時間内に仕事が終わらない 陥りがちな五つの落とし穴
今回からのテーマは「時間内に仕事を終わらせる」。簡単そうで、実は案外難しいのです。なぜ終わらないかの原因を探ると、大きく五つのタイプに分かれます。心当たりはありませんか? 臨床心理士の中島美鈴さんが解説します。 実は難しいあの作業 私は毎週土曜の朝7時から時間管理グループレッスンをしていますが、その中で、計画通りに物事をこなせるかどうかを尋ねています。その結果、ほとんどの方は「予定通りにいくなんて奇跡があるんだろうか?」といった印象を持たれているようです。 みなさんはいかがですか? 自分の計画した予定通りに物事が進んでいくと達成感を味わえますね。一緒に仕事をしている人にも、家族にも、友達にも、約束をしやすくなります。バタバタせずに心に余裕が生まれます。そしてなにより、やるべきことを先延ばしにせず、すっきりした気持ちでいられて、自分のことを好きになれます。 今月のテーマは「時間内に仕事を終わらせる」です。 これは、実は難易度の高い事項です。この連載シリーズの主人公、ADHDのリョウさんは、「予定通り」とは正反対の人生を送ってきました。いつもバタバタしていて、期限に間に合ったことがほとんどないので、計画を立てることそのものが恐怖です。 リョウ「どうせ、計画通りになんていかないんだから。小学生の頃からそう。夏休みの計画を立てても、見返したことさえない。まるで無視」 そんなリョウさんも、子どもが小学生になってからは、そろそろ仕事をしたいと考えるようになりました。でも自信が持てないのです。 リョウ「今でさえバタバタした生活をしているのに、仕事を始めたら、どうなるんだろう」 こんな経験ありませんか リョウさんは子どもの小学校のPTA役員の仕事をするときにも、いつも予定した時間の4倍はかかります。今日も、小学校の新聞のレイアウトを考えています。どの写真を使おうか、どんなテーマを載せようか、でも自分勝手に決めてしまうわけにはいかないし、どうしよう…。そんな思考をぐるぐるにしながら、とりあえず写真データをパソコンで見ていました。 リョウ「あら、2組の●○ちゃんの写真だ。かわいいーー! あの運動会の時のだ。え、うちの子写ってないのかな? えっと3組はこのあたりかな」 こんなふうにデータを見ながら何時間も経過してしまいます。 みなさんには、リョウさんがどうして仕事を制限時間内に終われないのか、おわかりでしょう。リョウさん、寄り道しすぎですよね。…