「3泊4日旅」販売ゼロ、群馬県の「リトリート」戦略、練り直しへ

 非日常を楽しむ「リトリート」の聖地を目指す群馬県が、観光戦略の練り直しを迫られている。2年間で約2千万円をかけて練った自慢の温泉地を拠点にした「3泊4日」の滞在型プランを販売したところ、3カ月以上たっても利用者がゼロだったからだ。首都圏に近く、1泊2日の手軽な旅先として定着している群馬に、長期滞在型の旅は根付くのか。 リトリートとは、日常を離れてゆっくり心身を癒やす旅のスタイル。 群馬県では昨年から、観光消費額を伸ばすための未来への投資と位置づけて「リトリートぐんま」に取り組み始めた。 予算編成時には、山本一太知事が「群馬県の大きな勝ち筋のひとつは観光。高付加価値のサービス体験を、滞在期間が長い3泊4日の旅に組み合わせた、群馬ならではの旅行スタイルを目指す」と強調。今年4月、新たに「リトリート推進室」を設けた。自由度低く、選べる日程が少なく… 県は宿泊事業者や市町村など…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

死を知らぬバービー 人里に降りて考えるAI時代の「人間らしさ」

記者コラム「多事奏論」 編集委員(天草)・近藤康太郎 山奥で棚田を耕し、けものを追いかけ、人里に降りる用事がとんとなくなった。たまに故郷の東京に出てくるのは、文章講座をするときくらいだ。 そんなとき、百姓・猟師の世界からもっとも遠い、キンキラなハリウッド映画を見ることにしている。意地である。吝嗇(りんしょく)である。交通費の元を取るのである。 アメリカで大ヒットした映画「バービー」を見た。夢の国・不死の国の人形世界でハッピーに暮らしていたバービーが、ふとしたことからリアルな人間界にまぎれ込むコメディー。美形の白人女性バービーと、いけてる白人男性ケンのファンタジー恋愛ものを期待して入ると、いい意味で裏切られる。アメリカでは知識層からまじめな批評が盛んに出た。日本ではあまり見かけないが。 なにしろ音楽映画としてすぐれている。デュア・リパのキンキラなディスコ音楽は、懐かしの1980年代テイスト全開。逆にニッキー・ミナージュは、ラップの中でも最新型のトラップ。マチスモに毒されたケンが男の沽券(こけん)に“覚醒”する場面で、スラッシュのメタルギターがマッチョに響く。芸が細かい。 バービー世界のイメージカラーはピンク。主題歌の「ピンク」を歌う黒人女性のリゾは、見た目の巨体をからかわれることもあるシンガー。〈Pはプリティー、Iはインテリ、Nはネアカで、Kはカッコいい/ピンクはわたしに似合ってる〉という彼女の歌詞は、ユーモアでルッキズムと強烈に闘っている。 いま、ルッキズム(容姿差別…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

エンジンから鳴き声、頭をよぎった「安楽死」 奇跡の猫に支えられ

 「車の下から猫の悲鳴が聞こえる」 猫の保護や譲渡活動をおこなうNPO法人「ニャン友ねっとわーく北海道」(札幌市)の事務所に電話がかかってきたのは、2018年の9月8日のことだ。 その2日前、最大震度7を観測した胆振東部地震が発生。広範囲なブラックアウト(全域停電)を引き起こし、普段はネオンで輝かしいススキノも暗闇に包まれていた。 代表の勝田珠美さん(57)は、事務所にほど近い空き地に出向いた。車の下をのぞくと、宙づり状態で上半身だけが見える子猫がいた。 エンジン周辺の部品をはずすと、下半身は滑車に巻き込まれていた。滑車の反対側から後ろ脚が見え、皮一枚でつながっているようだった。 なぜ、いつからそうなったのかは正確にわからない。ただ、前夜にエンジンをかけた車の持ち主が、悲鳴を聞いた気もすると話していた。親とはぐれた子猫がぬくもりを求めて入り込んでしまったのではないか。 動物病院に駆け込み、獣医師…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

車も人も電波もない先の「天国」 キャンパーをひきつける山奥の秘境

 長野県栄村と新潟県津南町との県境にまたがる「秋山郷」。日本有数の豪雪地帯で、秘境として知られる。 この山里の栄村側で「秘境キャンプ」をうたっているのが「のよさの里キャンプ場」だ。面積の9割以上を山林が占める村に入ってから到着するまで1時間近くかかる。訪ねてみると何もない静けさを味わう人や、良いはずのないアクセスについて「近くて便利だ」と喜ぶ人たちがいた。 9月末、長野市の市街地から車で向かった。上信越道を長野県北部の中野市まで北上し、豊田飯山インターチェンジ(IC)で降りる。栄村を通過して、いったん新潟県側に入ると、国道から県道に入るのが近道だとナビに指示された。 ところが、案内された峠道は車1台分の幅の上、時折ごろっとした岩が転がっていた。不安になって途中、キャンプ場に連絡を取ろうとしたが、電波が届いていなかった。待避所があるとほっとする。再び国道に合流するまで、コンビニどころか車とも人ともすれ違うことはなかった。 後で調べると、秋山郷への道のりを「酷道(こくどう)」「険道(けんどう)」などと紹介しているサイトもあった。キャンプ場のチラシに「山奥でアクセスが悪い」とあるのもうなずける。「何もない」空間に広がる非日常性 ただ、それだけの時間、労力…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

岡山・真庭の「勝山喧嘩だんじり」、男性がだんじりに挟まれ死亡

 20日午後9時ごろ、岡山県真庭市勝山で開催されていた「勝山喧嘩(けんか)だんじり」に参加していた同市月田、会社員の男性(23)がだんじりの間に挟まれた。男性は搬送先の病院で死亡が確認された。死因は出血性ショックだった。県警真庭署は業務上過失致死の疑いも視野に当時の状況を調べている。 署によると、男性は、だんじり(全長約5メートル、重さ約2トン)を押していたところ、だんじりの間に挟まれたという。 地元関係者によると、勝山喧嘩だんじりは江戸時代から続く伝統行事。各自治会から9台のだんじりが参加し、各所に設けられた「喧嘩場」で1対1で激しくぶつかり合う。19日から始まり、20日は午後10時半まで実施される予定だったが、事故を受けて中止になった。 「勝山喧嘩だんじり保存会」の片山洋一郎総総代は「安全には気をつけてやってきたが、お一人が亡くなり大変残念だ」と話している。(水田道雄)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

公立中高一貫校の受検は「ばくち」なのか 経験者が感じた魅力と矛盾

 私立よりも学費がかからず、6年通した教育が受けられる公立中高一貫校。東京都内でも根強い人気があるが、受検日が1日限りで高倍率のため、「ばくち性が高い」とも指摘される。公立中高一貫校の受検をとりまく状況は、どのようになっているのか。 「お子さん、中学受験するんですか?」。都内に住む40代の会社員男性が、長男の公立中高一貫校の受検を考え始めたのは、長男が小3の秋ごろ。同い年の子を持つ同僚から聞かれたのがきっかけだった。 夫婦とも中学受験の経験はなく、子どもは長男を含めて3人。家計を考えると、塾や私立中に通わせるのは現実的ではなかった。 ただ、都内に公立の中高一貫校が11校あると知り、「それなら、普段の勉強の延長線で挑戦できるのではないか」。都立校の受検は2月3日のみの一発勝負だが、「受かるかわからないけど、もし受かったら良いよね」。そんな軽い気持ちで、塾無しでの「中学受検」が始まった。 サッカーをしていた長男も、近くの都立中に大きなグラウンドがあることがやる気につながった。まずは、小学校の「内申書」にあたる「報告書」の評価を上げるため、「学校の授業をしっかり受けて、宿題をやる」との基本を徹底。その上で、市販のテキストを使い、男性や妻が教えるようにした。コロナ禍で、男性がほぼ在宅勤務になったことも大きかった。 学校の成績も順調にあがり、手応えを感じた。だが、勉強が進むにつれて、悩みは深まった。高い倍率で、一発勝負の公立中高の受検。記事後半では、2つの塾に通って私立と併願受験した家庭の思いや、教育関係者に聞いた最近の受検動向も紹介しています。「合格」を強く意識するほど… まず、反抗期の長男と衝突す…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

時代先取った国内唯一の乗り物「スカイレール」 運行終了のなぜ

 広島市安芸区の住宅団地「スカイレールタウンみどり坂」。戸建て住宅が並ぶ斜面をはうように白い高架レールが延びる。ぶら下がった定員25人の青いゴンドラが、滑るように進んでいった。 モノレールとロープウェーの技術を融合させた国内唯一の交通システム「スカイレール」。団地の開発に伴い、1998年に開業した。運行会社の当時の資料によると、従来の車中心の発想を転換し、住民の歩行を支援するため、団地の地形に合わせて導入された。 ふもとのJR瀬野駅から標高差160メートル、長さ1・3キロのレールを約6分半で移動する。両端と中間、合わせて三つの駅があり、現在は、平日87本、休日70本に加え、必要に応じて臨時便が運行される。「ラストワンマイル」交通で時代先取り 団地には2269世帯、7236人(2023年8月末現在)が住んでいる。朝夕のラッシュ時には乗車待ちの列ができるが、日中の乗客は少ない。自宅という目的地への最終区間、いわゆる「ラストワンマイル」を担う交通手段だが、駅から遠い乗客は、団地内の急な階段や坂道を上り下りする必要もある。 長年、住民の足として使われてきた「スカイレール」だが、運行会社の営業収支は、約1億2千万円(2021年度)の赤字。来年4月末での運行終了と、電気バスへの置き換えを決め、バス停16カ所を新設する予定になっている。 各地で今、乗降する時間や場…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

都立小石川中等教育学校長から受験生へ 行事、部活…多くの「タネ」

都立小石川中等教育学校(東京都文京区) 鳥屋尾史郎 統括校長 本校の教育は三つの柱で構成されています。文系・理系を問わずに幅広い教養を身につけることをめざす「小石川教養主義」、多様化する世界で戦える人材を育てる「国際理解教育」、国際社会で活躍できる科学的人材を育成する「理数教育」です。 小石川教養主義を象徴するのが、6年間を通して課題研究に取り組む「小石川フィロソフィー」です。 中学1年生の時から、意見を論理的に話すスキルや数学的なデータの取り扱いを学びます。そして、自分が研究したいテーマを決め、じっくりと深掘りし、研究論文にまとめます。 テーマは生徒によってそれぞれですが、中には海外で研究の成果を発表するチャンスをいただいたケースもありました。 小石川には本当にたくさんの…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

流しそうめん、全長4キロ余り 大分でギネスに挑戦

 全長4031・76メートル、成功すればギネス世界記録という流しそうめんに21日、大分県竹田市の住民らが挑戦した。 市内の母親たちでつくる「竹姫」の安倍美緒代表(43)らが発案。地元の企業も巻き込み、測量会社がそうめんを流すルートを測量し建設会社がトラックや資材を提供。竹を切り出して設置するまで千人近くがボランティアで協力した。 午前10時すぎ、くじゅう連山を背にしたスタート地点で竹といに投入した一つかみのそうめんは、山裾を下り県道をまたいで歩道をゆく標高差約400メートルのコースをゆっくりと進んだ。 傾斜が緩やかな「難所」で滞留すると子どもたちが「そうめん、がんばれ」と声援を送り、約1時間半後、60グラム以上がゴールにたどりついた。 ギネス記録の条件の一つは、最後にそうめんを食べること。地元自治会の吉野幸則さん(73)が、竹田産のシイタケのダシを使っためんつゆにつけて口に運び「世界一の味がする」と笑顔で語り、世界記録更新が認定された。(倉富竜太)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

飲食やホテル代70万円接待、収賄容疑 兵庫県道路公社職員を再逮捕

 兵庫県道路公社発注の道路工事をめぐり、業者から飲食などの接待を受けたとして、県警は21日、同公社播但連絡道路管理事務所の保全課主査、豊島辰吾容疑者(38)=豊岡市梶原=を収賄の疑いで再逮捕し、発表した。 また県警は贈賄容疑で、建設業者「松本組」の社員松本正寛(41)=朝来市山内=、下請け会社「構造メンテ」の取締役樋口慶太郎(49)=西宮市美作町=、社員下田彰(67)=姫路市京町3丁目=の3容疑者も再逮捕した。 捜査2課によると、豊島容疑者は公社発注の工事の入札で便宜を図った見返りなどとして、昨年4月~今年6月ごろ、松本容疑者ら3人から神戸市や姫路市、大阪市内の飲食店やホテルで、複数回にわたって飲食や宿泊の接待計約70万円を受けた疑いがある。県警は4人の認否を明らかにしていない。 豊島容疑者は今年4月、播但連絡道路の耐震補強修繕工事の入札で、業者側の松本容疑者らに工事価格を漏らし、下回ると落札できない失格基準価格(9億3970万円)で落札させた官製談合防止法違反などの疑いで逮捕されていた。 県道路公社によると、豊島容…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル