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泉佐野市の非常勤職員、1・5億円詐取か 刑事告訴へ

 大阪府泉佐野市は29日、不正な事務処理で公金約1億5千万円をだまし取ったとして、市介護保険課の非常勤職員の女性(59)を懲戒免職とし、発表した。市は詐欺などの疑いで府警に刑事告訴する方針。  市によると、女性職員は、介護保険を利用した住宅改修費や福祉用具購入費を給付する事務手続きを担当。今年2月には、すでに死亡している4人に対し、計105万5700円の給付を決定していたという。市は同月から給付をすべて口座振り込みに変更。同僚が女性への振り込み記録に気づき、不正が発覚した。  女性は市の聞き取りに、2009年ごろから不正を続けていたと説明。記録が残る12年以降だけで計1217件あり、総額は約1億5千万円になるという。死亡した市民のデータを悪用して費用給付を申請し、窓口で現金払いしたことにしていたとみられる。(川田惇史) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

第4波に知事ら危機感「1、2週間がヤマ」「警戒水域」

 もう新型コロナウイルスの「第4波」に立ち向かわなければいけないというのか。各地で感染状況が悪化し、知事たちは29日、口々に危機感をあらわした。緊急事態宣言を全面解除したばかりの政府は、まん延防止等重点措置を適用するのか否か、対応を迫られる。  「おそらく今週(感染者が)増えてくるのではないか。山になる可能性は十分高い」。新型コロナの感染は「第4波に入った」として、大阪府の吉村洋文知事は29日、まん延防止等重点措置の要請に踏み切る考えを示した。緊急事態宣言がなくても、営業時間の短縮命令などの私権制限ができ、違反者に過料を科すことができる。  大阪府が3月1日に緊急事態宣言の対象から外れてから4週。その間、大阪市内に限定する形で飲食店への時短要請を続けてきた。  だが、28日まで1週間の感染者の合計は1799人と前週から倍増。人口10万人あたりの新規感染者数も、20・41人(28日時点)と政府の分科会が定めるモニタリング指標の「感染急増」段階にあたるステージ3の数値(15人)を上回っている。吉村知事は、政府が重点措置の適用をみとめれば、新たに飲食店などに対し、利用客のマスク着用も義務化する意向だ。  この日、感染のリバウンド・拡大への危機感を表明したのは大阪府知事だけではない。  「間違いなくリバウンド」(愛知・大村秀章知事)▽「警戒水域をもう超えているかも」(兵庫・井戸敏三知事)▽「この1、2週間がヤマだ」(愛媛・中村時広知事)▽「第4波が到来したと言わざるを得ない」(沖縄・玉城デニー知事)  宮城県の村井嘉浩知事も、29日の会見で「仙台圏では病院のベッドがほとんど埋まり、余裕がない」と警鐘を鳴らした。28日時点の人口10万人あたりの1週間の感染者数は38・1人と、国の分科会の指標でステージ4にあたる。  ただ25日に、2月上旬以来の時短要請に踏み切ってから1週間も経っておらず、「次の手を打つのは少し早い」と推移を見守るという。  東京都でもリバウンドの傾向は明らかだ。29日に新たに確認された感染者は234人。月曜日としては2月15日以来の200人台となった。  「ワクチンがない状況でどうこらえていくのか。重要な時期だ」と小池百合子知事は29日、語った。  都は4月21日までを「リバウンド防止期間」と位置づけ、神奈川、千葉、埼玉の3県とともに、飲食店などの営業時間を午後9時までとするよう求めている。  だが緊急事態宣言の解除と花見の時期などが重なり、人の流れが止められないのが現状だ。  こうした人出は、これから感染者増となってあらわれる恐れがある。国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は25日にあった東京都のモニタリング会議で「人の流れが増えれば、第3波を超える感染の急激な拡大が危惧される」と語った。 まん延防止措置「すぐ効くか」 根強い慎重論  菅義偉首相は29日夕、首相官……

国内で1345人が感染 月曜に1千人超は7週ぶり

 新型コロナウイルスの国内の感染者数は29日午後9時半現在で新たに1345人が確認された。1週間前の22日の823人と比べ、522人増えた。感染者が少ない月曜日に1千人を超えるのは7週ぶり。死者は13都道府県で計29人増えた。  東京都では234人が確認され、10日連続で前週の同じ曜日を上回った。月曜日としては2月15日(266人)以来の200人台となり、リバウンド(感染再拡大)の傾向が続く。29日までの1週間平均の感染者は357・7人で、前週比は118・1%だった。  大阪府は213人が確認され、月曜日の発表で200人を超えるのは1月25日以来となった。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

秋元議員側「事件はフィクションだ」 初公判で捜査批判

 カジノを含む統合型リゾート(IR)事業の汚職事件と、その後の証人買収事件で罪に問われた衆院議員秋元司被告(49)の初公判が29日、東京地裁で開かれた。「検察が事件を作り上げた。フィクションだ」――。秋元議員の弁護側は冒頭陳述で、こう訴えた。  弁護側はまず、IR事業に関する秋元議員の権限を説明。内閣府副大臣としての権限は形式的で実質的ではないとし、中国企業のIR事業参入に「影響を与えていない」とした。  その上で、IR事業への参入を目指していた中国企業側から受け取ったとされる講演料や旅費負担には賄賂性の認識がないと主張。「講演料は講演の対価で、旅費も(豊嶋元秘書が)適切に精算したと思っていた」と述べた。  300万円の授受については、贈賄側とされる中国企業の元顧問2人との面会そのものを否定し、その時間は「別の場所にいた」。根拠として、スケジュール表や携帯アプリの記録を挙げ、今後明らかにするとした。金は元顧問2人が「着服した」との見方を示した。  証人買収は、支援者らが「おもんぱかった」結果、事件が起きたと説明。秋元議員は支援者らに「元顧問らに『真実を話してもらいたい』」と伝えただけで、虚偽証言をするよう依頼していないとした。  さらに、秋元議員を逮捕した東京地検特捜部の捜査手法も批判した。捜査時に入院中の豊嶋元秘書に供述を「強要」し、「秋元議員を犯罪者に仕立てた」と主張した。  豊嶋元秘書の弁護人も「供述を誘導され虚偽自白をさせられた」とした。また、講演料や旅費について「秋元議員に報告していない」と述べた。(川嶋かえ、原田悠自、金子和史) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

パワハラ相談担当の厚労省職員、パワハラで懲戒処分

 厚生労働省は29日、部下だった男性(33)にパワーハラスメントをしたとして、政策統括官付社会保障担当参事官室の室長補佐(当時)の男性を、減給10分の1(1カ月)の懲戒処分にしたと発表した。  同省によると、室長補佐は2017年、部下の男性に「死ねっつったら死ぬのか」などと威圧的な口調で指導した。男性がうつ病を発症したのは上司のパワハラが原因だったとして、同省が今月2日、民間企業の労災にあたる「公務災害」に認定していた。この上司は、ハラスメント防止のために各課に配置された「パワハラ相談員」だった。  大企業にパワハラ対策を義務づけるパワハラ防止法が昨年6月に施行されるなど、厚労省はパワハラ防止の旗振り役でもある。同省人事課は「このような事態を招いたことを重く受け止める」とし、管理職研修を徹底するなど再発防止に努めるとしている。(岡林佐和) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

収賄も証人買収も「無罪」 秋元司議員、白髪姿で初公判

 カジノを含む統合型リゾート(IR)事業への進出を目指す中国企業側から現金などを受け取ったとして収賄罪に問われた衆院議員の秋元司被告(49)は29日、東京地裁であった初公判で、証人買収罪も含めて無罪だと訴えた。「起訴されたすべての事件は無罪であります」と述べ、検察側と全面対決する姿勢を強調した。  秋元議員が公の場に姿を現したのは、組織犯罪処罰法違反(証人買収)の容疑で逮捕された昨年8月以来、約7カ月ぶりだ。  秋元議員はこの日、スーツ姿で入廷。逮捕前は黒色だった髪は白髪となっていた。議員バッジはしていなかったが、裁判官から職業を問われると「衆議院議員」と答えた。  その後、手元に用意した紙を読みながら、はっきりした口調で無罪を主張した。  起訴内容によると、秋元議員はIRを担当する内閣府副大臣だった2017~18年、中国企業側から約760万円の賄賂を受領。講演料名目で200万円、陣中見舞い名目で現金300万円を受け取ったほか、中国本社への視察旅行や北海道旅行の費用計約260万円を負担してもらったとされる。保釈後の20年2月には、贈賄側2人に計3500万円の報酬を示し、裁判でうその証言をするよう働きかけたとされる。 【秋元議員が述べた内容の趣旨は以下の通り】  疑惑を持たれこのような事態に… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

屋上からロープで店に侵入か トレカ盗んだ疑い、男逮捕

 東京・池袋でトレーディングカードを売買する店に忍び込み、金品を盗んだとして、警視庁は東京都豊島区の会社員の男(28)を建造物侵入と窃盗の疑いで逮捕し、29日発表した。  店は6階建てのビルの最上階に入っている。同庁によると、男は屋上からロープで6階に下り、ガラスを割って店内に侵入した疑いがある。調べに対し「高校でロッククライミング部に入っていた」などと供述しているという。  池袋署によると、男は23日午前5時ごろ、豊島区東池袋1丁目のトレーディングカードの買い取り・販売店にガラスを割って侵入。店内から「ポケモン」や「遊戯王」といった人気のカードなど約80枚(計約100万円相当)のほか、現金約26万円を盗んだ疑いがある。「借金を返すためにやった」と供述しているという。  署は、周辺の防犯カメラの映像などから男を特定。男がロッククライミングの技術を使い、屋上から壁を伝って移動したとみている。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

第一生命、全額弁済で和解へ 元営業社員の詐取巡る訴訟

 第一生命保険の元営業社員の女性(89)から金をだまし取られたとして、山口県周南市の女性が元社員と同社を相手取り約800万円の損害賠償を求めた訴訟で、第一生命が全額弁済する和解案を示し、原告側が応じる意向を示した。26日に山口地裁周南支部であった進行協議後、原告の代理人弁護士が明らかにした。  訴状によると、女性は昨年3月、同社の「上席特別参与」を名乗る元社員から高金利で運用するとうその話を持ちかけられ、1千万円をだまし取られた。その後、同社が1千万円のうち300万円を女性に返却している。  第一生命によると、元社員は2002~20年に24人から約19億5100万円をだましとった疑いがある。第一生命は取材に対し、「被害者の方々には個別に対応しているので、全体の方針については答えられない」としている。(高橋豪) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ナウシカの絵コンテ分析で叶精二が見た 宮崎駿の葛藤

 宮崎駿監督の最高傑作(記者の私見)にして最大の問題作、漫画『風の谷のナウシカ』を徹底的に読み解こうという企画、今回は宮崎作品研究の第一人者である映像研究家、叶精二さんにお話をうかがいました。漫画版と映画版絵コンテの徹底比較、『ナウシカ』の知られざる原点である漫画『砂漠の民』など、すれっからしのジブリマニアもうならせる話題が満載です! 【連載】コロナ下で読み解く 風の谷のナウシカ(全8回) 宮崎駿監督の傑作漫画「風の谷のナウシカ」は、マスクをしないと生きられない世界が舞台です。コロナ禍のいま、ナウシカから生きる知恵を引き出せないかと、6人の論者にインタビューしました。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー、民俗学者の赤坂憲雄さん、生物学者の福岡伸一さん、社会学者の大澤真幸さん、映像研究家の叶精二さん、漫画家の竹宮惠子さんの6人が、それぞれの「ナウシカ論」を語り尽くします。 「ペジテ」の地名、ナウシカより前に登場した漫画「砂漠の民」  ――なぜ、宮崎駿監督はアニメーターでありながら、漫画『風の谷のナウシカ』の連載を始められたのでしょうか。  「宮崎監督は元々、漫画家志望でした。学習院大学時代には、貸本の出版社に漫画を持ち込まれたこともあったそうです。作品は時代劇や市民革命を扱った難解な大河長編ばかりで、日の目をみないまま卒業を迎えたそうです」  「漫画家になるかアニメーターになるかで悩み、覚悟が決まらないまま東映動画に入社されました。そこでアニメーターの森康二さんや大塚康生さん、演出の高畑勲さんといった先輩たちと出会い、組合運動に取り組み、ソ連のアニメーション映画『雪の女王』(1957年)に感銘を受けたことで、アニメーションの道を本気で歩み始めたそうです」 拡大する宮崎駿監督が1969~70年にかけて秋津三朗名義で新聞連載した『砂漠の民』第2回より。初期のころは漫画というよりも絵物語に近いスタイルだった (C)Studio Ghibli  ――宮崎監督は新人の頃からどんどんアイデアを出されていた、と聞いていますが。  「当時は、メインスタッフになるまで下積みで経験を積む必要がありました。一方で、新人のアイデアでも採用しようという民主的な空気もあったわけです」  「長編アニメーションは集団創… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 -…

ナウシカを母と慕う巨神兵とは何者か? 大澤真幸の自問

 宮崎駿監督の最高傑作(記者の私見)にして最大の問題作、漫画『風の谷のナウシカ』をコロナ下の今こそ、徹底的に読み解こうという試み。今回はいよいよ、社会学者の大澤真幸さんが「巨神兵とは何者だったのか」というテーマに挑みます。キーワードは「仮定法の神」「神的暴力」。現代思想の最先端で繰り広げられるスリリングな論考をお楽しみください。 【連載】コロナ下で読み解く 風の谷のナウシカ(全8回) 宮崎駿監督の傑作漫画「風の谷のナウシカ」は、マスクをしないと生きられない世界が舞台です。コロナ禍のいま、ナウシカから生きる知恵を引き出せないかと、6人の論者にインタビューしました。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー、民俗学者の赤坂憲雄さん、生物学者の福岡伸一さん、社会学者の大澤真幸さん、映像研究家の叶精二さん、漫画家の竹宮惠子さんの6人が、それぞれの「ナウシカ論」を語り尽くします。 (この記事は漫画『風の谷のナウシカ』の内容に触れています) 二十数億年前、地球は有毒ガスに汚染された「腐海」だった  ――漫画版『ナウシカ』と現実との接点を、どのように捉えていますか。  「日本を代表する社会学者の一人で、私の恩師でもある見田宗介さんが、真木悠介名義で著した『自我の起原』という本があります。『ナウシカ』の中で叙事詩的に語られていた『生命の共生』というテーマを、この本では社会学や生物学の知見を駆使して、事実面から探究しようとしています」  「見田さんは、『食うか食われるか』『苛烈(かれつ)な生存競争』など、相克的なイメージで語られがちな生物同士の関係のイメージを覆し、人間を含めた生命間のポジティブな共生の可能性を探っている。『ナウシカ』を直接意識しているわけではありませんが、車の両輪のような関係にある一冊です」  「この本で、見田さんが特に力を入れて書かれているのが、細胞の進化の歴史ですが、これは『ナウシカの世界そのもの』と言ってもいいくらいです」  ――どんなところが似ているのですか。  「今から二十数億年前、地球は、ナウシカの世界で腐海(ふかい)が排出する『瘴気(しょうき)』のような、有毒ガスで汚染されていました。その有毒ガスとは『酸素』です」  「地球が誕生してから長い間、大気中に酸素はほとんど存在せす、生命も酸素を使わずに生きていました。ところが、30億年前に光合成を行うシアノバクテリアという藻の一種が登場し、大量の酸素を作り始めた。当時の大半の生命にとって酸素は毒であり、多くの生物種が絶滅しました。『地球で起こった最大規模の環境汚染』とする研究者もいるぐらいです」  ――人間の文明だけではなく、生物それ自体が環境を破壊することもあるとは驚きです。しかし、現在の多くの生物にとって、酸素は必要不可欠ですね。  「その通りです。ある時、毒である酸素を逆に利用し、効率よくエネルギーを作り出すバクテリアが突然変異で出現した。このバクテリアを食べた微生物の一部は、消化せずにバクテリアを体内に取り込むことで、自らも酸素を克服することに成功した。こうして細胞と共生するようになったバクテリアの子孫が現在、人間を含む多くの動植物の細胞の中にある『ミトコンドリア』です」 「食べられること」は敗北でない 生命の共生描いた  ――異種の生物同士が、共生関係を築くことで環境破壊の危機を克服したわけですね。…