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がれきの中に咲いた「ど根性ひまわり」 11代目が大輪

青柳正悟2021年7月25日 10時30分 東日本大震災で被災した宮城県石巻市のがれきの中に咲いた「ど根性ひまわり」の子孫が、千葉県流山市平和台2丁目の同市ケアセンターの花壇で大輪の花を咲かせた。「津波に負けずに咲いた花」との看板も添えられ、市民の目を楽しませている。 ケアセンターに入る南部地域包括支援センターの看護師、大山ゆかりさん(59)が6月初め、支援センターで絵本の朗読ボランティアをした柏市の星野小夜子さん(70)から、苗20本をもらい受けて育てた。初代の「ど根性ひまわり」から数えて11代目になるという。 毎夕、センター職員が交代で水やりをし、ボランティア参加している近所の元大工、上坂(こうさか)行男さん(72)が下草刈りや、生け垣の剪定(せんてい)をして成長を見守った。大きいものは高さ約170センチにも伸びた。花壇の2カ所には「津波に負けず咲いた花」と描かれた看板も設置した。 大山さんと上坂さんは「枯らさないように気をつかった。立派に育ちうれしい」と口をそろえる。支援センター長、中尾陽子さん(50)によると、地域の住民たちが通りがかりに「きれいに咲きましたね」と声をかけてくれるという。 苗を提供してくれた星野さんと夫の正信さん(70)はともに元教諭。震災翌年の2012年春に石巻市出身の知人から苗をもらい、2人で毎年種を取って育ててきたという。「希望のヒマワリを育てることで、東日本大震災を忘れないでほしい」と願っている。(青柳正悟)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

真夏に咲く桜、五輪英代表おもてなし 川崎の生け花作家

 東京五輪・パラリンピックの事前キャンプで等々力陸上競技場(川崎市中原区)のロビーを訪れる英国代表チームの選手たちを、季節外れの桜が出迎えている。地元の生け花作家が開発したものが、最高のタイミングで出番を迎えた。 川崎市宮前区の生け花作家、名古屋徹さん(59)の庭には、名古屋さんが「花が喜ぶ部屋」と名付けた大きな「箱」が置かれている。30平方メートルほどで高さは4~5メートル。扉を開けると、ひんやりとした部屋の中で、2~3メートルほどの枝が数十本、壁に立てかけられていた。ところどころに、濃いピンク色の桜の花。 名古屋さんは生け花に使う花を自ら育てている。「トウカイザクラを改良したもの。市内と横浜市にあるうちの農場で、昨年12月ごろに切り出しました」 屋外で満開になるのは3月上…この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。残り:869文字/全文:1214文字Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

原爆後の広島の写真に×印 原発の説明資料に疑問の声

 佐賀県唐津市が、九州電力玄海原発(同県玄海町)に関連して、原爆が投下された広島などの写真に「×」を付けるなどした資料を作っていたことがわかった。原発と原爆の違いを強調するためだったというが、広島の被爆者からは「意味がわからず、嫌な気持ちだ」との声も上がっている。 資料のタイトルは「原子力災害について」。唐津市によると、玄海原発での重大事故発生を想定した昨年11月7日の避難訓練の際、原発から北に約10キロ離れた離島・小川島の市立小川小・中学校で、市職員が講話をするときに使った。小中学生や教員、保護者ら約40人が参加し、職員が12枚のスライドをスクリーンに映しながら説明したという。 資料は冒頭、「原子力(げんしりょく)発電所(はつでんしょ)はこわい!?」と記し、大勢の人が横になっている写真など4枚を組み合わせた白黒写真の上に赤で大きく「×」を付けている。 広島平和記念資料館(広島市)の学芸員に確認してもらうと、4枚のうち3枚は、被爆直後の広島の写真だった。 救護や救援に訪れたとみられ…この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。残り:616文字/全文:1067文字Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

五輪開幕でも「さみしい雰囲気」 競技会場集中のお台場

 東京五輪の競技会場が特に集中しているのが、お台場など臨海副都心地区だ。当初は1日最大10万人が訪れると予想されていた街は、コロナ禍でどうなったのか。開幕翌日、聖火が移ってきた4連休の現場を歩いた。 お台場と有明の間に架かる「夢の大橋」に設けられた聖火台のまわり。 国立競技場での開会式が終わったばかりの24日午前0時40分ごろには、すでに100人近い人だかりができていた。 2016年のリオ五輪・バドミントン女子ダブルスの金メダリスト、高橋礼華さんがトーチで点火すると、「おー!」と歓声と拍手がわき起こった。 聖火台は、開会式で披露されたものと同じデザイン。大きさは約3分の1で、花のように開いた球体の中で24時間炎がともる。 友人らとやってきた栃木県栃木市の女性(76)は1964年の東京五輪の時は大学生だった。「もう二度とない機会。この目で見たかった。私って、ミーハーだから」 臨海副都心地区には、バレーボール、体操競技、テニス、スケートボードなど13競技の会場がある。大会組織委員会は当初、観客だけで1日最大10万人の来場を予想。「夢の大橋」を挟んだ約2キロを「オリンピックプロムナード」と銘打ち、にぎわいを生み出す拠点として期待していた。 しかしコロナ禍で方針は一転。いまは聖火台の観覧自粛を呼びかけている。聖火台の周囲は柵で囲われ、「ディスタンス(距離)の確保を」と掲げたボランティアが、足を止める人に「流れて」と声をかける。 午前9時ごろ。「人出もそんなに多くないのに、大げさだよ」。滋賀県日野町の会社役員の男性(65)はつぶやいた。未明とは変わり、聖火台周辺は20人ほどとまばらだ。 男性は、卓球などを観戦するはずだったが、無観客開催に。直前の決定でホテルをキャンセルできず、家族で東京に来た。聖火台は「思ったよりも小さくて、拍子抜け」だった。ホテルのテレビで見た開会式も物足りなく感じたという。「盛り上がりに欠ける感じ。これなら地元にいた方がよかった」 青のユニホーム姿の都市ボラ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

再構築する「この国のかたち」 回り始めた改革の歯車

テミスの審判③ デザイン・甲斐規裕 日銀改革の委員の役割を終えるとすぐ、佐藤幸治(84)は行政改革へかかわっていく。研究・教育の場から、統治構造改革のただ中へ踏み込むことになった。佐藤に声をかけたのが、当時の官房副長官の古川貞二郎(86)。古川は「天の時・地の利・人の和」という言葉をしばしば口にする。古川との出会いが、佐藤がのちに司法制度改革へかかわることを決定的にした。 ギリシャ神話の女神「テミス」は両手に天秤と剣を持つ。司法の公正さと正義を表す象徴だ。司法制度のあり方を考える「テミスの審判」第1部では、司法制度改革審議会の会長を務めた佐藤幸治の歩みを軸に、改革の背景を探る。 「この国のかたち」 作家の司馬遼太郎が、月刊文芸春秋に書き続けた巻頭随筆のタイトルである。1986年から1996年に司馬が亡くなるまで、連載は10年続いた。 同名のエッセー集はベストセラーになり、司馬が作ったこの言葉は、首相の施政方針演説をはじめ、政治の世界で広く使われるようになった。 司法制度改革審議会の会長をつとめた佐藤幸治(84)は、早い時期に「この国のかたち」というキーワードに注目していた。 メンバーの一人として日銀改革を議論した中央銀行研究会が解散したあと、佐藤は1996年11月、行政改革会議の委員に就いた。橋本龍太郎首相直属の組織で、中央省庁の再編や首相官邸の機能強化の具体案を1年以内にまとめることが求められた。 翌97年夏の中間報告で佐藤に委ねられたのは、総論と内閣機能の強化に関わる部分の執筆だった。佐藤は、担当の若手事務局員に京都の自宅の書斎に集まってもらい、事前に用意してもらった文案をもとに議論しながら、練り上げた。 行政改革の理念と目標をこう掲げた。 「今回の行政改革は、『行政』の改革であると同時に、国民が、明治憲法体制下にあって統治の客体という立場に慣れ、戦後も行政に依存しがちであった『この国のあり方』自体の改革であり、それは取りも直さず、この国を形づくっている『われわれ国民』自身のあり方にかかわるものである。われわれ日本の国民がもつ伝統的特性の良き面を想起し、日本国憲法のよって立つ精神によって、それを洗練し、『この国のかたち』を再構築することこそ、今回の行政改革の目標である」左から保岡興治氏、高坂正堯氏、司馬遼太郎氏、佐藤幸治氏 グラフィック・甲斐規裕 なぜ「この国のかたち」なのか。佐藤は言う。「行革の目玉の一つは、各省庁の編成替えだった。同時に、1964年の第一次臨時行政調査会答申以来の課題であった内閣機能の強化。そのためには、訴求力のあるこの言葉が必要だと考えた」 多様な議論を束ねるキーワードとして「この国のかたち」を戦略的に使い、内閣機能を強化して総合調整力を発揮できるようにすることを正面から打ち出したのである。もっとも、今日のようなゆがんだ官邸主導が生まれるとは、佐藤は当時、想像もしなかった。「憲法(constitution)は慣習やね」 もう一つ、「この国のかたち」には憲法学者としての佐藤自身の思いもあった。憲法はconstitutionの訳だが、もともと構造や体質、伝統という意味が含まれている。 「ところが、日本で憲法といえば法典(条文)がイメージされがちだ。もちろん法典(条文)は極めて重要だが、それをよりよくいかすよう、あるべき私たちの住む国の姿やかたちを考え、不断に努力することも憲法を考えるということなのに、そのニュアンスが忘れられてしまっているのではないか」 佐藤が思い起こすのは、かつての京大法学部の同僚で、英国の歴史にも精通していた国際政治学者の高坂正堯の口癖だ。「憲法(constitution)は慣習やね」とよく語っていたという。そして「現代の日本語の訳としては、司馬遼太郎氏の『国のかたち』がもっとも適切だと私は思う」とも。国政政治学者の高坂正堯氏=1994年3月2日撮影 日本という国のかたちは、肥大化した「行政国家」となっている。これをどうすれば、個人の尊重を核とする日本国憲法の本来の趣旨に近づけられるのか。中央銀行研究会から一貫する佐藤の問題意識だった。 佐藤が行政改革に取り組んでいた1997年、司法制度改革の歯車も静かにまわり始めていた。 1月22日、自民党政調会長の山崎拓(84)が衆院本会議で代表質問に立ち、橋本首相に問うた。「社会の変化に対応し、21世紀の司法の新たな役割に着目した司法改革は国づくりの基本ではないか」 橋本首相「司法の場において…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

空襲被害者らへ独自見舞金 名古屋市が大幅増額、背景は

会員記事編集委員・伊藤智章2021年7月24日 16時30分 戦時中の空襲などで被害を受けた民間人の救済立法が実現しないなか、名古屋市は今年度、独自の「民間戦災傷害者援護見舞金」を10万円に増額した。戦後76年。被害者の高齢化に加えて、多くの人が亡くなって対象者が減ってきたことが背景にある。 名古屋市北区の脇田弘義さん(83)は1945年5月の名古屋空襲で手足や顔を大やけどし、両足が不自由で立って歩くことができない。自宅で洋服仕立業を営み、子どもを育てた。3年前に脳血栓で倒れ、いまは妻の助けで自宅で生活している。 最近、同市から見舞金増額の通知が届いた。「涙が出た。うれしかった」。救済立法を求める運動を続ける全国戦災傷害者連絡会(全傷連)結成当時からの会員だ。当時は若手。毎月のように会合があり、子連れでよく参加した。しかし仲間のほとんどは亡くなり、いまは連絡もない。 「本当は国が法律を作ってほしいが、なかなか難しいらしい。でも杉山さんはよくやってくれた。その成果だ」と感謝する。 いまも空襲当時のことは忘れ…この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。残り:1083文字/全文:1516文字Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

東京のコロナ感染1128人 20、30代で5割超

 東京都は24日、新型コロナウイルスの感染者を新たに1128人確認したと発表した。同日までの1週間の総計を1日あたりで平均すると1345・7人で、前週比133%となった。 新規感染者数を年代別にみると、20代の380人が最多で、30代251人▽40代167人▽50代115人▽10代96人と続く。65歳以上の高齢者は32人だった。 人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))を使用とする都基準の重症者は、前日より6人増えて74人だった。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「あのとき僕は一度死んだ」 いじめを受けた男性の告白

 昨年5月、「いま子どもたちは いじめの過去と闘う」で、千葉市内の公立小学校5年のときに同級生から暴力やいやがらせを受けたエイジさん(19)=仮名=の物語を6回連載しました。エイジさんは5年前から同級生の保護者と市を相手にした損害賠償請求訴訟を闘ってきましたが、今年6月、学校の責任を認め、同級生の保護者と市に賠償を命じた東京高裁判決が確定しました。エイジさんにいまの思いを聞きました。 「やることはやった」。エイジさんの率直な感想だ。「自分自身がうれしいというより、両親やお世話になった弁護士など周囲の反応を見ると、うれしいということなんだよなという感じ」と語る。 その根底にあるのは、自分が、いじめられ苦しんでいる多くの人の中のひとりでしかないという思いだ。「終わりでも何でもない。今後も同じことが続いていく。本質的には何も解決していないのだから」小学5年のときにいじめを受けてPTSD(心的外傷後ストレス障害)になったとして、2016年から同級生の両親と千葉市を相手に損害賠償請求訴訟を闘ってきたエイジさん。勝訴した二審判決を受け、「いじめはあってはならないものではなく、学校という場では起こって当然」と言いました。教職員や社会はいじめにどう向き合うべきなのか。記事の後半では、学校や社会への思いを語ったエイジさんの寄稿が読めます。 だが、高裁判決が学校の責任…この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。残り:4820文字/全文:5213文字Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

大阪府で新たに283人が感染 20代と30代が5割超

 大阪府は24日、府内で新たに283人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表した。5日ぶりに300人を下回った。新たに50代の女性1人の死亡も確認され、府内の感染者は延べ10万8963人、死者は計2717人となった。 感染者を年代別にみると、20代が96人と最多で、30代は51人だった。20代と30代で全体の5割を超えた。また、感染経路の分からなかった人は166人で約6割を占めた。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

残土追跡システム導入へ 国土交通省、不適正処理対策で

 国土交通省は、工事現場などで出た「残土」について、発生場所からどこに運ばれたかを記録し、追跡できるようにする「トレーサビリティー」システムの導入に向けた検討を始めた。残土は管理や処分に関する明確な法規制がないため、違法な盛り土などにされ、土砂崩れなどにつながる事例が全国で相次ぐ。残土の動きを把握することで不正処分を防ぐ狙いだ。 静岡県熱海市で起きた土石流では盛り土が被害を拡大させたとみられ、業者が市に届け出た量を超す残土が持ち込まれていた可能性がある。こうした問題に注目が集まる中、国交省は近く、国発注の公共工事で実証実験を始める予定。 残土は建設現場やトンネル工事現場で生じるもので、「建設発生土」とも呼ばれる。その後に再利用できる「資源」とされ、法律で厳しく規制される廃棄物には当たらず、残土そのものをしばる法律はない。 国交省によると、2018年度に全国の工事現場で出た残土は約2億9千万立方メートル。半分近くは発生場所から別の場所に運ばれたが、最終的な受け入れ場所までに仮置き場などを複数経由することが多く、移動の実態把握も難しいとされる。 現状では、残土を運ぶ車両1…この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。残り:1278文字/全文:1773文字Source : 社会 - 朝日新聞デジタル