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えみちゃん置いていくのか 妹の涙の選択、二つの石像にかける声

 福岡県筑豊地区の住宅街。夜、とある家の庭先に明かりがともる。照らされる二つの石像は「くまモン」と「ばいきんまん」。ここで姉妹が長年、家族と一緒に暮らしていた。 姉の近藤恵美子さんは生後8カ月で高熱を出し、脳性小児まひに。左腕は不自由だが、右腕や足をゆっくりと動かすことはできる。言葉も理解しているものの、発する声は「あー、あー」としか聞こえない。 妹のまさこさん(54)が、代わりに姉の言いたいことを言葉にする。腹をさすると「おなかが減ったのね」。消し忘れた照明を指すと「電気を消すね」。だが時にもだえるように何かを訴えることも。まさこさんが思いつく言葉を口にすると、姉は首を振ったり、うなずいたり。 「みんなに迷惑かけている」 「そんなことないよ」 時間をかけて、そんな会話を2人で交わしてきた。 まさこさんは高校中退後、県外で就職したが、姉のことが気がかりで1年で戻った。交際していた男性を家族に紹介すると、周りは結婚を勧めてくれた。けれど、悩んだ。 「えみちゃんを置いて家を出…この記事は有料会員記事です。残り390文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

浅草で昨年比63%増、嵐山で32%増 3連休初日の人出は?

 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が猛威をふるい、感染が急拡大するなか、8日から3連休が始まった。 3連休初日の人出について、各地の主要駅周辺を対象に、感染が拡大していた2021年、コロナ禍前の20年と比べた。NTTドコモの携帯電話の位置情報から推計した午前10時~午後2時のデータでみると、人出は21年よりも増えたが、20年ほどには戻らなかった地点がほとんどだった。 昨年比で増加率が大きいのが、浅草(東京都台東区)の63%増、天神駅(福岡市)の45%増、新宿駅(東京都新宿区)の38%増、嵐山(京都市)の32%増など。 例外は過去最多の感染者数を更新し続けている沖縄県の国際通り(那覇市)で、今年も前年割れの結果となった。 国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「感染力が強いオミクロンとの闘いはこれまでのウイルスとは異なるという認識を持たなければならない。この1週間でもわかるように短期間で感染者が急増すれば、医療・介護の分野をはじめ社会が急に機能停止する恐れがある。接触機会を減らす▽マスクの着用▽3密を避ける、といった基本的な対策を徹底していく必要がある」と話した。(長野佑介)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

迫る中学、高校、大学受験 今できること、しなくていいこと

 年が明け、本格的な受験シーズンが到来した。コロナ禍が続くなかで今年の受験はどうなるのか。受験生はどう動けばいいのか。中学、高校、大学受験の塾担当者に聞いた。(聞き手・宮坂麻子、川口敦子)中学入試 直前期のNGワードとは ~サピックス小学部教育情報センター本部長・広野雅明さんのアドバイス  中学入試が始まりました。コロナの感染が広がる可能性もあるので、体調管理を第一に考えてください。この時期、新たな勉強には手を出さない。時事的なことを親子で話したり、これまでの内容を徹底したりする方がいい。1度解いた過去問を解いて、点数が上がった部分を親が褒めて自信をつけるのもいいでしょう。 1月中に複数回入試がある学校は2、3回目の方が合格しやすい場合が多い。1回目で不合格なら2、3回目も挑戦してください。東京の私立中の入試がスタートする2月1日までに進学先を確保していれば、本人も自信を持って2月に臨めます。サピックス小学部教育情報センター本部長の広野雅明さん=東京都渋谷区代々木のサピックス小学部 終わった入試の間違い直しは…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

日本に残る「壁」、どう崩すか 衝撃的だった500超の車いす席

 慌ただしく人が行き交う師走の東京駅の新幹線ホーム。電動車いすの女性は手元のスティックを操作し、車内に一人で入れることを確認した。介助者や駅員など、誰かの手助けを必要としないのは、ホームと車両の隙間などが解消されたためだ。「これなら一人でどこにでも行けそう」 女性は障害者にかかわる問題の解決をめざすNPO法人「DPI日本会議」のメンバーだ。同会議事務局長の佐藤聡さん(54)は「自由に移動できるのは誰もが持つ権利」と話し、女性とともに活動を続ける。 佐藤さんは9歳のころ、遊んでいる最中に脊髄(せきずい)を損傷し、車いす生活となった。当事者目線での「気付き」を行政機関などに伝え改善を図ろうと、2014年から活動に加わった。特に力を入れるのが公共交通機関のバリアフリー化だ。段差や隙間など、「壁」を取り除くことで障害者と社会がつながりやすくなると考えるからだ。 様々な亀裂が生じ、分断が進んでいるように見える今の日本社会。手を取り合ってつながろうとする動きや人たちを追う連載の第4回です。佐藤さんが感じる「壁」は物理的なものだけではありませんでした。「遅れている…」米国スタジアムでの体験、原動力に 「障害は障害者個人にあるの…この記事は有料会員記事です。残り1325文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「不自由展」封筒破裂、名古屋・大阪会場は同一犯か 同じ差出人名

 昨年7月に「表現の不自由展・その後」の関連展示をしていた名古屋市の市施設に郵送された封筒が破裂した事件で、差出人名や消印の郵便局名が、その約10日後に大阪市の同様の展示会場に送られた郵便物と同じだったことがわかった。電池を使う仕掛けも同じだった。愛知県警は、同一人物の犯行とみて威力業務妨害の疑いで調べている。名古屋会場での破裂は8日で発生から半年を迎えた。 捜査関係者によると、両会場に送られた封筒には、ともに右翼団体を連想させる差出人名があり、兵庫県内の郵便局の消印が押されていた。単3電池やリード線を使って、開封すると火薬に通電し破裂する仕組みも同じで、展覧会の中止を求める文書が入っていた。 犯行声明などは確認されていない。捜査幹部は「誰でも入手できる材料。関与した人物の割り出しには時間がかかる」と話す。 愛知県警は、消印のあった地域の防犯カメラ映像の分析や、郵便局員らへの聞き込みをして捜査。展示に批判的な団体などからも情報を集めている。 事件があった展示は、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で一時中止された企画展の出展作品を集めたもの。昨年7月6日から市施設「市民ギャラリー栄」(名古屋市中区)で始まり、同8日朝に職員が郵送された封筒を開けたところ、10回ほど破裂音がしたという。けが人はなかったが、開催2日で事実上中止となった。 大阪会場は大阪府所有の施設「エル・おおさか」(大阪市中央区)。施設の指定管理者によると、会期中の同17日に郵便局から「不審な郵便物がある」と連絡があった。別の場所で開封した大阪府警から「爆発物のようなものだった」と伝えられたという。 不自由展をめぐっては、昨年…この記事は会員記事です。残り762文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ツチガエル、水中でも鳴きます その声は 九大・鹿野准教授が発見

2022年1月8日 11時00分 ふつう陸上で鳴き袋を膨らませて鳴くツチガエルが、水中でも鳴くことを生態学者の鹿野雄一・九州大准教授が発見した。動画をネットで公開している(https://youtu.be/bJHjFg_vDF8 )。 水中では鳴き袋を使わず、腹部を動かして「ギュウギュウ」と鳴く。声の間隔は陸より短く、音程は低かった。野外調査中に偶然気づき、撮影に成功した。 「なぜわざわざ水中で鳴くのか、シンプルに不思議」。陸で鳴くトノサマガエルなども水中で鳴くかもしれないという。発見は意外と身近にあるかも。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

あちこちに「虎澤さん」 名字の謎探り、焼き物のまちを歩いた

 岐阜県土岐市の土岐津町地区には「虎澤(沢)さん」が多いらしい。電話帳を見ても20軒以上ある。寅(とら)年の話題にできるのではと取材を始めた。 まず、姓氏研究家の森岡浩さんに聞いてみた。そもそも「虎」のつく名字は少ないらしい。最も人数が多い「虎谷さん」がようやくランキング1万位以内に入っている。次いで多いのが「虎澤(沢)さん」だという。森岡さんは「少ない理由は、日本には虎はいないからではないか」とみる。 名字は地名との結びつきが強いと森岡さんは話す。そのことを念頭に、「虎澤さん」を訪ねることにした。 土岐津町地区に「虎」がつく地名はない。虎澤さんが最も集まっているのはこの土岐津町の一角で、地元で「上田」と呼ばれる場所だ。 最初に話をしてくれたのは「虎澤製陶所」代表の男性(63)。もちろん虎澤姓。「山兵(やまひょう)」の屋号で食器やカップを作っている。「学校のクラスに3、4人は虎澤さんがいたよ」 先祖代々の戒名がまとめられ…この記事は有料会員記事です。残り1561文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「あわじ花さじき」でストックの花見ごろ 兵庫・淡路

白井伸洋2022年1月8日 12時00分 兵庫県淡路市の県立公園「あわじ花さじき」で、ストックの花が見ごろを迎えている。訪れた人たちは、色とりどりの花と一緒に写真を撮るなどして楽しんでいた。 同園によると赤や白、紫などの5色、約1万1千本が植えられている。また、ハクチョウ2羽が向かい合うようなデザインでも植えられていて、展望デッキから楽しむことができる。冬の寒さに強い花で、2月中旬まで見ごろが続くという。 同園では新型コロナ対策として、来園者に対し、マスクの着用や、観賞の際はソーシャルディスタンスを保つよう呼びかけている。(白井伸洋)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

柔道ダブル優勝の中学生姉弟が一日署長 110番の利用でお願い

星乃勇介2022年1月8日 10時30分 「110番の日」の1月10日にあわせ、宮城県気仙沼市の道の駅「大谷海岸」で7日、気仙沼署が適正な通報を訴える啓発活動をした。地元の市立津谷中3年、佐藤美涼さん(15)と同2年、悠太さん(13)の姉弟が一日署長になり、来館者に110番の正しい利用の仕方が書かれたチラシを配った。 2人は2021年夏の中体連県大会の柔道個人戦でダブル優勝。2020東京オリンピックで柔道初の、きょうだいで同じ大会で金メダルに輝いた阿部兄妹を見て、署が力を借りた。 美涼さんは「本当に困っている人が迷惑するので(110番は)緊急時のみに」、悠太さんも「すぐ駆けつけてほしい時だけ使って」と口をそろえた。 同署によると21年の110番件数は県全体では11万件。管内では1400件でうち2、3割が免許更新や困りごとの相談といった緊急性のないものだった。「110番は緊急通報のためのもの。問い合わせは警察署にしてほしい」と呼びかけている。(星乃勇介)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

築170年 2つの大地震に耐えた「奇跡」の古民家 岐阜

会員記事ライター・森川洋2022年1月8日 10時30分 築170年。国内最大級の内陸直下型地震、濃尾地震にも耐えた民家が、震源域の岐阜県本巣市にある。幾多の風雪を乗り越えた古民家は、管理しきれなくなった元庄屋の家主に代わり、小さな子ども3人を育てる家族に引き継がれた。 本巣市早野(旧糸貫町)。岐阜市の西、特産の富有柿の果樹園が広がるなか、その古民家は一頭地を抜く存在感を放つ。土塀と蔵のある敷地は、約2千平方メートル。大きな切り妻屋根の母屋は1、2階合わせて約360平方メートルもある。 この家に残る和とじの「居宅仕様帳」には、建てられたのは「嘉永五年十二月吉日」と墨書されている。西暦1852年。ペリー来航の前年だ。基本的な間取りは居宅仕様帳と変わっておらず、修理の記録もない。 10年ほど前、本巣市教育委…この記事は会員記事です。残り1257文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル