被爆者と米大統領の握手に見た広島の力 歴史学者・成田龍一さん

 いま世界には約1万3千発の核弾頭が存在します。ロシアのウクライナ侵攻によって、実戦で使われる恐れまで浮上しました。そんな中、今月に被爆地・広島で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、「核兵器のない世界」が主要なテーマの一つになります。その道筋をどう切り開くのか。G7首脳らへの注文を、さまざまな方々に語っていただきます。         ◇ 広島で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)について考えるため、2016年に当時のオバマ米大統領が広島を訪問した際の演説を読み返しました。 冒頭で原爆について語った「死が空から降り、世界が変わってしまいました」というくだりは、その原爆を落としたのが米国であることには触れず、当時、議論を呼びました。 その点は、私もあれっと思うのですが、オバマ氏は続いて「私たち」という主語を用いて「死者を悼む」と語り、さらに、「私の国のような核保有国は、核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければなりません」と訴えます。 語らなかったことがある一方…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

住民同士が協力、かやを敷いて屋根ふき替え 世界遺産の岐阜・白川郷

荻野好弘2023年5月13日 18時00分 世界遺産・白川郷(岐阜県白川村)の合掌造り集落で13日、屋根のふき替え作業があった。住民が協力して作業する「結(ゆい)」で集まった約150人が、新しい茅(かや)を急勾配の屋根に積み重ねた。 ふき替えたのは、江戸後期に建てられた明善寺の庫裏。間口22メートル、奥行き12メートル、高さ15メートルの合掌造りで、玄関側の屋根を36年ぶりにふき替えている。4月下旬から職人たちが古い茅を外すなど準備を進めてきた。 この日は村人らが屋根で作業。4トントラック15台分の約9千束の茅を用意し、約80センチの厚さで均等になるように調整しながら敷き詰めた。村の子どもらも茅の運搬を手伝った。 白川村教育委員会によると、「結」でのふき替えは5年ぶり。コロナ禍と茅不足で作業が延びていたという。村教委の文化財担当者は「職人にふき替えをすべて頼むことはできるが、『結』での作業には若い人に技術を伝え、景観を守りたいという村人の気持ちを高める意味がある」と話す。(荻野好弘)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ヒロシマを「貸し舞台」にしないで G7サミット開催地の懸念とは

 核兵器廃絶への歩みが前進するどころか、後退するのではないか……。主要7カ国首脳会議(G7サミット)の開幕を19日に控え、被爆者や平和運動に関わる人たちには、そんな懸念もある。7年前の苦い経験を口にする被爆者もいる。 「西側諸国の結束をアピールするだけの『貸し舞台』にならないかと危ぶむ声もあります」 4月、広島県内の被爆者団体やNPOなどが、岸田文雄首相の事務所にサミットに向けた要望書を提出した。 ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、G7が両国の仲介役に回らなければ、紛争が深刻化し、ロシアによる核兵器使用の危険性が高まるとの不安からだ。「戦争を終わらせる場に」 市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」顧問の森滝春子さん(84)も、広島の開催決定後、こうした懸念を示してきた一人だ。 G7の7カ国は、米英仏の核…この記事は有料記事です。残り1690文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「神田祭がないと生きていけない」 4年ぶりの神輿、熱気復活

 祭りの熱気が戻ってきた。江戸三大祭りに数えられる神田祭は13日、神事の「神幸祭」や最もにぎわう「神輿(みこし)宮入(みやいり)」があった。コロナ禍の影響で4年ぶりに通常規模での開催。時折、激しい雨が降る中、神田明神(東京都千代田区)や周辺は威勢のいいかけ声が響き、大勢の人でにぎわった。 神田祭は、京都の祇園祭、大阪の天神祭とともに日本三大祭りともされる。2年に1度の開催だが、前回の2021年は、コロナ感染対策のため関係者による神事のみ。神幸祭や神輿宮入などの行事は中止されていた。 4年ぶりの神幸祭は、三柱の神が乗った鳳輦(ほうれん)と神輿を中心とするきらびやかな行列が大手町や日本橋、秋葉原を練り歩いた。大黒様やえびす様など、趣向を凝らした曳き物や仮装行列が巡行する「附け祭」も行われた。 神輿宮入は午後4時に始まり、各町の神輿が次々と神田明神に入っていった。観衆からもかけ声があがり、神輿が入るたびに熱気に包まれた。横山町町会の担ぎ手の古井丸秀樹さん(49)は「やっと、普通の日常が戻ったことを実感できた。神輿の重みが心地よかった」。昨年末、コロナ禍の影響で会社を閉じたといい、「力をもらえたし、次の道で頑張りたい」と額に汗を浮かべながら話した。14日も神輿宮入が予定されている。(中村瞬)コロナ禍以外の危機も 金色の神輿がオフィス街を回っていく。13日、神田の町にかけ声が響いた。 東京都千代田区の錦町三丁目町会もその一つ。出版業を営む町会長の前田智彦さん(61)は幼い頃から参加してきた。「神田祭がないと生きていけない。祭りのある風景が戻ってきて素直にうれしい」と話す。 町会は、ビジネス街の大手町…この記事は有料記事です。残り495文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

走行中の列車の窓破損、乗客けがなし 福岡のJR香椎線

鈴木優香2023年5月13日 20時53分【動画】JR香椎線 走行中の列車の窓ガラスが破損=読者提供 JR九州は13日、香椎線の列車が走行中、窓ガラスが割れたと発表した。乗客らにけがはないという。原因を調べている。 発表によると、13日午後6時10分ごろ、香椎発宇美行きの下り普通列車(乗客約80人、2両編成)が土井(福岡市東区)―伊賀(粕屋町)間を走行中、2両目の窓ガラス全体が割れたという。列車の非常ボタンが押され、「ガラスが割れています」と乗客から通報があった。 列車は駅間で停車し、乗客を1両目に移動させてから伊賀駅へ移動。仮処置をした後、午後6時38分に運転を再開したという。 この影響で、上り普通列車1本が運休。上下計5本に最大36分の遅れが出て、約350人に影響があったという。(鈴木優香)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

日本のカットに憧れて 都内で初の外国人美容師、後押しした特区制度

 大型連休前の金曜日、東京・吉祥寺の美容室で、従業員と客がちょっと変わった会話を交わしていた。 「好きな日本の食べ物は?」 「おすしやすき焼きが好きなんです」 笑顔で話す新人の従業員は、日本で初めて美容師資格をいかして就労した「外国人美容師」だ。 韓国・ソウル出身の李抒珍(イソジン)さん(23)。今春、美容室チェーン「TAYA」を展開する田谷(東京都渋谷区)に入社した。「お客様が100%満足するサービスを提供したい」と話す李さんの日本語はかなり流暢(りゅうちょう)だ。 ソウルで美容室を経営する父の影響で、幼い頃から美容師を志した。店に置かれた雑誌を読み、日本人女性に流行するショートカットの可愛さに憧れた。「韓国はロングが主流。ショートが得意な美容師は少ない」。日本のスタイルを韓国に広めることを夢見た。 2018年に来日し、都内の日本語学校で2年間学んだ後、美容専門学校に入学。ただ、当時は日本で外国人が美容師資格をいかして働く道はなかった。外国人が日本で働ける職種は特定の分野に限られ、美容師は対象外。日本では長年、「資格を取れるのに働けない」状態が続いてきた。「特定活動」で5年間の在留資格 それが変わったのは、都が国に提案していた国家戦略特区が認められ、「外国人美容師育成事業」として昨年実現したからだ。要件を満たせば、「特定活動」の在留資格が与えられ、5年間、都内の美容室での就労が許可されることになった。 新制度のことを聞き、李さんは「日本で働こう」と思い定めた。 田谷では、シャンプー、カットから接客まで計126項目の技術を5年間で習得させることをめざす。李さんは、客にシャンプーやマッサージをするために必要な社内試験に入社1カ月で合格し、今は1日あたり約15人の客に対応している。 仕事中はメモ帳を常に持ち、韓国語や日本語を織り交ぜ、習ったことをすぐに書き込む。教育係の小野知恵美さんは「仕事熱心で成長意欲が高い。店には良い影響ばかり」と話す。 同社でカットやスタイリングを一人で担う「デザイナー」になるには、2年間の経験が必要という。李さんは仕事後も店に残り、同僚たちと練習を重ねる。「日本で学べることは何でも学びたい」 今回の規制緩和は、業界団体「都美容生活衛生同業組合」(渋谷区)の求めもあって実現した。 同組合によると、狙いは「日…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

事件前後で2回着替え、聴取「想定問答」も押収 殺人容疑の中学教諭

2023年5月13日 19時21分 東京都江戸川区の住宅で住人男性を殺害した疑いで同区立中学教諭が逮捕された事件で、尾本幸祐容疑者(36)が事件前後に少なくとも2回、服を着替えていたことが捜査関係者への取材で分かった。警視庁は捜査から逃れるためとみている。 警視庁は事件当日の2月24日を中心に、尾本容疑者の勤務先の学校や、現場住宅の周辺の防犯カメラを分析している。上下黒でフードかぶり 白手袋とマスク 捜査関係者などによると、尾本容疑者が事件当日に学校を出たのは午後1時ごろ。午後5時半ごろには、容疑者とみられる男が、学校から約170メートル離れた事件現場に向かう姿が映っていた。学校を出た際の服から変わり、上下黒っぽい服でフードをかぶり、白の手袋とマスクを付け、傘のようなものを持っていた。 事件後の同日夜、同一とみられる男が、江東区にある尾本容疑者の自宅方向に向かっており、この映像ではジーンズのようなズボンをはいていたという。 捜査関係者らによると、尾本容疑者は事件当日、午後の半日休をとっていた。申請は3日前だった。学校の出退勤記録システムでは、この日の容疑者の退勤は事件後となる「午後7時15分」と記されていたが、これは容疑者が学校の上司に頼んで記録していた。警視庁は事件時に在校していたように装ったとみる。 殺害された山岸正文さん(当時63)の住宅には血の付いたマスクが残されており、同庁が血を調べたところ、容疑者のものと矛盾しないと判明した。同庁は、血の付いたマスクなどについて聴取を受ける際の「想定問答」を押収。容疑者が作成したとみている。 同庁は容疑者が計画的に住宅に侵入し、その後に偽装工作に及んだとみている。容疑者は現在、黙秘しているという。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

テロ容疑者の生い立ちは伝えない方がいいのか 事件の背景を知る意味

有料記事真野啓太 真田香菜子2023年5月13日 20時00分 テロ事件の容疑者の生い立ちや動機は論じるべきではない――。選挙演説会場で岸田文雄首相のそばに爆発物が投げ込まれた事件のあと、責任転嫁や同情につながるという懸念から、そうした意見がネットを中心に飛び交った。事件の背景を知ることの意味を考えた。「物語化」と英雄視への懸念 事件をめぐっては、和歌山県警が兵庫県川西市の無職、木村隆二容疑者(24)を威力業務妨害容疑で現行犯逮捕。火薬類取締法違反(無許可製造)容疑で再逮捕された木村容疑者は黙秘しているという。 事件後、ジャーナリストの佐々木俊尚さんはツイッターにこう投稿した。 「テロリストの半生の屈折をことさらに取りあげて『社会が悪いからテロリストになった』というような物語を勝手に付与してしまうと、それは容易に英雄視につながってしまいます」 なぜこのような投稿をしたのか。佐々木さんに取材すると、事件の「物語化」への懸念を語った。 昨年7月の安倍晋三元首相の銃撃事件後、山上徹也被告の母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に高額献金をしていたことが明らかになった。それ以来、山上被告の「被害者」の顔が強調される報道が多いと佐々木さんは感じてきた。結果、山上被告の加害者としての行為を容認しかねないような空気ができあがってしまった、と言う。山上被告の減刑を求める運動が起き、作家の島田雅彦さんがネット番組で「暗殺が成功してよかった」と発言(のちにツイッターで「軽率な発言により、大きな誤解を招いたことを反省し、今後、慎重な発言に努める」と釈明)するなど、暴力を容認するかのような言説も生まれた。記事の後半では、犯罪学と政治思想の視点から、事件の背景を広く社会で共有することの意味を考えます。報道の規制を唱える主張は「愚民観」に基づくものだと専門家は指摘します。 佐々木さんは、昭和初期の5…この記事は有料記事です。残り1750文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

麦の表情と命の輝きを撮る「麦グラファー」 人生を変えた景色とは

 麦の撮影をライフワークにする写真家がいる。麦に見いだす魅力はその生命力の強さ。6年間で撮ったのは6万枚超。その1枚が今年、世界最大級の写真コンテスト「ソニーワールドフォトグラフィーアワード」の日本部門で最優秀賞に輝いた。受賞作は18日まで、東京・銀座で展示される。 受賞作の名前は「PHOENIX(フェニックス)」。野焼き中の麦畑をドローンを使って上空から撮り、想像上の火の鳥になぞらえた。撮影したのは、佐賀市の平野はじめさん(37)。「麦」と「フォトグラファー」を合わせ、「麦グラファー」を自称する。 平野さんは同市出身。麦畑が身近な環境で育った。音楽やファッションなどの趣味は個性的で、「一人の世界を愛する性格」だという。中学卒業後、一時は高校に通ったが中退。バーテンダーやとび職など仕事を転々とした。20代はフリーのグラフィックデザイナーとしてロゴ制作などをしていたが、何が本当にしたいことなのかは、わからないままだったという。「目的がないまま人生を終えたくないな」。そんな気持ちが日を追うごとに強くなり、27歳だった2013年7月に、北米の雄大な景色に憧れてカナダ・バンクーバーに渡った。 写真の魅力に気づいたのはこのころだった。日本では見たことのない建物や風景の魅力を家族や友人に伝えたいと写真を撮り続けた。15年に帰国し、フリーのカメラマンとなったが、納得できる写真は撮れずにいた。そんなとき心を動かされたのが17年春、よく晴れた夕方のこと。自宅近くを車で走っていた際、等間隔に植えられ、風に揺れて黄金色に輝く麦畑に目を奪われた。 「地元にもこんなきれいな場…この記事は有料記事です。残り750文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

トカラ列島近海で地震、鹿児島・十島村で震度5弱 津波の心配なし

2023年5月13日 16時37分 13日午後4時10分ごろ、鹿児島県のトカラ列島近海を震源とする地震があった。気象庁によると、十島村で最大震度5弱を観測した。地震の深さは約10キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5・1と推定されている。津波の心配はないという。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル