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国葬反対デモについていった高校生の気づき 熱気はなぜ伝わらない?

 期末試験が終わった9月27日午後2時前。仙台市の高校3年生、白坂里彩(りさ)さん(18)はスマホで安倍晋三元首相の国葬関連のニュースを眺めていた。 《ああ、今日は国葬で半旗掲揚しているんだよね。見に行こうかな》 半旗を掲げる宮城県庁に向かう道中、隣の勾当台公園から「国葬反対! 国民の生活考えろ!」とデモ行進の声が聞こえてきた。 半旗を写真に撮り、興味本位でデモについていった。反対の声を上げて歩く人々はだいぶ年上で、同世代はいなさそう。 撮影していたら、参加者から「若い子が来てくれてうれしい」と言われた。自分も国葬には反対だったが、参加したいかと言われたら別だ。 《色々な考えの人がいること…この記事は有料記事です。残り513文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

スカート姿の自分、受け入れてくれた彼女 そば店営む2人の思い

 共同店主として京都府福知山市でそば店を切り盛りしながら、性的少数者と理解者として講演活動を続けるペアがいる。当事者と理解者で続ける活動には、「全ての人を大切にしてほしい」という思いが込められている。 2人は、福知山市雲原の大江山にあるそば店「大江山鬼そば屋」の、5代目おかみの中村麻美(まみ)さん(62)と、7代目店主の佐々井飛矢文(としふみ)さん(37)。約170年の歴史がある店を共に経営する。そば打ちも接客も担当する佐々井さんは、身体は男性として生まれたが、自認する性は男女どちらとも決めがたい性的少数者。店では自分で作ったスカートを着用して働く。 佐々井さんが「麻美さん」と呼ぶ中村さんは、佐々井さんをありのまま受け入れる理解者だ。2人は昨年から一緒に講演活動を始めた。佐々井さんは「講演を聞きに来る人の多くは、受け入れる側。麻美さんと変わらない。受け入れる『理解者』が、特別な人ではないことを伝えたい」と話す。「らしさ」押しつけないで 埼玉生まれの佐々井さんが自分の性に違和感をもったのは、中学生のころだった。大学時代には女性の恋人もできたが、「自分の中の女性が恋人に嫉妬してしまうこともあった」という。恋人のことが「大好きだけど大嫌い」になり、一緒にいるだけで涙が出ることもあった。そううつ状態になり、治療も受けるほど、心の振幅は大きくなっていった。 そんな時、佐々井さんは中村さんと出会った。14年ほど前、大学の研究で福知山市を訪れた佐々井さんが、そば店に食事に来たことがきっかけだった。男性がスカートをはく姿に、中村さんは、最初は驚いたが、違和感はなかったという。 その後、先代の店主に誘われて、佐々井さんは2015年にアルバイトとして店に入る。住まいも店の近くに移したことで、中村さんと急速に親密になった。中村さんは「佐々井さんの話し方やしぐさ、考え方にひかれた。女の人のかっこうをしてても関係ない、と思った」。 2人が講演を引き受けるのは、それぞれ周りに「男らしさ」「女らしさ」という考えのもと、生きづらい思いをした人がいたからだという。講演では、肉体の性と社会的な性(ジェンダー)との違いについて説明し、男らしさ、女らしさについて自分の体験をもとに語りかける。 8月の講演で、佐々井さんは「『男らしい』と思って、大事な女性を車に乗せる時にはドアを開ける。でも他人が、私の思う『男らしい』ことをしていないから男ではないとは思わない。皆さんも、自分の考えを押しつけないで」と語った。 中村さんは「例えば、女性が消防団活動をするとほめられるが、男性は男だから当たり前だ、とほめられないことがある。一生懸命やっているのに。当たり前だと言われた側は苦しいでしょう」と話す。 佐々井さんは、自分を自然に受け入れてくれた中村さんと出会い、受け入れられたことで心の波をコントロールできるようになったという。佐々井さんはこう話す。「性の多様性の前に個人の多様性を受け入れるのが前提。性の多様性の尊重は個人の尊重の一つに過ぎないんです」(滝川直広)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

秋の訪れ、色鮮やか 広島県世羅町で1万2千株のガーデンマムが見頃

上田潤2022年10月2日 10時30分 広島県世羅町の観光農園でガーデンマムが見頃を迎え、秋の訪れを告げている。30品種、約1万2千株が植えられている「世羅高原農場」では、直径50~60センチの丸い株が赤、黄、白、オレンジなど色ごとに並べられ、「水の流れ」をイメージした花絵となって来園者の目を楽しませている。 ガーデンマムはキク科で、日本のキクが明治時代にヨーロッパに渡り園芸用として改良された品種。同園では今月中旬まで見頃という。(上田潤)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

現存最古の「胴」の三線、沖縄へ里帰り 状態良く残った意外な理由

 琉球王国時代の1825年に作られた現存最古の胴が付いた三線(さんしん)「附胴(つけたりどう)三線」が、沖縄県立博物館・美術館に寄贈された。11月6日まで、同館の常設展で見ることができる。 三線は、琉球伝統の弦楽器。14世紀に中国から持ち込まれた楽器が、琉球王国で発展し、その後上方にもたらされて、全国に三味線として普及したといわれる。 この三線は、内部に「道乙酉(どうきのととり) 渡慶次(とけし)作」と墨書きされている。同館によると、「道乙酉」は中国の元号で道光5年(1825年)を指し、渡慶次という人物によって作られたとみられる。 徳之島(鹿児島県)の有力者「直富主(なおとみしゅ)」が琉球王国の首里で入手し、子孫に受け継がれてきた。成人男性が食べる量の2年半分の米を対価に手に入れたと伝わり、島の郷土史には「(この三線を弾けば)沖合三里の釣り船にも音色が聞こえた」と記されているという。 寄贈したのは、神奈川県鎌倉…この記事は有料記事です。残り402文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

首都高「ルーレット走行」約80キロ超過か 追突し重傷負わせた疑い

大山稜2022年10月2日 10時48分 首都高速道路環状線を高速周回する「ルーレット走行」中に追突事故を起こし相手の運転手に大けがを負わせたとして、警視庁は2日、住所不詳の30代の男を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。同庁は、男が事故当時、制限速度を約80キロ上回る時速130キロ近くで走行していた可能性があるとみている。 捜査関係者によると、男は昨年9月23日午前2時55分ごろ、東京都港区東麻布2丁目の首都高都心環状線外回りで乗用車を走行中、前方のごみ収集車に追突し、収集車の運転手の男性に3カ月以上の重傷を負わせた疑いがある。調べに対し、「事故を起こしたのは間違いないが、速度については納得できない」と話しているという。 現場は片側2車線の直線道路。男の乗用車とごみ収集車はいずれも右車線を走行しており、事故は男がごみ収集車を左側から追い越そうとした際に起きたとみられるという。ごみ収集車の男性は事故で右肩を脱臼して骨が突起したままとなるなどの障害が残ったという。 高速道路交通警察隊は当初、男を任意で調べていたが、聴取の呼び出しに応じなくなり行方をくらませていたことから、逮捕により身柄を拘束したとしている。(大山稜)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

悠仁さま、お一人で伊勢神宮に参拝 「生きる正倉院」も見学

2022年10月1日 18時17分 秋篠宮ご夫妻の長男悠仁(ひさひと)さまが1日、三重県伊勢市の伊勢神宮に参拝した。宮内庁によると、今回は私的な訪問で、お一人での参拝は初めて。 悠仁さまはスーツ姿で1日午後、伊勢神宮の外宮と内宮にそれぞれ参拝。その後、市内の神宮美術館を訪れ、伊勢神宮の神宝と、正倉院宝物の精巧な模造品が展示された特別展「生きる正倉院―伊勢神宮と正倉院が紡ぐもの―」(11月9日まで)を見学した。 神宮司庁の関係者らの案内で展示品を一つひとつ見て回り、伊勢神宮の神宝の琴について、「(弦は)切れないものですか」「製造年はいつですか」と質問した。神宝と正倉院宝物との共通点、違いについて特に関心を示したという。 外宮から内宮へ移動するときには、沿道の人々に会釈する様子もみられた。 宮内庁によると、悠仁さまは2013年3月に秋篠宮ご夫妻、次女佳子さまと一緒に伊勢神宮に参拝している。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

参院選に挑んだ「コリア系日本人」 金泰泳さんが探る在日の新しい姿

 今年7月の参院選に、日本国籍を取得した在日コリアンが立候補した。東洋大学教授の金泰泳(キムテヨン)さん。これまで朝鮮籍、韓国籍、日本籍と変えてきた。「国籍はアイデンティティーの一部だが、着脱可能なもの」と語る金さんが考える、これからの在日の姿とは。 韓国籍でしたが、2009年に日本国籍を取得しました。「内側」から日本を変えたいとの思いが強くなったためです。落選はしましたが、金泰泳の名前で今年の参院選に立候補しました。 1963年、愛知県生まれ。専門は社会学。父は在日1世、母は2世。日本名は井沢泰樹。 生まれた時は朝鮮籍。高校まで通名で生活していました。生まれ育った町には在日が多く住んでいましたが、隠して暮らす人が大半でした。だから、誰が在日なのかわからず、仲間意識もなかった。 学校で在日への差別発言を聞いたり、同級生の出自が暴かれたりしても、周囲にあわせて笑ったり、逆に黙って知らぬふりをしたりしていました。「いつ自分が標的になるか」と怖かったからです。罪悪感より、自分を守ることが第一でした。被差別部落出身の青年を描いた島崎藤村の「破戒」を読んだ時、自分のことだと思いました。 転機は進学です。家計が苦しくて、選んだのは、大阪市立大学の夜間部でした。そこで知り合った在日たちは、本名を隠さずに生きていました。それが、まぶしかった。18歳の時、級友の前で「これからは金と呼んでほしい」と、本名を宣言しました。そこから、韓国語も学び始めました。 よかったことばかりではありません。本名を名乗ったら、アルバイトをクビになったこともありました。本名で暮らす在日コリアンたちに出会い、民族意識にめざめた金泰泳さんですが、在日の子どもたちへの教育に関わる中で、自分に起きた変化にも疑問の目を向け始めます。また、民族教育の理念が抱える矛盾にも直面します。記事後半で語ります。 在日の子を対象にした民族学…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

小さな油断が大きな事故 山岳救助隊が語る秋の登山で遭難を防ぐ5点

 登山はちょっとした油断が大きな事故につながることがある。そして、ひとたび遭難をすれば、救助は簡単ではない。今夏は山岳遭難が増えた。秋山シーズンを迎え、山に入る人は注意が必要だ。 警察庁によると、全国で今年7~8月の山岳遭難者は786人で前年より189人増え、統計が残る1968年以降で2番目に多かった。コロナ禍3年目の夏で行動制限がなかったこともあり、全国で遭難が相次いだ。 今年に限らず、遭難で最も多い原因は道迷い。次いで、滑落や転倒が目立つ。その背景には、登山者の疲労もある。ぬかるみで転倒、足首に激痛 2年前の夏、大阪府和泉市の会社員・守山忠志さん(60)と妻の晴江さん(57)は初めて訪れた尾瀬で遭難した。 尾瀬は福島、群馬、新潟の3県にまたがる人気エリア。夫妻は日本百名山で東北最高峰の燧ケ岳(ひうちがたけ)(標高2356メートル)に登ったが、選んだルートが巨岩の連続で体力を奪われた。 天候が悪くなりそうで、最終バスの時間も気にしながら下山。ぬかるみを避けて歩くときに晴江さんが転倒し、右足首が激痛で歩行困難になった。 携帯電話は「圏外」。忠志さんが人がいる場所まで1時間ほど下山し、救助を要請した。地元の消防から山岳救助隊が向かい、降り始めた大雨と暗闇の中で隊員が交代で背負って下山した。 晴江さんは右足首の骨が折れ、脱臼もする重傷だった。海外の山を登った経験があり、装備も備えて臨んだが、思わぬ大けがを負った。「疲れや時間的な焦り、ぬかるんだ山道もあったが、ふとした油断があった」と晴江さんは振り返る。 救助にあたったのは、尾瀬など福島県南西部の山岳地帯をエリアに持つ南会津地方広域市町村圏組合消防本部。全国の状況と同様に、この夏はあわただしかった。 8月下旬、福島と栃木の県境にある那須連山の三本槍岳(さんぼんやりだけ)(1917メートル)で、小学生と父親の親子を救助した。50メートル先が見えないような深い霧に包まれる中、疲労でともに動けなくなっていたという。ゆとりを持った行動を 同消防本部は秋山シーズンの登山について、装備や登山計画書の提出、家族に行き先を伝えるといった基本的な対策に加え、次の点に注意を呼びかけている。①日没が早いので、時間にゆとりをもって計画する。日没に備え、ヘッドライトを携行する。ヘッドライトはヘリコプターから発見する時の手がかりにもなる。②寒暖の差が大きいので、重ね着の組み合わせを工夫し、着替えも準備する。体温が下がると、足が動かなくなるおそれがある。③気温差によってガスの発生が頻繁になり、進行方向を見誤る可能性が高くなるので、地図やコンパス、登山者向けの地図アプリ「YAMAP(ヤマップ)」などで細かく確認する。④体温を下げないために、温かいお湯を準備する。バーナーなどの野外用調理器具を携行する。⑤クマやイノシシなどの野生動物から身を守るために、熊鈴や笛、撃退スプレーを準備する。 登山だけでなく、秋は例年、キノコ採りで山に入った人の遭難も相次ぐ。特にキノコ採りでは場所を秘密にするために、行き先を知らせずに出かけることも少なくないという。そして、秋は日没も早く、救助は時間との戦いにもなる。 同消防本部で長く山岳救助隊長を務めてきた星竜平・警防課長補佐は「山を楽しむためにも、自分は大丈夫だと過信せずに安全への備えを再確認してほしい」と話す。(張春穎)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

スッポンで闘魂「逆注入」した飲食店主 猪木氏の死を悼む

 1日に亡くなったアントニオ猪木さんは、約15年前から大阪市福島区の飲食店「手料理 右近」を訪れていた。店主の岩本張男さん(55)によると、猪木さんは笑顔でギャグを言って周りを楽しませ、「みんなに元気を与え、自分自身もパワーをもらっているようだった」という。 猪木さんから「いろんな人からもらうけど、自分で食べるおせちは君のところのだよ」と言われ、年末によく、おせち料理を贈っていた。油性ペンで「闘魂」と書いた器を送り返してもらったこともあるという。 昨年9月には、病気療養中だ…この記事は有料記事です。残り205文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

両陛下、栃木国体に出席 笑顔で手を振る皇后雅子さま

多田晃子2022年10月1日 18時50分 天皇、皇后両陛下は1日、宇都宮市で開かれた第77回国民体育大会の総合開会式に出席した。両陛下の地方訪問は2020年1月以来で、新型コロナの感染拡大後初めて。 天皇陛下は「おことば」で、国体が新型コロナの影響で、3年ぶりの開催になったことについて触れ、「日頃の練習の成果を十分に発揮されるとともに、改めてスポーツのすばらしさを実感しつつ、お互いの友情を育み、地元栃木県の皆さんとの一期一会を大切にして、すばらしい思い出を作ってください」と述べた。今年の夏の大雨や台風による被害にも言及し、「被災され、様々な苦労をされている多くの方々のことを案じております」と語った。 この日の陛下は水色のネクタイを着け、皇后さまは上下青色のスーツ姿。炬火(きょか)台への点火や、ダンスパフォーマンスなどを見て、盛んに拍手を送っていた。 今回の訪問では、新型コロナの感染拡大を防ぐため、両陛下は皇居から車を使い、栃木県を訪れた。県によると、開会式の会場近くの沿道などで出迎えた人は約5千人。両陛下は車の速度を落とし、応えた。 国体は、両陛下の定例地方訪問「四大行幸啓」の一つ。今回の訪問は、新型コロナの感染状況などから日帰りとなり、競技の観戦や国体関係者との交流などは行われなかった。 開会式後、両陛下は鹿沼市で福田富一知事から県勢概要を聞いた。福田知事によると、陛下はコロナ禍での国体開催について「感染防止対策に相当気を使って今日の開会式を迎えたんでしょうね」と話したという。県の特産物のイチゴも話題になり、皇后さまは、長女愛子さまが「イチゴが大好きなんです」と語ったという。福田知事は、沿道で多くの県民が両陛下の出迎えや見送りをしたことに「お喜び頂けたのかなと感じた」「心に響くものがあったと思う」と話した。(多田晃子)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル