせ、自宅近くの河口湖畔を散歩するのが日課だ。「信頼関係を育てるのに欠かせません」。片足で止まったり羽を膨らませたりするしぐさは、鷹が安心している証しだそうだ。  自宅横の雑木林で飛翔(ひしょう)訓練もしている。円を描くように左手を振ると、颯雅は低く飛び出し、100メートルほど先のアカマツの先端に止まった。餌になるウズラの肉片を振ると左手に舞い戻った。狩猟期間中はキジを捕まえることもある。  定期的に保存会の講習会に参加し、会員との情報交換も欠かさない。「犬や猫などのペットと違い、鷹の愛情表現はそっけない。そんな鷹との共同作業で狩りを成功させるのが魅力です」(河合博司) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

かんぽ巡る議事録、要約はダメ NHKに全面開示求める

 NHK経営委員会が2018年、当時NHKの会長だった上田良一氏を厳重注意した問題で、NHK自身が設置する第三者機関は前田晃伸会長に対し、議論の経緯が分かる経営委議事録を全面的に開示すべきだと指摘する答申を出した。現在は、当時の議論の要約が公開されている。  上田氏への厳重注意を巡っては、「クローズアップ現代+」が2018年7月、同4月に報じたかんぽ生命保険の不正販売問題の番組の続編に向け情報提供を呼びかける動画をネットで流し、日本郵政グループがNHKに抗議、同局の最高意思決定機関の経営委にもガバナンスの検証を求めた。これを受け経営委は同10月23日、ガバナンス強化名目で上田氏を厳重注意した。議論の中で森下俊三委員長代行(現委員長)らが会長を前に番組制作手法を批判するなどしたとされ、放送法が禁じる経営委員の番組への干渉にあたるとの指摘もある。  放送法は経営の透明性をはかるため、委員長に経営委の議事録作成と公表を義務づけている。第三者機関「NHK情報公開・個人情報保護審議委員会」が4日付で出した答申によると、厳重注意を巡っては、「各経営委員が率直な意見を述べ合い、突っ込んだ検討が行われていることが窺(うかが)われる」内容の逐語的な議事録が存在。「会長に係るガバナンスの問題というような運営上の問題について、各委員がどのような意見を持ち、どのような議論が行われ、どのような結論に達したのかについては、より強く透明性が求められる」としている。  NHK側は「非公表を前提とした審議・検討に関する内容。開示することにより、その審議、検討または協議が円滑に行われることを阻害するおそれがある」などと主張したが、答申は「肯定できない」とし、開示すべきだと結論づけた。  また答申は「要約された文書は開示の求めの対象文書との同一性を失ったもの。情報公開制度は、対象文書をありのままに見せることが当然の大前提で、不開示事由がある場合は黒塗りするなどして回答するもの」「公開制度の対象となる機関自らが対象文書に手を加えることは制度上予定されていないことであり、それは対象文書の改ざんというそしりを受けかねない危険をはらむ」と指摘。「視聴者に対する十分な説明責任を果たすことが求められており、議事録を速やかに開示することが、今後のNHKおよび経営委の運営にとっても必要なことと言っても過言ではない」とした。  今回答申を出した第三者機関は… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

上皇ご夫妻、新大久保駅の事故語り合う 皇室8~14日

 天皇、皇后両陛下や皇族方の予定を毎週更新します。皇室の方々は様々な行事や式典、宮中祭祀(さいし)などで多忙な日々を送っています。紙面では掲載しきれない公務も紹介します。  宮内庁は8日~14日の予定を発表した。天皇陛下は8日、最高裁判事の認証官任命式に臨む。上皇ご夫妻は日々規則正しく生活している。宮内庁によると、新宿区のJR新大久保駅で、韓国人留学生の李秀賢(イスヒョン)さん(当時26)とカメラマンの関根史郎さん(当時47)が線路に落ちた日本人を助けようとして死亡した事故から20年を迎えた報道に触れて、ご夫妻は事故からの年月について語り合っていたという(表記は宮内庁発表に準じます。予定は変更されることがあります)。 ■天皇、皇后両陛下、愛… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

ホットプレートを普段使いに タラのちゃんちゃん焼き

記事の後半で、作り方のポイントを動画でご覧いただけます ごはんラボ タラのちゃんちゃん焼き  ホットプレートというと、焼き肉やお好み焼きなど、大勢で楽しむホームパーティーのイメージでしょうか。でも「基本的にフライパンと同じ使い方ができます」と調理科学監修の佐藤秀美さんは言います。実は普段使いにも向いているのです。  フライパンにはない特長もあります。温度を設定でき、保温ができること。そして、調理から食事まで卓上でできること。取り分け料理に向いているので盛り付けの手間も省けますね。  今回紹介するちゃんちゃん焼きは、北海道の漁師町の郷土料理です。サケで作ることが多いですが、タラでもおいしくできます。野菜の水分を生かし、ふたをして蒸し焼きに。みそとバターの黄金コンビが具材にからみ、ごはんが進む一品です。  2品目のホイル焼きは、トースターやフライパンで作ることが多いですが、ホットプレートなら同時に別の調理が可能。ホイルに包めば味も混ざらないので、もう1品が手軽にできます。(小林未来) タラのちゃんちゃん焼き (材料・2人前)料理監修:渡辺あきこさん(料理研究家) □ 生タラ 2切れ □ 白菜 200g □ タマネギ 50g □ ニンジン 40g □ モヤシ 100g □ バター 10g □ みそだれ(みそ大さじ2、酒大さじ2、砂糖小さじ2)…

国産の羊毛からツイードコート 75万円寄付の返礼品に

 希少な国産羊毛から作ったツイード生地であつらえるポロコートが、高級毛織物の産地、愛知県一宮市でふるさと納税の返礼品に採用された。必要な寄付額は75万円。市の返礼品では最高額になるが、生地を織る地元メーカーは、「羊農家を応援したい」と申し込みに期待を寄せている。  生地のメーカーは、毛織物の老舗「国島」(一宮市、旧・中外国島)。国内でヒツジの飼育頭数は豪州など海外と比べて少ない。主に食肉用に飼われているが、毛はほとんど活用されていなかった。同社はそこに注目し、2019年度から紡績、染色も国内で行う「純国産ツイード」の開発に乗りだした。  初年度は北海道産の羊毛を利用。20年度は県内や宮城県などからも毛を集めて、グレーやブラウン、グリーン系など12色の生地を製造した。一宮市内の同社直営テーラーで扱うポロコート(税込み22万円)を市の返礼品に申請し、年末にラインアップに加わった。  宮本雄三・同社商品戦略課長(39)は「生地は高密度で、形崩れがしにくく上等なコートに仕上がる。羊を飼う人たちを励まし、地元にも貢献できれば」と話している。  一宮市の返礼品では以前、地元… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

3085人分に「大あっぱれやな」 非核の願いが後押し

 初めて核兵器を非人道的で違法とし、1月22日に発効した核兵器禁止条約(核禁条約)は、広島、長崎の被爆者の悲願だった。被爆者が提唱したすべての国に条約参加を求める「ヒバクシャ国際署名」は、世代や国を超えて広がり、条約発効の後押しにもなった。集まった計1370万2345人分は、1月8日、国連に届けられた。  「姉を原爆で亡くした無念さが原動力でした」。元プロ野球選手の張本勲さん(80)の姉で、広島で被爆した兵庫県加古川市の小林愛子さん(82)は約3年間かけて、3501人分を一人で集めた。県内外の市役所や郵便局、銀行、通りすがりの事業所にも飛び込んで協力を求めた。9割は断られたが諦めなかった。 拡大する常に持ち歩いている署名用紙を広げて見せる小林愛子さん。「9割断られますが、諦めず続けてきました」=2021年1月20日、兵庫県加古川市加古川町溝之口、新垣卓也撮影  被爆当時、国民学校1年。母と張本さんの3人で現在の広島市南区の自宅にいた。崩れた自宅からはい出て九死に一生を得たが、母の全身にはガラス片が突き刺さっていた。4歳違いの姉点子(てんこ)さんは勤労動員先で被爆。全身にやけどを負い、数日後に息を引き取った。優しく、色白でかわいかった自慢の姉。「誰か分からないぐらいに皮膚が焼けて『熱い』とつぶやく姉を、うちわであおぎました」  戦後、家族で原爆を話題にすることは一切なかった。約20年前、熱心な依頼を受け、小学校で初めて体験を話した。以来、証言を続けている。  署名活動を始めたのは2018年5月。兵庫県の被爆者団体が、神戸市中心部で丸一日かけて呼びかけても、わずか5人にしか応じてもらえなかったと聞いた。「姉たち多くの人を無差別に殺した核兵器がこの世にあっていいはずがない。それを理解し合えない社会はおかしい」と思った。  何か目標があれば頑張れる。思… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル