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飼い犬が通行人をかんで負傷させた疑い 工藤会系組長を逮捕

2021年9月28日 21時13分 散歩中にリードをきちんと握っていなかった飼い犬が、通行中の男性をかんでケガを負わせたとして、福岡県警は28日、工藤会系組長の中島直人容疑者(79)=北九州市戸畑区沖台2丁目=を重過失傷害の疑いで逮捕し、発表した。「かんでいるところを見ていないので分かりません」と容疑を否認しているという。 北九州地区暴力団犯罪捜査課によると、中島容疑者は昨年7月15日、組事務所近くの路上で散歩させていた飼い犬のシェパード2匹のうち、リードを離していた1匹が、通りかかった50代の会社員男性にかみつき、擦過傷や打撲のけがを負わせた疑いがある。 同課によると、中島容疑者の飼い犬が人やほかの犬をかんだ事案は2010年以後計8件あり、このうち18年の1件では、今回と同じ犬が人にかみついた過失傷害事件で罰金刑を受けた。県警は度重なる検挙や指導にも過失を繰り返し、悪質と判断したという。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

未承認の抗原検査キット 「感染を判定」と宣伝、販売容疑で2人逮捕

2021年9月28日 21時30分 国の承認を受けていない新型コロナウイルスの抗原検査キットについて、感染の有無を診断できると宣伝して販売したなどとして、京都府警は28日、京都市中京区の衛生用品通信販売会社「コギト」の役員ら2人を医薬品医療機器法違反(無許可販売、未承認医薬品の広告禁止)の疑いで逮捕し、発表した。府警によると、未承認の抗原検査キットの販売をめぐる逮捕は全国初という。 逮捕されたのは、コギト取締役井筒雅俊(39)=香川県観音寺市=、社員稲村知香(30)=東京都小金井市=の両容疑者。調べに対し、井筒容疑者は「正常な市場に戻したいという気持ちから販売した」、稲村容疑者は「コロナ禍で必要な商品だと思った。会社の利益を上げるために広告内容を考え、販売した」などと供述しているという。 福知山署によると、2人は昨年12月~今年3月、同社の通販サイトで、厚生労働相の承認を受けていないキットについて「感染の有無が判定できる」などと宣伝。許可を得ないまま、京都市の女性(22)ら5人に、計7個を計3万360円で販売した疑いがある。 府警が業者に委託して調べたところ、ウイルスの検出精度は、承認品の264分の1程度にとどまっていたという。押収資料などから、府警は、同社が約2300個を販売し、1千万円超を売り上げたとみている。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「母親が第三者の虐待放置」児相が判断したが保護強めず 3歳児死亡

会員記事山本逸生、甲斐江里子2021年9月28日 17時03分 大阪府摂津市のマンションで新村桜利斗(おりと)ちゃん(3)が死亡し、母親の交際相手の無職松原拓海(たくみ)容疑者(24)=羽曳野市=が殺人容疑で逮捕された事件で、市と府の吹田子ども家庭センター(児相)が今年5月、「(母親が)第三者の身体的虐待を放置している」と判断していたことがわかった。ただ、市や児相は「これまで通りの在宅支援を続ける」と決め、桜利斗ちゃんの保護を強めるなどの措置はとらなかった。 摂津市の森山一正市長は28日、事件後初めて記者会見し、「亡くなったことは非常に残念で重く受け止めている」と述べた。市の対応が十分だったかについての判断は「(府が設置するとしている)検証委員会に委ねたい」とした。 森山市長は会見の冒頭で「今回のことでご心配をかけ、大変申し訳ない」と謝罪した。事件について「(母親らへ)90回に及ぶ面談、聞き取り相談を行ってきたが、結果として(桜利斗ちゃんが)亡くなりました」とし、「改善すべきは改善し、再発防止に備えなければ」と話した。 府警などによると、桜利斗ちゃんは8月31日午後、摂津市鳥飼本町5丁目のマンションで倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。大阪府警は今月22日、桜利斗ちゃんに高温の湯を浴びせて、全身やけどによる熱傷性ショックで殺害したとして、松原容疑者を殺人容疑で逮捕した。 松原容疑者は昨年10月から母親と交際を始め、今年5月から母子の家で同居していた。今年4月28日に「頭にたんこぶがある」と保育所が市に通告し、5月6日、母親が「彼氏(松原容疑者)が子どもをたたいた」と相談した。6月2日には、母親の知人が「桜利斗ちゃんが虐待を受けている。殺されるかもしれない」と市に通告していた。 市は「そのつど母子と面会し、子どもの安全を確かめていた」と説明してきた。森山市長も記者会見で「自治体としてできるだけしっかり対応してきた」と説明した。子どもの虐待などに関する相談、200件余 森山市長は一方で、市内では…この記事は会員記事です。残り381文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

無免許運転容疑の木下都議、議員続行を表明 議会は2度の辞職勧告

 7月の東京都議選期間中に無免許運転で事故を起こした疑いで書類送検された木下富美子都議(54)が28日、自身のホームページ(HP)を更新し、議員辞職をしない考えを示した。木下氏を巡っては、28日に都議会で2度目の辞職勧告決議が可決された。 木下氏はHPで「議員辞職を求める声も承知しており、自らの進退について深く悩み、考えを重ねて参りました」と振り返り、「失われた信頼を回復できるよう償うべき償いを行い、これからの議員活動で答えを導き出しながら、ご奉仕させて頂きたい」とした。 木下氏は事故が発覚した7月上旬以降、公の場に一切姿を現していない。都議会の臨時会や委員会、定例会も欠席しており、7月23日の臨時会と9月28日開会の第3回定例会では、木下氏への辞職勧告決議が、本人を除く全会一致で可決された。月額132万円の議員報酬などは 木下氏は欠席している間の議…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

教員免許更新の講習、自由に選べるように 廃止までの経過措置 

伊藤和行2021年9月28日 18時20分 教員免許に10年の期限を設け講習を受けないと失効する教員免許更新制について、萩生田光一文部科学相は28日の閣議後会見で、廃止までの経過措置として、来年度から、すべての講習から教員が希望するものを選んで受講できるようにすると発表した。講習の検索サイトを立ち上げることも明らかにした。 更新制について萩生田氏は、来年の通常国会で必要な法改正をし、早ければ2023年度から廃止する方針を8月に表明。ただ廃止までに更新期限を迎える教員はこれまで通り2年間で30時間以上の講習を受ける必要があり、対象教員の負担感を減らすため経過措置をとるという。 現行の講習内容は、国の教育政策などを学ぶ「必修(6時間)」、学習指導要領の動向などを学ぶ「選択必修(6時間)」、自由に選べる「選択(18時間)」に分かれていたが、来年度からこの領域を撤廃し、すべて選択できるようにする。オンラインやオンデマンドで受講できる講習を増やし、教員が目当ての講習を探しやすくするための検索サイトを独立行政法人教職員支援機構が年度内にも立ち上げるという。萩生田氏は「教師本人のニーズに沿った講習をいつでもどこでも受講できる環境を構築していきたい」と話した。(伊藤和行)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

御嶽山噴火から7年「忘れられるのつらい」 シャボン玉に遺族ら思い

佐藤靖、滝沢隆史2021年9月28日 13時43分 死者・行方不明者計63人を出した御嶽山(3067メートル)の噴火災害から7年を迎えた27日、ふもとの長野県王滝村にある慰霊碑の前で、追悼献花式が行われた。前日の雨天から一転、晴天の下、参加者や遺族らが噴火時刻の午前11時52分に黙禱(もくとう)を捧げた。 新型コロナウイルスの感染拡大で追悼式が中止となり、村や木曽町の関係者ら13人に参加者を絞って開催。遺族ら約20人も出席した。式後には、献花や御嶽山に向かって追悼の意を込めたシャボン玉が飛ばされた。 夫・保男さん(当時54)を亡くした伊藤ひろ美さん(60)=東御市=は「今日、(登山口の)田の原まで行ってきた。毎年(27日は)いい天気で、お父さんが入山する姿を思い出す。(7年たち)噴火災害が忘れられてしまうのはつらい。安全な登山をしてもらうよう活動したい」と語った。 次男・真友さん(当時41)を失った荒井寿雄さん(79)=同市=は「追悼式がなかったのは、少し残念。過去の噴火が生かされなかった」と語った。 行方不明者家族の思いは7年たってもあの日のままだ。八丁ダルミで行方不明になっている野村亮太さん(当時19)=愛知県刈谷市=の母・なつ子さん(60)は「人が行かない所へ行ってしまったのか。それを思うと悲しい。あの場所が墓になるのは嫌。連れて帰りたい」と話した。 被災者家族でつくる「山びこの会」のシャーロック英子事務局代表は「寂しい献花式になったが、シャボン玉を飛ばして精いっぱい追悼した」と話した。 追悼式を主催した、王滝村の瀬戸普村長は「ご遺族の皆様、山に残っている5人の方、犠牲になった58人の方々のことを思うと、時間はあの時で止まっている。毎日、考えながら今後の対策に当たっている」と話した。     ◇ 長野県庁でも御嶽山の噴火時刻に合わせて、阿部守一知事ら全職員が1分間の黙禱を捧げた。阿部知事は黙禱後、危機管理部の職員を前に訓示。「噴火災害から7年が経ったが、まだまだ多くの人の心の傷は癒えず、復旧復興も道半ばだ。災害の教訓を深く胸に刻み、火山防災に全力で取り組んでほしい」などと述べた。(佐藤靖、滝沢隆史)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

空飛ぶ自転車BMX、五輪で脚光 ファン増へVRで迫力の体験も

 垂直に近い壁が両サイドにそびえ立ち、大小の構造物が置かれた競技エリアを自転車で駆け上がって宙を舞う――。東京オリンピック(五輪)で脚光を浴びた自転車競技BMXフリースタイル・パーク。そのすそ野を広げるため、国内大会で新たに取り入れたのが最先端のICT(情報通信技術)だ。五輪での熱気を追い風に、新たなファンの獲得につなげたいという。 岡山城(岡山市)の近くで9月18~20日に開かれた全日本BMXフリースタイル選手権。東京五輪後に初めて開かれた日本一を決める年に1度の大会だ。五輪で5位に入賞した中村輪夢(りむ)選手(19)=京都=らも出場したが、コロナ下で無観客での開催となった。 パーク内には球形のカメラが3台置かれた。3メートルの壁よりも高い位置に1台。選手の控え場所の近くとジャンプ台の脇にも1台ずつ。それぞれが360度の全景をとらえ、会場にいるような仮想現実(VR)映像をオンラインでライブ配信した。 スマートフォンを専用ゴーグルにセットして映像をのぞけば、壁を駆け上がってくる選手の姿など、映像を通じてひと味違う迫力を味わえる。スマホを上に向ければ視界も動き、上空に飛び上がる選手を追うこともできる。控え場所近くのカメラを選べば、出番を待って談笑する選手の表情も見える。 この「REALIVE(リアライブ)360」という技術・サービスを提供したのはNTTスマートコネクト(大阪)。ライブや演劇での活用はあったが、スポーツ分野では初という。担当者は「実際は立ち入れない場所にカメラを置き、現実以上の臨場感を与えられる可能性がある」。今後、技名のテロップを加えるなど編集し、11月下旬ごろから新たにオンライン配信する予定だ。 女子エリートの部で優勝した内藤寧々選手(15)=神奈川=は、「かっこよさをいろんな人に知ってほしい。迫力があるスポーツなので、VRを自分でも体験してみたい」と歓迎する。五輪で話題のライダー、実演付き解説も 2歳の選手から年代別の10…この記事は会員記事です。残り841文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

上野はパンダ、パンダは上野…いつから 双子の成長と考える長い歴史

 上野動物園(東京都台東区)で双子のパンダが誕生してから3カ月。10月にはいよいよ名前が発表される。これまでも上野動物園でパンダの赤ちゃんが生まれると、上野の街全体が喜びに沸き、街をあげて成長を見守ってきた。上野とパンダ、一体いつからそんな関係が始まったのだろう。(本間ほのみ) 今月23日で生後3カ月となったオスとメスの双子のパンダ。2頭とも体重は5キロを超え、体長は60センチ近くに。左下に犬歯も生え始め、メスは左上に臼歯も生えてきたという。20日に園で撮影された89日齢の双子の映像をみると、「クークー」と鳴きながら動き回ったり、2頭でくっつき合ったりする様子が見られた。上野動物園によると、ミルクの時間以外は寝て過ごし、起きている時間は元気に動いているという。 同園で初めてとなる双子の誕生に、上野の街は沸いた。松坂屋上野店は「祝 赤ちゃんパンダ誕生おめでとう」と書かれた長さ18メートルにもなる懸垂幕を正面入り口に掲げ、店内も垂れ幕で装飾。老舗西洋料理店「上野精養軒本店 グリルフクシマ」は、誕生を記念した特別デザートを考案し販売するなど、多くの店がオリジナルのパンダ関連商品を用意し、祝った。 松坂屋上野店の担当者は「パンダが生まれれば街がパンダ一色に盛り上がる。上野にとって顔であり、街をつなぐものです」と話す。それぞれの店が示し合わせたわけではないのに、パンダの装飾で街が染まる。「パンダが街の結束力を高めていると感じる」という。パンダブームで「かんじんの見物も50秒程度」 上野とジャイアントパンダの「出会い」は、およそ半世紀前にさかのぼる。 1972年10月、日中国交正常化の象徴として、オスの「カンカン」とメスの「ランラン」が上野動物園にやってきたのが始まりだ。一般公開が始まった同年11月5日の様子を伝えた6日の朝日新聞東京本社版の朝刊には、「ぜひパンダを、という熱心な人たちは約1万8千人。徹夜組もふくめて早朝から長い行列をつくった。(中略)2時間以上は待たねばならず、かんじんのパンダ見物も50秒程度」と記され、パンダブームを巻き起こした。 14年後の86年。園で2頭目となるパンダの赤ちゃんが誕生。「上野松坂屋は、赤ちゃん誕生のニュースで、直ちに用意の『おめでとう、上野動物園パンダの赤ちゃん誕生』の大垂れ幕。午前10時の開店と同時に、全館あげて2週間の『おめでとうセール』に突入」(同年6月2日の朝日新聞東京本社版の朝刊)とあるように、今に通じる街全体のお祝いムードがあったことが分かる。この赤ちゃんの名前が「トントン」と決まったときには、上野松坂屋は号外を作り、買い物客に配ったという。 そんな上野とパンダの縁に危機が訪れたのが2008年。1992年に来園したリンリンが死に、36年ぶりに上野からパンダがいなくなる事態に。そこで立ち上がったのが、上野の商店街の店主たちだった。上野観光連盟は地元の子どもたちが描いたパンダの絵やメッセージを見せ、東京都に対し「パンダ復活」を求めた。そのかいあってか、2011年にシンシン(メス)とリーリー(オス)の2頭が中国からやってきた。2頭の来日を控え、「オール上野態勢で迎える」と、商店街の店主らは「うえのパンダ歓迎実行委員会」を作るなどして準備を進めた。 こうしたなか、17年にシャンシャンが生まれ、今年は双子のパンダが誕生した。 特に今回はコロナ禍の中での誕生だったことに、上野観光連盟の理事長二木忠男さん(68)は「パンダは明るさを持ってきてくれる平和の使者で希望の星」と話す。街はコロナ禍の影響で国内外の観光客が大幅に減った。「生まれた時、名前が決まった時、公開された時。上野は3段階で盛り上がる」と二木さん。「パンダがいてこそ、上野の発展はある」。これからも街とパンダの歴史が続いていくことを願っている。■上野動物園のパンダと日本社…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「なんて親切な…」言葉巧みな電話 450万円と生きがい奪われた

 電話による詐欺事件が千葉県内で多発している。特に1千万円以上の高額被害が目立っており、今年の認知件数は前年同期と比べても大幅に増えている。実際に被害にあった70代の女性に、手口や電話を受けた時の心情について語ってもらった。では、被害を防ぐにはどうすればいいのだろうか。県警に最近の詐欺の傾向や、私たちがとれる対策などを聞いた。(伊藤繭莉)電話1時間でカードすり替え被害 知らぬ間にキャッシュカードをすり替えられ、450万円を奪われた――。松戸市内の70代の女性は、1時間余りの電話で詐欺被害に遭った。その手口とは。 3月5日午後6時半ごろ、家電量販店店員を名乗る男から電話がかかってきた。 「あなたのカードで買い物しようとした中国人を捕まえました」と言われた。あれ? 見覚えのないカードだ。カードを作っていないと伝えると、「でも、ありますよ。松戸市内の方のカード4、5枚もありました」ときっぱり言われた。カードを不正に作られたのかな。なんで自分の名前を知っているのだろう? 少し疑問が残った。 間を置かず、今度は関東財務局を名乗る男から電話があった。 「中国人を松戸東署まで連れて行きました。あなたのカードは使えなくなりました」と言われた。なんで財務局なのか、と一瞬思ったが、公的機関が犯人を警察まで連れて行ってくれたことに、一安心した。加えて、丁寧で柔らかく落ち着いた男の声に、安心しきってしまった。 男によると、「使えなくなったカード」は、封筒に入れて、後日、松戸東署に持って行く必要があるという。その指示が細かく、長かった。別の男性職員が自宅に封筒を届けること。封筒にカードと、住所や氏名、暗証番号、銀行名を書いたメモを入れること。7日後に松戸東署から電話があるので、封筒を届けること――など。指示を書き留めるのに必死で、質問する余裕はなかった。書き留めたメモは3枚に及んだ。わざわざ封筒を自宅まで届けてくれるという電話の男に対し、「なんて親切な方なんだろう」と思った。 電話の途中で、インターホンが鳴った。玄関を出ると、サラリーマン風でスーツを着た30代ほどの男がいた。電話は切らないように言われていた。 言われるままに、封筒にキャッシュカード2枚を入れた。男に「割り印が必要だ」と言われ、いったん封筒を男に預け、隣の部屋に印鑑を取りに行った。割り印を押すと、封筒を保管するよう言われた。男が家を出た後も電話が続いた。最初の電話から約1時間続いた。     ◇ 翌朝、息子の妻に電話で昨晩のことを伝えると、詐欺だと指摘された。封筒を開けると、使い古されたギフトカード2枚が入っていた。手が震えた。割り印を押すため、印鑑を取りに行った際に、封筒をすり替えられたようだ。一晩で、計450万円が引き落とされていた。 若い頃から働きづめで、コツコツためたお金だった。いまは孫のため、成長に合わせて学習机などを贈るのが、生きがいだ。家族へのプレゼントや自分の老後のために使いたかった。「バカだった」。何度も自分を責めた。見知らぬ男性や不審な車を見ると、詐欺師ではないかと怖くなった。初対面の人とは会わないようにしている。被害にあった夕刻になると、被害を思い出し、嫌になる。「精神的に参っています」。いまは電話を留守電設定にし、相手の名前を聞いてから出るようにしている。増える1千万円超の高額被害 今年は1件あたりの被害額が…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「女性だから」の枠、笑いで超越 さくらももこの世界が今へ語るもの

さくらももこさんは「ちびまる子ちゃん」をはじめ、多くの個性的なキャラクターを生み出した(C)M.S いきなり水虫の話である。闘ったのは16歳の夏。さくらももこさんは地元、静岡県清水市(現・静岡市)の名産を使った療法を試して完治する。「奇跡の水虫治療」が冒頭を飾るエッセー『もものかんづめ』。初めて読んだときの衝撃は忘れられない。水虫も腸の検査も高校時代の乙女なポエムも、常識的にハズカシイことが包み隠さず繰り出される。父も母もジィさんも素顔で出てくる。 漫画「ちびまる子ちゃん」が1990年にアニメになり、「♪ピーヒャラ ピーヒャラ」と国民的人気になった翌年に刊行。たちまちベストセラーに躍り出た。もものかんづめ(集英社文庫)(C)さくらプロダクション『もものかんづめ』は単行本、文庫の累計で286万部。毎年2、3回重版が入り、多いときは6回の増刷がある。読者は10代から年配までと幅広い。初期のエッセー3部作の『さるのこしかけ』が累計193万部、『たいのおかしら』が同166万部。 「この本を読んで、まるちゃんじゃなくて、さくらももこさんという人が本当にいるんだと。近所にいてほしいお姉さんという親しみを感じた」。そう話すのは、お笑いトリオ森三中の大島美幸さん(41)。全作品を読み、さくらさんとも交流があった。 中でも『もものかんづめ』が大好き。ここまで自分をさらけ出し、実生活をテンポよく面白く表現しているエッセーは読んだことがない、という。たとえば、短かった会社員時代を描いた「宴会用の女」。歓迎会や花見での芸を期待されて雇われていたとは……。 マイナスの出来事も笑いに変え、プラスに昇華させる。さくらさんの描き方だ。それは大島さんの笑いの芸につながる。「自分の醜いところも隠さずに、喜怒哀楽を全部出す。そういう芸人でいたい」 発刊の91年といえばバブル崩壊のころ、一世を風靡(ふうび)したディスコのジュリアナ東京が生まれた年。お立ち台で扇を翻し、体にフィットするボディコンの装いで女性たちが舞い踊った。そんな時代に送り出された、日常の赤裸々なエッセーが人気を博したのはなぜか。『もものかんづめ』の「宴会用の女」の章についた、さくらももこさんのイラスト(C)さくらプロダクションさくらももこさんのエッセーが当時の社会に与えた衝撃と気づき、そして今なお受け取れるメッセージとは? 記事後半では、研究者やTARAKOさん、イルカさんらゆかりの人たちの話を交え、あらためてその魅力を味わいます。 「大人が言わないでおこうと…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル