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なぜ休業しない? 店主が語った「人らしく生きるため」

拡大する休業要請に応じないバーの入り口に置かれた看板。「今の政策には協力出来ません!!」とある=2021年6月8日午後8時35分、大阪市内、新谷千布美撮影 期限の20日での緊急事態宣言解除が検討される一方で、東京や大阪では酒類の提供制限は続きそうだ。制限が長引く中、行政の要請に応じずに店を開け、酒を出す飲食店が出てきた。休業を続ける店との間に溝が広がる。コロナ禍で店は、酒はどうなっていくのか。(新谷千布美、浅沼愛) 大阪市内の通り沿いにあるバーの扉の前には、看板が置かれている。「今の政策には協力出来ません!!」 店主の男性(27)によると、午後5時から翌朝まで店を開けている。酒も出す。20席ほどの店だが客は多く訪れ、週末にはほぼ満席になる時もある。 今年1月の緊急事態宣言以降、休業していた。店主は「感染者が減ることにつながるのなら、という思いだった」と言う。 だが1日6万円(宣言期間中)の協力金はなかなか入らず、口座の残高が10万円に。月約30万円の家賃の支払期限が迫った。「もう死のうとすら思ったが、せめてその前に一度だけ、と」 4月20日に店を開け、SNSで告知した。訪れた客は「リラックスできる場所がなく、気が狂いそうだった」と打ち明けた。別の客はリモートワーク続きで気分が沈んだ状態に見えた。「一緒に飲んだらお互いちょっと元気になれた。人が人らしく生きるために必要な仕事だと実感した」 協力金は5月中旬に振り込まれたが、休業中に借りた生活費の返済に消えた。拡大する休業要請に応じないバー。午後8時半過ぎも「OPEN」の看板がかかり、客が出入りしていた=2021年6月8日午後8時34分、大阪市内、新谷千布美撮影 店には消毒液を置き、換気を心がけ、席の間を広げた。1カ月以上店を開けているが、客が感染したという話は自分の耳には届いていない。「僕がコロナをもらって死んでも恨まない。お客さんも怖かったら店に来なければいい。お互い様で、自己責任だと思う」 無症状の客が訪れ、感染が店から拡大する危険性はある。だが、店主は言う。「他人の命を心配できる余裕があれば従うが、まだ無理。命令が出ても、過料を払って営業すると思う」休業の店「不公平感募るばかり」  大阪・難波の居酒屋は閉まっている。店長の男性(41)は「行政からの要請だから従わざるを得ない。だが、不公平感は募るばかり」と話す。 4月下旬の緊急事態宣言後にノンアルコールでの営業を試みたが採算が取れず、休業した。収入は激減し、生活はぎりぎりだ。 近くの店は酒を出し、混雑し…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

愛を求めて干潟でジャンプ 有明海のムツゴロウ

長沢幹城2021年6月15日 21時00分 佐賀県小城市芦刈町の六角川河口で、繁殖期を迎えたムツゴロウが求愛や威嚇を体全体で表す、かわいらしいしぐさを見せている。 「海遊(かいゆう)ふれあいパーク」前では、引き潮で現れた干潟でムツゴロウがジャンプしたり背びれを広げたりしながら、泥を巻き上げて絡み合う姿が見られた。 ムツゴロウは、有明海や八代海の干潟に生息するハゼ科の魚で、体長は15~20センチほど。六角川河口は県が指定したムツゴロウとシオマネキの保護区で、ほかにも多くの水生動物の姿を自然の中で肉眼で観察することができる。 市商工観光課によると、8月ごろまで求愛ジャンプが見られるという。(長沢幹城)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

認知症で「預金凍結」 トラブル防ぐ新サービスとは

 600万人を超すと推計される認知症の高齢者。その人たちが持つ金融資産は膨大な額になり、一部の金融機関では新たなサービスや職員教育の試みが始まっています。本人の意思が確認できず預貯金が引き出せない、あるいは判断能力の衰えに乗じて預貯金を引き出されてしまうといった金融取引のトラブルを防ごうとするものです。 三菱UFJフィナンシャル・グループは、「予約型代理人」サービスを3月下旬から始めた。同行の顧客が、認知・判断能力の低下に備え、あらかじめ金融取引の代理人を指定できるサービスだ。代理人は本人に代わり、預金の引き出し、株式や投資信託の売却などの手続きができる。あらかじめ代理人を指定 ポイントは、代理人取引が可能になる時期。サービス利用を申し込んだ時点ではなく、金融取引の判断が本人では難しくなった後から、となっている。ただし、判断能力の有無を金融機関の窓口で判別するのは難しい。認知症と診断された人がすべて金融取引の判断能力がない、というわけでもない。そのため同グループでは専用の診断書を準備、病名のほか「金融取引の判断能力」について医師の診断項目を設けた。診断書提出後から代理人が取引できるようになる仕組みだ。 代理人になれるのは原則、配…この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。残り:2114文字/全文:2641文字Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

民間AM局の大半、7年後までにFM化へ 対応端末必要

 全国の民間AMラジオ47局のうち44局が、2028年秋までにFMラジオ局に転換をめざすことになった。15日、在京3社が代表して会見し、明らかにした。28年以降もAMを併用する局もある一方、一部の局はAMを停波してFMに一本化する方針だ。 AMは遠くまで電波を飛ばせるが、遮蔽(しゃへい)物や他の電波が多い都市部での受信しにくさや、送信所に広い敷地が必要で河川敷などが多いため水害に弱いことなどの課題があった。各AM局は14年以降、AMの番組をFMで同時に放送する「FM補完放送(ワイドFM)」を実施しているが、AMとFMの二重費用や、FMに比べて高い設備更新費などが負担になっていた。 ただ現在の制度ではAM局がAM放送をやめてFMだけのラジオ局になることはできない。日本民間放送連盟(民放連)が19年、これを可能にする制度改正を求めたのを受け、総務省は22年にかけて制度を改め、23年にも停波の実証実験を始める方針だ。 この日会見した在京3局(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送)によると、総務省の実証実験には、47局のうち21局が参加する意向を示しているという。 在京3局は早ければ、放送免許の更新時期にあたる28年秋にAMを停波する。ほかのAM局も、AMを補完的に残しながらFMに転換したり、AM停波時期を検討したりしているという。ただし北海道と秋田の計3局は、放送エリアが広大であることなどを理由にAM放送を続ける。 現在のAM局の放送をFM転換後も聴き続けるにはワイドFMの周波数(90・0~94・9メガヘルツ)を受信できる端末が必要。FMが聴けるラジオでも、90メガヘルツ未満の目盛りしかなければ、聴くことはできない。 19年の国の調査によると、ワイドFM対応端末の普及率は53%にとどまる。さらに、FM波が届かない山間地域などへの対応も課題として残る。 入江清彦・TBSラジオ会長は「あくまで事業者の経営判断だが、今のリスナーを軽んじる判断はあり得ない。各社、今のリスナー確保に努めながらやっていく」と述べた。 一方NHKは、今年1月に公表した中期経営計画(21~23年度)で、現在のAM第1と第2を一本化し、25年度にFMと合わせて2波にする方針を示している。(野城千穂)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

広島城そばから最大級の被爆遺構 スタジアム建設予定地

比嘉展玖、岡田将平2021年6月15日 17時49分 広島城(広島市中区)の西側で、旧日本陸軍の輸送部隊「中国軍管区輜重(しちょう)兵補充隊」の施設の遺構が見つかった。15日、市が明らかにした。爆心地から1キロ以内にあり、原爆では、この場所で400人以上が犠牲になったとされる。過去最大級の被爆遺構という。 市文化振興課によると、見つかったのは建物の基礎や石畳、水路など。広島城一帯は戦時中、中国軍管区司令部など軍関係の施設が多くあった。輜重兵補充隊は、弾薬や食料、服などの軍需品を運び補給する部隊で、同課などによると、米軍が原爆投下前に撮影した航空写真などの資料から、軍馬がいた厩舎(きゅうしゃ)や馬が水を飲む水槽、自動車を収める車廠(しょう)、兵舎、弾薬庫など約30施設があったとみられるという。戦後は戦災者向けの住宅が立ち並んだが、その後、中央公園広場として整備されていた。 公園では、2024年の開業を目指して新サッカースタジアムの建設計画が進んでいる。これに伴い、市は文化財調査のために昨年10月から22年3月までの予定で、約1万4千平方メートルの範囲で発掘調査をしている。市は、遺構を写真で記録したうえで撤去する方針。市スタジアム建設部の担当者は「建設スケジュールに影響はない」と話す。 スタジアム建設を巡っては以前、調査で広島城の石垣の一部とみられるものが見つかり、建設予定地を西側にずらし現在の位置になった経緯がある。市は今後、より深く掘り進めて広島城の遺構も調べる。(比嘉展玖、岡田将平)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

駆除シカが給食コロッケに ジビエ活用、食害減らせる?

 農作物を荒らすシカやイノシシを捕獲し、野生鳥獣の食肉「ジビエ」として学校給食などに活用する取り組みが進んでいる。「食害を減らし、新たな地域資源に」と、一挙両得での需要拡大が図られるが、捕獲を進めても「被害が減るわけではない」との声もある。何が課題なのか。和歌山県 小中学校の9割以上でジビエ給食 「豚熱(CSF)の影響で、イノシシ肉は不足していませんか」「支障がないように調整しています」 5月下旬、和歌山県庁の会議室。県畜産課の上田雅彦課長補佐、県教育委員会教育支援課の横山知香指導主事らがジビエ給食について話し合った。 和歌山県はジビエ給食の先進県だ。県がジビエの食材費の全額を補助し、9割以上の小中学校などがジビエ給食を採り入れている。 県は地産地消の一環として、給食に提供する梅やミカンなど地元産の食材に、2017年度からジビエを加えた。導入にあたり、児童・生徒全員にリーフレットを配った。シカやイノシシによる農業被害が増えて駆除の必要があること、授かった資源をむだにせず、命に感謝しておいしくいただく取り組みであることなどを説明し、保護者向けに「安全な食材に限る」というメッセージを添えた。 導入当初、まずは人気のあるパスタやカレーに、食べやすい加工品のソーセージを使った。横山さんは当時、特別支援学校の栄養教諭。「なじみのあるメニューだったので、みんなが抵抗なく食べた」 多くの子どもに食べてもらう…この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。残り:1338文字/全文:1952文字Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

緊急事態後の対応「京阪神で足並みそろえる」 吉村知事

 大阪府の吉村洋文知事は15日、新型コロナウイルスに対応する緊急事態宣言が解除された場合の対応について、16日午前に京都府、兵庫県の両知事と協議することを明らかにした。3府県で足並みをそろえて政府に要請するという。 吉村知事は20日を期限とする宣言が解除された場合には、宣言に準じる「まん延防止等重点措置」に移行すべきだとの考えを示している。3府県知事による協議の後、府の対策本部会議を開いて正式に政府への要請内容を決める。 飲食店などへの営業時間の短縮や酒類の提供制限といった具体的な対策内容については、政府が対応を決定次第、再び府の対策本部会議を開いて決める。 前回の重点措置では、府内の対象区域は大阪市内だけだったが、吉村知事は今回は「府下全域に近い形で考えたい」と述べた。要請の期間については、「短い期間では足りない。3週間~1カ月程度は必要ではないか」と話した。(久保田侑暉)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

地雷そっくりの植栽キット 平和願いデザイナー考案

笹川翔平2021年6月15日 15時00分 形は地雷にそっくり。でも、埋めれば土に返り、緑が芽吹く。そんな植物の栽培キットを大阪在住のデザイナーが作った。今も地雷が世界各地で被害者を生んでいる現実を知ってほしいとの願いを込め、収益の一部を寄付して地雷除去活動に貢献することを目指す。18、19日に大阪市内で展示会を開く。 考案したのはスポーツ用品大手のミズノを経て独立し、ファッションデザイナーとして活動する大阪府豊中市在住の杉本知春さん(28)。昨年秋、地雷除去を扱った映画を見て、自身が過去に手がけた「鉢植えとしても使える帽子」の第2弾にしようと思い立った。カンボジアなどで地雷除去をする認定NPO法人「日本地雷処理を支援する会」(JMAS)に企画を持ち込み、活動の現状を教えてもらうとともにデザインのアドバイスも受けて共同で開発した。 栽培キットのポットは古紙100%で、土の中で分解される。対人地雷と全く同じ形状で、サイズも直径12センチの原寸大だが、上ぶたにある十字はピースマークに変えた。「PLANTS MINE PROJECT」と題してクラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/417168?list=projects_popular_page3)で資金を募り、国内外での販売を目指す。収益の一部はJMASに寄付する方針だ。 1999年に対人地雷禁止条約が発効したが、国際ネットワーク「地雷禁止国際キャンペーン」のまとめでは、現在も60の国と地域に地雷が埋められ、2019年の1年間だけで、地雷や不発弾による5554人の死傷者が確認されたという。 杉本さんは「小さく、簡単に埋めることができる地雷が多くの人を傷つけている。それを疑似的に体験することを通して、地雷の恐ろしさを考えてほしい」と語る。栽培キットにはクローバーの種を付ける。「四つ葉のクローバーは幸福や平和の象徴。地雷除去が進んで多くの人に安全が訪れてほしいとの願いを込めた」という。 展示会は18、19日午後1時~7時、大阪市北区西天満1丁目のMI Galleryで開く。問い合わせは杉本さん(thirdmanproducts@gmail.com)。(笹川翔平)拡大する地雷を模した栽培キットの使用イメージ=杉本知春さん提供拡大する地雷を模した栽培キットを手にする杉本知春さん=2021年6月11日午後4時57分、大阪市北区、笹川翔平撮影拡大する地雷を模した栽培キット=杉本知春さん提供Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

カラオケパブ経営女性、11日の営業後に殺害か 大阪

2021年6月15日 11時08分 大阪市北区天神橋4丁目のカラオケパブで経営者の稲田真優子(まゆこ)さん(25)が殺害された事件で、稲田さんとみられる人が11日夕に店があるビルに入る姿が防犯カメラに映っていたことが、捜査関係者への取材でわかった。翌12日も店が開いていなかったとの証言があり、府警は11日の営業終了後に殺害されたのではないかとみて調べている。 捜査関係者によると、ビルのカメラに稲田さんらしい人物が建物に入っていく様子が映っていた。稲田さんはビル5階にある「ごまちゃん」を経営し、店は11日夕方から夜にかけて営業していたとみられている。 翌12日は午後3時から開店の予定だったが、男性客が午後5時半ごろに訪れると店は営業しておらず、ドアに鍵がかかっていた。 13日午後に女性従業員が出勤した際もドアは施錠されたままで、女性は「稲田さんと連絡が取れない」と110番通報した。曽根崎署員が店を訪れ、稲田さんの携帯電話を鳴らしたがつながらず、店内から着信音も聞こえなかったという。 14日午前、ビル関係者らが店内で倒れている稲田さんを発見した。稲田さんの首付近に深い切り傷があり、胸付近も含め多数の刺し傷があった。捜査関係者によると、タオルとみられる布が顔にかかっていた。店内はコップや皿が片付けられた状態で、荒らされた形跡はなかった。凶器らしきものも見つからず、鍵も発見されていないという。 府警は、稲田さんが11日の営業終了後、店内の片付けを終えた後に襲われたとみて、稲田さんと接点のある人物への聞き込みや、周辺の防犯カメラ映像の解析を進めている。15日に遺体の司法解剖を実施する。 店をよく訪れていたという20代の男性は「店を休む場合はいつも事前にSNSで報告していたのに、12日はそれがなかった。(稲田さんは)律義で礼儀正しく、見送る際には腰を90度ぐらいに曲げてお辞儀をしていた。客に愛されていた」と話した。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

リコール事務局長、愛知県選管に再三電話 録音を入手

 大村秀章・愛知県知事に対するリコール署名の偽造事件で、地方自治法違反(署名偽造)の疑いで逮捕された運動団体事務局長の田中孝博容疑者(60)が運動中、有権者が署名簿を見ることができる縦覧について、再三、県選挙管理委員会に問い合わせていたことがわかった。 県警もこうした経緯を把握し、田中容疑者が偽造の発覚を警戒していた可能性があるとみている。 朝日新聞は、田中容疑者が昨年9月~今年3月に県選管の担当者と電話でやり取りした音声の録音データ20件分を入手した。 県選管や録音によると、田中容疑者は署名集めが始まって間もなくの昨年9月ごろ、署名数が必要数(約87万筆)に達した後に有権者が署名簿を見ることができる縦覧の手続きについて問い合わせた。 そして縦覧に来た人が自分以…この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。残り:960文字/全文:1299文字Source : 社会 - 朝日新聞デジタル