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徴用工問題、韓国の「解決策」を日本の支援者が「被害者不在」と批判

 日韓間の懸案である徴用工問題をめぐって、韓国人元徴用工らの訴訟を日本で支援してきた市民団体関係者らが16日、国会内で記者会見した。尹錫悦(ユンソンニョル)政権が検討している、韓国の財団が日本企業の賠償を肩代わりする「解決策」について「被害者を置き去りにした『解決』は禍根を残す」と批判する声明を発表した。 尹政権は戦時中に日本に動員された朝鮮人の労働について、2018年の韓国大法院(最高裁)判決で確定した日本企業の賠償分の支払いを韓国の財団が肩代わりする解決策を準備している。 声明では「強制労働の事実と(日本企業の)不法行為責任が認定され、(韓国大法院)判決が確定した」と強調。「被告企業が謝りもせず、償いとして1円も出さないのでは解決と呼べない」と批判した。原告の元徴用工らが「解決案に納得していない」と指摘し、日本政府と企業に対し「被害者の思いを真摯(しんし)に受け止め、被害者が納得できる解決案を示す」よう求めた。 声明は中沢けい・法政大教授や外村大・東京大教授らが呼びかけ、弁護士や研究者ら94人が賛同した。中沢教授は「徴用工自体は過去の話だが、謝罪するかどうかは現在の問題。いま謝ることで、日韓間を対等なよい関係に築き直そうということです」と述べた。(編集委員・北野隆一)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

原発立地の刈羽村に漂う不信感 東電は信頼回復にあの手この手

 原発回帰にかじを切った政府が夏以降の再稼働をめざす東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の地元・刈羽村を歩くと、再稼働への期待と、拭えない東電への不信感がない交ぜになっていた。 海沿いに立つ原発から国道を隔ててすぐ向かいに、「ぴあパークとうりんぼ」はある。照明設備と観客席を備えた緑鮮やかなサッカー場が広がり、開放的なデザインの建物には露天風呂付きの温浴施設や宿泊施設が入る。福島第一原発事故後の2012年10月、東電からの寄付40億円を使って村がオープンさせた。 2面あるサッカー場は20年度、人工芝が張り替えられ、熱中症対策に散水設備が導入された。村が投じた3・1億円の主な財源は、原発の立地自治体へ交付される「電源立地地域対策交付金」(電源交付金)だ。 村は、財政の豊かさを示す「財政力指数」が県内トップ。数少ない地方交付税の不交付団体でもある。21年度は一般会計の歳入約71億円のうち、電源交付金や固定資産税など原発関連が6割以上を占めた。 福島第一原発の事故後から続く運転停止は10年を超える。動いていなくても「原発マネー」で潤う村を横目に、原発近くの飲食店の男性店主はため息をつく。午後7時すぎなのに店内はがらんとしている。 原発が稼働中は、東電の青色…この記事は有料記事です。残り729文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

東電社長、柏崎刈羽の首長を3年ぶりに新春訪問 再稼働には触れず

 東京電力の小早川智明社長は16日、政府が再稼働を目指す柏崎刈羽原発の地元、新潟県柏崎市と刈羽村の両首長を年始のあいさつのため訪れた。テロ対策の不備を受けた原子力規制委員会の追加検査が春にも終了し、再稼働へ準備が本格化する可能性もあるなか、慎重な発言に終始した。 年始のあいさつはコロナ禍前の2020年以来3年ぶり。岸田文雄首相が今夏以降の再稼働方針を示すなど、原発推進への政策転換を昨年末に正式に決めてからは初の訪問となった。 小早川社長は桜井雅浩市長との面会で、テロ対策の不備の再発防止に関し「一つひとつの積み重ねによって、地元の皆さまに安心、信頼をいただけるような状況をつくれるのではないかと考えている」と述べるにとどめるなど、再稼働に言及することはなかった。桜井市長は「再稼働は喫緊の課題で、日本にとって非常に重要なことだ」とし、安全対策の徹底を求めた。 同原発では再稼働に必要な主…この記事は有料記事です。残り224文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「いやー」「やめて」と叫び声 博多駅前で女性死亡、刃物持ち逃走か

2023年1月16日 21時16分 16日午後6時15分ごろ、福岡市博多区博多駅前2丁目の路上で、「女性が刺され、仰向けに倒れている」と福岡県警に通報があった。目撃者によると、男が女性に馬乗りになっていたという。女性は病院に搬送されたが、まもなく死亡した。 現場はJR博多駅の博多口の目の前で、オフィスビルやホテルなどが並ぶ大博通り沿い。通行人や車の通りが多く、捜査員らが調べる様子を通りかかった人たちが不安そうに見つめていた。 現場近くのコンビニエンスストア横の路上には、血痕のようなものも見え、ビニール傘やタオルのようなものも残されていた。 事件発生当時、近くを通りかかったという女性は「『いやー』『やめて』という女性の叫び声が聞こえた」と振り返った。 現場近くで働く60代女性によると、「早く警察を呼んで」と叫ぶ男性の声が聞こえたという。目撃したという男性によると、博多駅方面に逃げたという。 県警によると、男は包丁のような刃物を所持し、30~50歳代で、黒色の上着を着ていたという。現場に刃物はなく、男は刃物を持って逃げているとみられる。県警は殺人容疑で男の行方を追っている。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

警察官に発砲された男は失血死、3カ所に銃弾 窃盗容疑で指名手配中

 大阪府八尾市で13日、警察官が盗難車に発砲し、運転手の男が死亡した事件で、大阪府警は16日、運転していた住居、職業不詳の石橋健太容疑者(41)の右脇腹など3カ所に銃弾が当たり、死因は失血死だったと発表した。府内などで発生した窃盗事件に関与したとして、府警が昨年12月28日に窃盗容疑で指名手配していたという。 捜査関係者によると、石橋容…この記事は有料記事です。残り346文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

阪神大震災を機にできたNPO、半数超「活動資金」「人手不足」課題

 「ボランティア元年」と呼ばれた阪神・淡路大震災をきっかけに特定非営利活動促進法(NPO法)が成立して今年3月で25年。震災を機に設立されたNPO法人などに朝日新聞がアンケートしたところ、回答した51団体の半数超が世代交代が思うように進んでいなかった。活動資金が不足し、新たな人材を確保しにくい状況が浮かんだ。 アンケートは、震災を機に被災者支援を目的にして設立されたり、被災地で活動したりしたNPO法人や任意団体など計77団体を対象とした。 回答した51団体のスタッフ数は1~101人と幅広く、10~19人が18団体で最も多い。大半は兵庫県内に拠点を置く。震災直後は避難所や仮設住宅の訪問などを担い、復興に伴って福祉サービスなど「平時」の活動に移行した団体が多い。 現在の課題(複数回答)を尋ねると、半数超の団体が「活動資金」「人手不足」を選び、4割超が「世代交代」を挙げた。進まぬ世代交代「このままでは将来ない」 世代交代については、半数超の計27団体が「進んでいない」「どちらかというと進んでいない」とし、「進んでいる」「どちらかというと進んでいる」の計24団体を上回った。 背景に浮かぶのは資金不足だ。高齢者や女性を支援する団体は「人材確保のため給与を上げたいがままならない」。地域の交流の場をつくる団体は「若手を採用したいが収益事業が少なく、世間並みの給料を払うことができない」と答えた。 世代交代が進まないことについて、高齢者支援に関わる団体は「ニーズは年々増加しているが、スタッフ不足と高齢化で応えきれていない」。災害時の支援計画づくりをサポートする団体は「若手の人材が乏しい。このままでは将来はない」とした。 「活動の歴史やノウハウを短期間で伝えにくい」「事業精神の継承が危惧される」など、震災当時からの理念や思いを共有する難しさも浮かんだ。 一方、世代交代が進んでいる…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

焦点は教団の統治、献金の流れ 文科省18日にも3回目質問権

 文部科学省は16日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する3回目の「報告徴収・質問権」行使に向けて、18日に宗教法人審議会を開いて質問事項などを諮問すると発表した。3回目は教団の組織や献金の流れについて、より詳細な内容を尋ねる方針だ。審議会で了承されれば、18日中にも質問を教団に送る。 文科省は昨年11月22日…この記事は有料記事です。残り310文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 旧統一教会問題2022年7月8日に起きた安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに、旧統一教会の問題に注目が集まっています。特集ページはこちら。[記事一覧へ]Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「このままでは将来ない」 震災28年 NPO、不足する資金と人手

 行政の手が届かないところに目配りして支える。そんな市民の動きを後押しするため、特定非営利活動促進法(NPO法)は生まれた。阪神・淡路大震災で活動した団体などへのアンケートから浮かぶのは、資金不足で世代交代が進まない実態だ。一方で、次世代へつなげようと独自の取り組みを続ける団体もある。(稲垣大志郎 田添聖史 岩本修弥) 「若い人を採用しないと生き残るのはしんどい。でも、お金がついてこない」 NPO法人「東灘地域助け合いネットワーク」(神戸市東灘区)の村山メイ子理事長は、そう嘆く。 団体は震災直後から住民の安否確認などを担い、復興が進むにつれ、子どもの学習支援や障害児の放課後デイサービスなどを始めた。ただその間、スタッフの高齢化が進んだ。15人のうち9人が60代以上だ。 採算の取れない事業もあるが、家事支援など住民に寄り添う事業はやめられない。行政からの委託事業収入などでまかなうが、先は見通せない。若い人を雇ってSNSでの発信を強化し、寄付を集めたい。新たな収益源も見つけたい――。だが、「私たちはボランティア精神でやってきたから、若いあなたたちもね、というわけにはいかない」。未来の担い手「基金」で後押し そうしたなか、基金をつくっ…この記事は有料記事です。残り1653文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

震災2日後、ひしゃげて開かない支店金庫 営業課長は換気口に入った

 ここに1枚の写真がある。 天井がはがれ落ちて、フロアの奥は埋もれているようだ。階段はあるが、寸断されているみたいで、他の階の状況はうかがい知れない。そんな室内の惨状を、ヘルメットをかぶった男性らが見渡している。 写真は、大阪市にある三菱UFJ銀行の書類保管庫の中で眠っていた。刻まれた撮影日は1995年1月19日。当時の行員の証言から、阪神・淡路大震災の2日後、三菱銀行兵庫支店の2階を写したものだとわかった。 兵庫支店は2日前の早朝に発生した阪神・淡路大震災で全壊した。泊まり込みの警備員が救助された後、無人となった店内には、現金や貸金庫内の貴重品、取引のデータがそのまま残されていた。28年前のあの日、三菱銀行兵庫支店は震度7の揺れで建物が全壊しました。当時、支店で働いていた行員たちは、自らの被災と街の復興にどう向き合ったのでしょうか。証言でたどりました。 顧客の財産を守るためには、店内の貴重品を引きあげ、業務の再開に道筋をつける必要があった。しかし、余震が続き、店内はいつ崩落するかわからない。 いよいよ本格的に店内に足を…この記事は有料記事です。残り1459文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

手渡された映画のパンフレット 美術館員が驚いた親戚からの一言

 東京出張の折、いつものように映画館に立ち寄った。新作映画のパンフレットを集めるためだ。 その中に「ハッピーアワー」と題した映画があった。 《ほとんどの登場人物を演技未経験者がつとめ、総尺5時間17分の大作となった》 そんな一文に目がとまった。主演の4人はワークショップの受講生から選ばれ、ロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞したという。 監督は濱口竜介。当時は商業映画でデビューしていない無名の存在だった。 「新人監督で素人の役者を使おうという人はいない。普通なら俳優を集めて撮るはずなのに」 高知県立美術館スタッフの浜口真吾さん(60)は、新しい才能に出会ったようで、映画ファンとしてうれしかった。2015年のことだった。 3年後に公開された「寝ても覚めても」は、カンヌ国際映画祭のコンペ部門に正式出品され、話題を呼んだ。濱口監督が自身の演出論について記した「カメラの前で演じること」(左右社)も手に取り、考え方に魅了された。「新しい演出方法に挑戦しながら、国際的に評価される長編映画を作り続ける監督が日本から出た」 その喜びは驚きに変わった。 浜口さんの父のいとこは、洋画家の濱口喬夫(たかお)。その息子の達男さんと酒を飲んだとき、一枚の紙を渡された。「寝ても覚めても」のパンフレットだった。 「息子がこの映画を撮ってる…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル