「役立つとき来る」 喫茶店主が守り続けた公衆電話、27年間の物語
午前中、喫茶店の前に1台の軽トラックが止まった。 「お客さんかな」 窓越しに気づいた店主の岡本美治(みはる)さん(80)は、そう思ったが、車から降りてきた作業着姿の男性は、店には入ってこなかった。店先の公衆電話で数分間通話をして、そのまま立ち去った。 同じ日の午後。今度はスーツ姿の男性がライトバンでやってきて、10分近くも話し込んでいた。 ふだんは見向きもされない店の公衆電話。 「1日に複数の人が使うのは珍しいな」ぐらいに思っていた。 夕方にテレビをつけて、事態をのみこんだ。携帯電話大手のKDDIで大規模な通信障害が起きている、とニュースが伝えていた。7月2日のことだ。 そういえば、スーツ姿の男性は、仕事先への電話だったのかも。役に立てたかな……。 携帯電話の普及とともに街から消えゆく公衆電話。それでも、岡本美治さんは店先の公衆電話を守り続けてきました。その意志を支えたのは、27年前のある「原体験」でした。そして、誰も見向きもしなくなった公衆電話を撤去させないため、岡本さんがこの間こつこつと続けてきたこととは――。 神戸市須磨区の住宅街にある…この記事は有料記事です。残り1913文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル