「供述誘導」訴えた元広島市議に有罪判決 不適切な捜査との指摘も

 2019年の参院選をめぐる買収事件で、河井克行元法相(60)=公職選挙法違反罪で実刑確定=から現金30万円を受け取ったとして、同法違反(被買収)の罪に問われた元広島市議の木戸経康(つねやす)被告(68)に対し、広島地裁(後藤有己裁判長)は26日、求刑通り罰金15万円、追徴金30万円の有罪判決を言い渡した。 木戸被告側は8月、取り調べの録音データの一部を公表。東京地検特捜部の検事から「議員を続けていただきたい。否認にしたくない」などと説明を受け、不起訴を示唆されて供述を誘導されたとし、裁判で公訴権の乱用だと主張していた。判決「検事は不起訴を前提に、被告は不起訴を期待、否定できない」 判決は、「検事は不起訴を前提に取り調べ、被告は不起訴となることを期待して検事の意に沿う供述をしたことは否定できない」として、不適切な捜査があったと指摘した。ただ、被告は不起訴とされた後、検察審査会の「起訴相当」議決を受け、再捜査した検察が起訴した経緯を踏まえ、「公訴を棄却するほどの違法性はない」と結論づけた。 被告側は起訴内容についても「受け取ったものが現金との認識はなく、選挙運動報酬との認識もなかった」と無罪を主張した。だが判決は「封筒の厚みから相応の現金が入っていることは容易に想像がつく状態だった。河井氏からは過去にも複数回現金入りの封筒を渡されていた」と指摘。現金の趣旨も河井氏の妻案里氏(50)=同法違反罪で有罪確定=の当選に向けた選挙運動の報酬を含むと認識していたと判断した。 判決によると、木戸被告は19年4月、河井元法相から、案里氏の選挙運動の報酬と知りながら封筒に入った現金30万円を受け取った。(大野晴香、根本快)■元市議「苦痛理解されず、残…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

高級時計の免税販売を装い、消費税不正還付か 指南役の男を逮捕

 高級腕時計を免税販売したように装った虚偽の確定申告で、消費税の不正還付を受けたなどとして、大阪地検特捜部は26日、東京都江東区の会社員で中国籍の王博容疑者(35)を消費税法違反などの疑いで逮捕し、発表した。特捜部は認否を明らかにしていない。 特捜部などによると、王容疑者は、大阪市内で時計や宝飾品の販売をする経営者3人と共謀。2019年10月~21年5月、高級ブランド・ロレックスの腕時計などを仕入れ、外国人観光客らに免税販売したと見せかけるなどした虚偽の確定申告で消費税など計約1億6600万円の還付を不正に受けようとし、うち約1645万円の還付を受けた疑いがある。 国内で仕入れた商品を免税販売する場合、仕入れの際に支払った消費税の還付を受けられる。特捜部は、王容疑者が3人に手口を指南し、報酬を得ていたとみている。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「妄想が動機形成、犯行背景に影響」 責任能力の審理で鑑定医が証言

 36人が死亡した2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第14回公判は26日、京都地裁で刑事責任能力に絞った審理が続いた。起訴後に精神鑑定をした医師が出廷し、青葉被告を「重度の妄想性障害」とした上で、妄想が犯行動機を形成し、犯行の背景に影響を与えたと述べた。 出廷したのは、鑑定医で東京医科歯科大大学院の岡田幸之教授。弁護側の請求を受けた地裁の依頼で21年9月~22年2月、青葉被告に計36時間面接するなどして鑑定を行った。 岡田教授は、青葉被告が主張する京アニによる小説の盗用や、自身の小説作品をコンクールで故意に落選させたとする点について「妄想によるもの」と指摘。また、「盗用は『闇の人物のナンバー2』の指示だ」とする主張は「自分に関わる人の中に、闇の組織の人間が紛れ込んでいるといった妄想があり、周囲からの孤立を招いた」とも分析した。 孤立は生活の困窮を招き、青…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

幸福度低い札幌、幸もたらすのは白いゾウか 五輪招致から見えるのは

 日本有数の観光都市として人気の札幌市だが、市民の「幸福度」は案外低い。日本総合研究所がまとめる幸福度ランキング(2022年版)によれば、総合順位は20政令指定市のなかで19位だ。もし冬季五輪・パラリンピックの招致が実現すれば、市民に「幸福」は訪れるのだろうか――。 「幸福度」を分野別でみると、雇用分野の悪さが目立つ。若者の高い失業率(19位)や正規雇用者の比率の低さ(16位)が響いている。国際分野は19位。外国人住民数は人口千人あたり7・1人と20市で最も少ない。教育に直結する学校分野も16位。不登校児童生徒率は2・57%と高く、19位だ。大学進学率も59・9%(15位)にとどまる。 他方、充実ぶりが目立つのがハード面だ。道路整備率は1位、体育・スポーツ施設数は3位、都市公園面積も5位だった。「ソフト重視」が求められる令和の時代なのに、「ハード重視」の昭和の発想から脱却できていない姿が浮き彫りになっている。 前回五輪で生まれた都市イン…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ビッグモーター街路樹問題 札幌市が250万円請求、被害届提出

 中古車販売大手のビッグモーター(東京都)の店舗前で街路樹が枯れるなどした問題で、札幌市は26日、市の管理用地にある街路樹などの原状回復費用(約250万円)を同社に請求し、器物損壊の疑いで北海道警に被害届を提出した。 市によると、厚別、清田、南区にある3店舗の管理地で、新しい樹木を植えたり、枯れている樹木や土の入れ替えを行ったりしたという。厚別と清田の店舗前では、土壌から除草剤の成分が検出された。この2店舗の街路樹に関して、市は器物損壊として被害届を提出した。(古畑航希)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

渋谷暴動事件、大坂被告が改めて無罪を主張し結審 判決は12月

 1971年に起きた渋谷暴動事件で警察官を殺害したなどとして、殺人などの罪に問われた過激派「中核派」の構成員・大坂正明被告(74)の公判が26日、東京地裁であった。弁護側が、殺人などには一切関与していないと改めて主張し、「起訴された五つの罪について完全に無罪だ」と述べて結審した。判決日は12月21日に指定された。 大坂被告も「(警察官を)殴ってもいないし、火炎瓶を投げてもいません」「無罪判決を求めます」などと話した。 弁護側は、事件直後の供述調書で「被告が殺害現場にいるのを見た」と説明したデモ参加者の中に、「検事の作文だった」「覚えていないことを話した」として証言を撤回した人が複数いると指摘。今も証言を維持している人も、内容に変遷や事実と異なる点などがあり、「信用できない」とした。 また、大人数が入り乱れて混乱し、極度の緊張状態にあったデモ参加者らが、被告を正確に認識できる状況ではなかった、とも主張した。 検察側は19日の公判で、無期懲役を求刑している。 起訴状などによると、大坂被告は71年11月14日、東京都渋谷区であった沖縄返還協定の批准に反対するデモに参加。他の学生らと共謀して、警察官3人に火炎瓶を投げてやけどを負わせたうえ、新潟県警から派遣されていた中村恒雄巡査(当時21)を鉄パイプで殴り、火炎瓶を投げつけて殺害したとされる。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

県立高教頭を少女と淫行容疑で逮捕 今月、校長と「不祥事根絶」誓う

 18歳未満の少女にみだらな行為をしたとして、福島県警いわき中央署は26日、南相馬市原町区下太田、鈴木裕一容疑者(52)を県青少年健全育成条例違反の容疑で逮捕し、発表した。県教育委員会によると、鈴木容疑者は県立相馬総合高校(新地校舎)の教頭で、県内の公立学校の教諭がわいせつ行為の疑いで今年度に逮捕されたのは3人目。 署によると、鈴木容疑者は8月30日、いわき市内で、少女が18歳未満と知りながら、みだらな行為をした疑いがある。少女から相談を受けた関係者が警察に届け出た。「捜査に差し障りがあるのと被害者保護のため」として、容疑者の認否も含め、署は詳細を明らかにしていない。 県内では、いわき市立中学校の30代の男性教諭が盗撮目的で校内にカメラを設置した疑いで4月に、県立高校の50代の教諭が電車内で痴漢行為をした疑いで9月に逮捕された。 このため、県教委は県立学校の全職員を対象に、5月の研修時にわいせつ行為防止の動画を視聴させ、今月には綱紀粛正に向けた各学校長による個人面談を実施。県教委によると、鈴木容疑者は今月5日に校長と面談し、「管理職として不祥事の根絶に取り組んでいこう」と確認し合っていたという。(西堀岳路、岡本進)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

辞職表明の木村弥生・江東区長「父に相談」 特捜部の家宅捜索受け

 東京都江東区の木村弥生区長(58)は26日午後に区役所で記者会見を開き、辞職を表明した。今年4月の区長選をめぐり、選挙期間中に投票を呼びかける有料のインターネット広告を流していたとして、公職選挙法違反容疑で東京地検特捜部から区長室などが24日に家宅捜索を受けていた。 木村氏は26日の会見で、家宅捜索を受けたことで「区政を混乱、停滞をさせてはならないと考えた」と説明。「ご期待いただきながら、このような形で辞職することに申し訳ない思いでいっぱいです」と謝罪した。 木村氏によると、家宅捜索を受けたことで今週予定された行事などがキャンセルになった。こうした状況が今後も続くおそれがあることや実家も捜索対象になったことなどから、捜索翌日の25日朝、電話で副区長に辞職の意向を伝えたという。辞職にあたっては地元選出だった父の木村勉・元衆院議員に相談し、「尊重する」との回答を得たとした。 一方、木村氏は8月の会見では有料のネット広告を出したのはスタッフの判断で、「監督不行き届きだった」と述べていた。今回の会見で、この認識に変わりがないかや自身の関与について報道陣から問われたが、「捜査に協力しているさなかなのでお答えは控える」などと明言を避けた。また、ネット広告以外に「他に何かしら疑いがあるわけではない」とも述べた。 木村氏は「辞める人間が新区長に対し、注文すべきものはない」とした上で、自身の今後については「捜査に協力することを第一にし、これから先のことはまだ何も考えていない」と話した。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

札幌都心部に現れたエゾシカ 植物園は休園「侵入防ぎきるの難しい」

 札幌市中心部でエゾシカの出没が相次いでいる。24日には、北海道庁近くの北海道大学植物園に侵入し、同園が休園する事態に。道内ではシカによる交通事故も急増している。都心部への出没が続けば重大事故につながりかねない。ヒグマの頻繁な出没に続き、関係者は懸念を強めている。 JR札幌駅から南西約1キロにある植物園は、多くの市民や観光客が集う観光名所で知られる。 市によると、オスジカ1頭が園に現れたのは24日午前10時ごろ。入園者の安全確保のため、園は休園を決めた。周辺は交通量が多く、市職員はシカが興奮して交通事故を起こさないよう、そっと見守ったという。 翌日、シカの姿が見当たらなかったため、植物園は通常通り開園した。同じ個体の可能性があるシカは東方向に移動し、豊平川を伝って逃げたことも確認された。 市周辺では10月中旬以降…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

西成に現れた「ベトナム通り」 日雇い労働者の街に重なった好条件

【動画】大阪市西成区の釜ケ崎。地元出身のラッパーSHINGO★西成さんに案内してもらった 「日雇い労働者のまち」として知られる大阪市西成区の釜ケ崎周辺に、ベトナム人が営む料理店や家電店が相次いでオープンしている。なぜ西成なのか。3階建てのビルでレストランを開業したベトナム人店主を取材した。 労働者たちが求人情報を求めて訪れる西成労働福祉センターから西へ歩いて5分ほど。 ベトナム語の看板を掲げた料理店、食材店、家電店が立ち並び、ちょっとした「ベトナム通り」となっている。 多くが最近できたばかりの店。3階建てのビル全体を借りて営業するベトナムレストラン「ニャトフォン」も昨年12月にオープンした。 店名は日本語で「一風」。この地で強い風を吹かせたいとの思いが込められている。 店主はチャン・ゴク・ビンさん(29)。 2018年に留学生として来日。通訳の仕事をした後、千葉県のベトナム料理店で働いた。 西成では多くのベトナム人が暮らし、知り合いもいる。 「ここならやっていける」。身内から借金して挑むことにした。 ホーチミンの日本語学校で一緒に学んだ友人2人も来日し、店に出資してくれた。 通常は1階で営業。2階は結婚式の2次会など団体向け。3階はいずれカラオケができるようにしたいという。屋上では4月からバーベキューもしている。 ビンさんの婚約者のグェン・ティ・ゴック・ガーさん(29)も今年4月から、スタッフとして働いている。 2人はホーチミンの日本語学校で知り合った。ガーさんは客席に食事を運び、ベトナム人のなじみ客と会話をかわす。 ガーさんは「ビンさんと一緒にこの店をはやらせ、2号店や3号店も出したい」と夢を膨らませる。 日本人にベトナム料理のおいしさを伝えたい――。そんな思いで始めた店だが、順風満帆とはいかなかった。 開店の準備中、店の入り口に置いていた食洗機の部品が盗まれた。 「日本ではこんなことがない…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル