「再エネ利権」生んだ政治主導 高い数値目標、甘い規制 汚職事件に

 温室効果ガスの排出を減らす再生可能エネルギー拡大の「切り札」とされる洋上風力発電をめぐり、秋本真利衆院議員(48)=自民党を離党=が27日、総額約7286万円の受託収賄罪で起訴された。今回の事件が印象づけたのは「再エネ利権」という新たな構造だった。 2011年の東京電力福島第一原発の事故を受け、日本は原発依存を減らして再エネの普及を進めた。 12年には、再エネでつくった電力を、国が定める固定価格で電力会社に買い取らせる制度(FIT)を導入。電力会社は買い取りに要する費用を電気料金に上乗せし、国民が負担する。 これで一気に拡大したのが太陽光だった。当初の固定価格は世界的な高値となり、参入する事業者が殺到した。 その裏でトラブルも相次いだ。パネル設置に伴う土砂崩れや景観破壊のほか、事業者の所得隠しや脱税も後を絶たず、FITに基づく「売電権」を取引して利益を得るブローカーも現れた。「再エネ=クリーン」というイメージの裏で 一方で21年に菅義偉政権は…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ビッグモーター創業地の山口でも家宅捜索 宇部店、街路樹損壊の疑い

 中古車販売大手ビッグモーターの店舗前の公道で街路樹が枯れたり切られたりしていた問題で、山口県警は27日、器物損壊の疑いで同社の宇部店(同県宇部市)を家宅捜索した。元店長ら社員から話を聞き、備品の購入履歴など資料を押収したとみられ、街路樹損壊の経緯を調べる。 ビッグモーターは1976年、前社長の兼重宏行氏が山口県岩国市で「兼重オートセンター」の社名で創業した。 家宅捜索は、午前8時過ぎから約1時間20分、宇部署員7人が同店の事務所で行った。 国土交通省は13日、同店を含む全国のビッグモーター9店舗の前の植樹帯から除草剤の成分が検出されたと発表。同省山口河川国道事務所は同日、「2021年11月から23年3月にかけて(同店前の植樹帯の)樹木ハクチョウゲ52株に何らかの被害があった」として、宇部署に被害届を提出した。同店は「植樹帯に除草剤をまいたり、伐採をしたりした」と同省側に申し出ていたという。 ビッグモーターは「県警の捜査に協力し、原状回復も含め、誠心誠意の対応をして参ります」とのコメントを発表した。 同社店舗前の街路樹をめぐる…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

どでカボチャ355キロ!それでも4位 ハロウィーンにちなんで展示

 兵庫県淡路市の県立淡路夢舞台公苑温室「あわじグリーン館」で、ハロウィーン(10月31日)にちなんで巨大なカボチャが展示されている。10月上旬まで。 直径約80センチ、重さ355キロ。香川・小豆島で9月17日に開かれた「日本一どでカボチャ大会」で4位に選ばれ、トラックで淡路島まで運んできた。昨年秋に同館で展示したものより90キロも重い。来館者は実際に手で触り、カボチャと一緒に記念写真を撮っていた。 ほかにも形が幽霊のように見える多肉植物「ホワイトゴースト」、縁が赤色のアロエ「ドラキュラズブラッド(ドラキュラの血)」などを温室内で展示。担当者は「コウモリやおばけの飾りなどもあり、ハロウィーン気分を楽しんで」。(森直由)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

【そもそも解説】提出見送り「日本版DBS」 性犯罪歴確認、論点は

 子どもと接する職場に、従業員の性犯罪歴を確認させ、就労を制限する――。そんな新制度の創設に政府が取り組んでいます。「日本版DBS」とも呼ばれ注目を集めていますが、賛否も渦巻きます。秋の臨時国会に法案提出する方針でしたが、一転して見送りの公算に。ポイントを解説します。 Q なぜ、新制度が必要なの? A 子どもの性被害は後を絶たない。2020年には、ベビーシッター仲介大手に登録していたシッターの男2人が、強制わいせつなどの容疑で逮捕された。 23年には、大手中学受験塾の講師が教え子の児童にわいせつな言動をさせて盗撮する事件が発生した。 こども家庭庁によると、性犯罪の有罪確定後、5年以内に性犯罪で有罪確定した人の割合(再犯率)は、13.9%。一部が小児わいせつ型の犯罪を繰り返していることも指摘されている。 子どもが被害者となる性犯罪は、大人が支配的な立場を悪用し、人目につかない場所で行われることが特徴だ。犯行が繰り返されるケースも少なくない。 こうした実情を背景に、政府が21年に閣議決定した子ども政策の基本方針などに、子どもと接する職場で働く際に性犯罪歴を確認する仕組みが必要、と盛り込まれた。 同庁は23年6月に有識者会議を設置。刑事法や民法、児童心理の専門家、保護者らで論点整理を進め、9月には報告書をまとめた。 Q 制度を考える上でのポイントは? A 大きな論点は、①どのよ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

映える店内も見納め 65年続いた下町の喫茶店「カド」、最後の日

【Last Day】65年間、営業してきた下町の喫茶店「カド」が閉店。最後の日に密着した 隅田川の花火大会から一夜明けた7月30日。料亭街として知られる東京・向島で65年続いた喫茶店「季節の生ジュースとくるみパンの店 カド」が、その歴史に幕を下ろした。店内の壁や天井に飾られているのは、華やかな西洋絵画やシャンデリア。その独特の雰囲気が多くの客に愛されてきた店は、父と子の合作だった。 「僕はおやじが還暦の時の子どもだから、20年ちょっとしか一緒にいられなかったんだよね。この店は完全に父の形見。それだけ大事なものでした」。そう話すのは、店を継いで30年になる宮地(みやじ)隆治(りゅうじ)さん(54)だ。 父の捨吉(とうきち)さんが店を開いたのは1958年。作家の志賀直哉の弟で、建築家の直三氏に依頼してつくった英国パブ風の店に、集めた絵画や装飾品を飾った。開店当時は料亭の客が待ち合わせなどによく使ったという。人気メニューは、セロリやアロエなど7種類の具材を使った「活性生ジュース」だ。 周囲の親よりも世代がひとつ上で戦争経験があった捨吉さんは、美術や文学が大好きだった。隆治さんは、そんな父親に影響を受けて育った。捨吉さんが倒れて店を継いだ後、店の内装やメニューを守りながら、テーブルや天井にバラの絵を自分で描き加えるなどもしてきた。 「この店は父と私の合作。それに志賀直三さんも含めてみんなの共同作品だから、これをできる限り残すのがうちの家族の誇りなんです」 ところが約1年前、そんな店に転機が訪れた。老朽化で建物が崩れる恐れがあるとして、大家から退去を求められた。実際に今年の春先には外壁が大きく崩れ落ちたこともあり、隆治さんは閉店を決めた。 最終営業日、シートなどで外壁の一部が覆われた店の外には開店前から行列ができた。SNSで店のことを知った若い女性を中心に、常連客も訪れ名残を惜しんだ。 14年通っているという近所の女性はこの日、午前と午後の2回、店を訪れた。「子どもの頃から知ってたけど、来るようになったのはやっぱり大人になってから。美術的にも歴史的にもこんなお店なかなか無い。向島を象徴するようなお店が無くなるのは寂しい」 そんな常連客らに見守られながら迎えた午後8時過ぎ。最後の活性生ジュースを常連客に出すと、カウンター越しに花束やねぎらいの言葉を贈られた。 隆治さんは、「壁が崩れて店が終わるのは不可抗力。もうやりきったよね。店は天に返すんですよ。お父さん、これでいいでしょっていう気持ちです」と話し、自分用につくった一杯に口をつけた。■夢だった海辺の街へ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

日本最大級の木造鳥居を解体 戦火免れて80年「同じ形で残したい」

 創建80年を迎えた福岡県護国神社(福岡市中央区)で、大鳥居の大規模改修が始まっている。日本最大級の木造鳥居といわれ、解体を伴う改修は初めてとなる。 神社によると、大鳥居は高さ13メートルで、ヒノキの原木を使った鳥居としては日本一とされる。 神社が創建された1943年、日本の統治下だった台湾からヒノキ材を輸入し、福岡城趾(じょうし)の南側に建てられた。 陸揚げの際、あまりの巨木のため車両での運搬は難しく、3キロほど離れた博多港から道に丸太を並べ、それを「コロ」にして住民らが運んだ、という逸話が残る。 福岡市が焼け野原となった1945年6月の福岡大空襲では、社殿はほぼ焼失したものの、この鳥居は無事だった。 ただ、建造から80年が過ぎ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

キリマンジャロ登頂の11歳 夢は南極最高峰の「見たことない景色」

 アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロの頂上に立ちたい――。4年前からそんな夢を抱いてきた小学6年の女子が今月、5895メートルの頂に挑戦し、成功した。 6歳で富士山を含む山梨百名山を踏破したキャリアを持つ。帰国した11歳の「猛者」が口にしたのは、支援者への感謝の言葉だった。標高5895メートルの頂をめざして キリマンジャロ登頂を果たしたのは、甲府市立千塚小学校6年の伴野嶺(ばんのれい)さん。 母親の直美さん(49)とともに、タンザニアの山麓(さんろく)から3日に登り始め、現地ガイドのサポートを受けながら高度を上げていった。 山頂へのアタックは標高約4700メートルの山小屋から。 ヘッドライトを頼りに真夜中の岩山を登り続ける。高山病の危険もあってゆっくり進まなければならず、「暗いし眠気にも襲われて、心細くなった」。 それでも着実に歩みを進め、7日午前7時半ごろ頂上に立った。 「見たことのない景色。今まで生きてきた中で一番うれしかった。夢がかなったんだ。いろいろな人に助けてもらったなあって思い返していました」山は公園そして遊び場 本格的に登山を始めたのは4…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「工藤会の鉄の結束、弱まっている」 県警元幹部が見る控訴審の行方

 四つの市民襲撃事件で殺人罪などに問われ、一審で死刑判決が出た特定危険指定暴力団・工藤会のトップで総裁の野村悟被告(76)らの控訴審が始まった。27日の被告人質問に合わせ、工藤会幹部を摘発する「頂上作戦」を指揮した県警OBの尾上芳信氏(62)に、工藤会との攻防の歴史や控訴審の位置づけを聞いた。 ――かつての工藤会は北九州の街にどのような影響を与えていたのでしょう。 建設業からは上納金、飲食店や風俗店からはみかじめ料を取りたてていた。一般市民にも「金払わんかったら、拳銃で撃つ、刃物で刺す、あるいは殺す」みたいな繰り返しで、警察は捕まえきれない。逆らえば自分たちも狙われるのではないかという恐ろしさがあった。市民による暴力団排除が進まなかったのは、今振り返ると致し方なかった。市民も警察と工藤会の力関係を見ていて、どちらの言うことを聞くべきか見極めている。 ――そうした状況で2014年の頂上作戦は重要だったと。 (野村被告の関与を示す直接証拠がないなか)当初は、県警内にも「本当にできるのか」と懐疑的な見方があって、ゼロからのスタートだった。ただ、元漁協組合長射殺事件(1998年)では、実行犯らがすでに殺人罪などで判決が確定しており、それまでの取り調べや公判で幹部とつながる(間接的な)証拠は出ていた。工藤会の呪縛を解いてもいいのでは ――事件着手に向けて、どん…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

アドレナリン使用なら「救命の可能性」 接種後死亡、夫が悔しさ訴え

 新型コロナウイルスワクチンの接種直後に死亡した愛西市の飯岡綾乃さん(当時42)について市の医療事故調査委員会は26日、最終報告書を公表し、アナフィラキシーの対応などがされなかった集団接種会場の医療体制について「改良の余地がある」と指摘した。遺族は悔しさをにじませた。 「家の中で一人になって、すごくつらくて。寂しさには慣れません……」 夫の英治さん(45)はこの日、苦しい胸の内を明かした。「なぜ妻が亡くなったのか」。死に至る経緯や理由を求めてきた。看護師はアドレナリンの注射を準備したが… 公表された最終報告書によると、飯岡さんの直接の死因は「急性呼吸不全及び急性循環不全」。検査結果をふまえ、これらの発症にアナフィラキシーが関与していた可能性があったと指摘された。 現場では当時、アナフィラキ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

都内公立小の教員、140人欠員 春から60人増え「努力しても…」

 全国的に教員不足が問題となっているなか、東京都内の公立小学校(1270校)では夏休み明けの9月1日時点で、約140人の欠員が生じていることが26日、分かった。都議会代表質問で、都側が白石民男氏(共産)の質問に答えた。浜佳葉子教育長は、「随時、(非正規の)臨時的任用教員を確保し、補充している」と答弁した。 都教育委員会によると、年度初めの4月7日時点では約80人だったが、病欠や退職などで欠員がさらに増えたという。昨年度の年度初めは約50人で、夏休み明けは約130人だった。 年度初めの欠員は、学級数が想定より増えたことなども要因に含まれるが、年度途中に生じた欠員は、病欠や退職によるものがほとんどという。欠員を埋めるのは「臨時的任用教員」で、欠員が生じるとリスト登録者に声をかけるしくみだが、学校と登録者のマッチングがうまくいかないなど補充しきれていない。 登録者を増やすため、都教委は昨年ごろから、民間企業に交じって転職フェアにブースを出したり、求人サイトに広告を出したりもしているが、「努力しても埋めきれない」(都教委担当者)のが実情だ。今年度からは、公立小の全新規採用教員に臨床心理士らによる面談を受けてもらうなど、退職を減らす取り組みにも力を入れているという。(本多由佳)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル