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皇居前で能や狂言、100年ぶりに上演 野村萬斎さんら

 東京都千代田区の皇居前広場で12日午後、能や狂言などを3日間にわたって上演する特別公演「祈りのかたち」が始まった。日本芸術文化振興会によれば、皇居とその周辺で、能や狂言が大規模に上演されるのは約100年ぶりという。  初日の幕開けでは、観世清和さんや野村萬斎さんらが、二重橋を背に設けられた舞台で、コロナ禍の収束や東日本大震災の復興への祈りを込めて「翁(おきな)」を力強く披露した。会場では約340人が間隔をあけて席につき、演目を楽しんだ。  東京オリンピック・パラリンピックを機に、政府などが展開する文化プログラム「日本博」の一環で、文化庁と環境省、日本芸術文化振興会が主催。  13日には岩手県大船渡市に伝… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

慰安婦報道訴訟、元朝日記者の敗訴確定 最高裁

 韓国人元慰安婦の証言を書いた1991年の朝日新聞記事を「捏造(ねつぞう)」と記述され名誉を傷つけられたとして、元朝日新聞記者で「週刊金曜日」発行人兼社長・植村隆氏が、西岡力(つとむ)・麗沢大客員教授と「週刊文春」発行元の文芸春秋に賠償などを求めた裁判で、最高裁第一小法廷(小池裕(ひろし)裁判長)は植村氏の上告を退けた。名誉毀損(きそん)の成立を否定した一、二審判決が確定した。11日付の決定。  東京地裁は、日本軍や政府による女子挺身(ていしん)隊の動員と人身売買を混同した同記事を意図的な「捏造」と評した西岡氏らの指摘について、重要な部分は真実だと認定。東京高裁は指摘にも不正確な部分があると認めつつ、真実相当性があるとして結論は支持していた。(阿部峻介) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「スッキリ」放送で日テレ謝罪 アイヌ民族に不適切表現

 日本テレビは12日、同局系の情報番組「スッキリ」でアイヌ民族を傷つける不適切な表現があったとして、同日のニュース番組内でおわびした。  問題の発言は、動画配信サービス「Hulu(フールー)」の番組を紹介するコーナーであった。アイヌ女性のドキュメンタリー「Future is MINE ―アイヌ、私の声―」を紹介した後、お笑い芸人の脳みそ夫さんが「この作品とかけまして動物を見つけたととく。その心は、あ、犬」と謎かけをした。番組の放送後、SNS上などで「本当に許されないこと」などと批判の声が多く上がった。  北海道大学アイヌ・先住民研究センターの北原モコットゥナ●(シ)准教授によると、民族名に「犬」という言葉をかけて、侮蔑することは昔から続いてきたという。「放送を見て、集中力が下がって仕事が手につかなくなった。前後の説明を見れば、好意的に紹介しようという意図があったことは分かるが、長年多くの人々のトラウマとなってきた言葉が流れてしまったことは重大だ」と指摘。「本来は多様性の大切さを扱った映像。この件が『犬発言』への表面的な反発ではなく、大手メディアが国内の重要なトピックに対して大変鈍感であることの問題として取り上げられることを望む」と話した。  日本テレビは取材に「当該コーナーの担当者にこの表現が差別に当たるという認識が不足しており、放送前の確認も不十分でした。その結果、正しい判断ができないまま、アイヌ民族の方々を傷つける不適切な表現で放送してしまいました」と説明。「アイヌ民族の皆様、ならびに関係者の皆様に深くお詫(わ)び申し上げるとともに再発防止に努めてまいります」などとコメントした。(宮田裕介、大野択生) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「いくよー。3、2、1」 ホームレス襲撃時の会話判明

 岐阜市の河渡橋の下で路上生活をしていた渡辺哲哉さん(当時81)が襲撃され、死亡した事件から約1年。共に20歳の元少年2人は11日に岐阜地裁であった初公判で、起訴内容を認めた。法廷では、事件当日の被告らの行動や事件に至る経緯が明らかになった。  午前10時すぎ、会社員だった元少年と無職の元少年の2人は黒いスーツに身を包み、法廷に姿を見せた。  検察官が起訴状を読み上げると、2人は座ったまま、か細い声で「間違いないです」と起訴内容を認めた。白いマスク姿で、表情はうかがい知れなかった。  事件当日の昨年3月25日未明、被告らは二手に分かれ、渡辺さんと友人女性が寝ているところを挟む形で石を投げた。検察側の証拠調べでは、事件当時、被告らが使っていたスマホの通話アプリの会話内容が明らかになった。  「待って、石がない」「俺らいけるよ」「3、2、1でいくで」「いくよー。3、2、1。ライト、ライト、ライト」  裁判員らにはその音声も公開された。会社員だった元少年は髪を短くそろえ、イヤホンを軽く指で抑えながら聞いた。一方、襟足が首の下あたりまで伸びた無職の元少年は、終始うつむき加減でほとんど動かなかった。  事件現場の河川敷の防犯カメラの映像も、証拠として廷内に映し出された。暗闇の中、2人が渡辺さんと女性を前後で挟み、ライトを照らし追いかける姿が鮮明に映っていた。両被告は約2分の映像をじっと見つめていた。  複数の少年がホームレスを襲った事件に、社会的な関心が集まり、コロナ禍で一般傍聴席が34席しかない中、開廷前には141人が傍聴券を求め岐阜地裁に集まった。 「止められず後悔しています」  事件前に2人と一緒に渡辺さん… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

修学旅行行けなくても… 私たちが残した卒業ソング

 【埼玉】熊谷市立熊谷東中学校(伊藤幸男校長)の3年生145人が卒業式に合唱するために「青春(ぼくら)の詩(うた)」を作った。コロナ禍で修学旅行などを体験できなかった学年が思い出作りに取り組んだが、感染予防のため16日の本番での合唱は禁止に。11日、感染予防を図りながら最初で最後の合唱を録音し、これを卒業式で流すことにした。  3年生は昨年5月の京都・奈良への修学旅行が中止になり、大半の部活動で大会が中止になった。このため、音楽の木下八重香教諭(37)が卒業式で合唱する歌を自分たちで作ることを提案。6月から週1コマの音楽の授業を使って4クラスごとに歌詞やメロディーを作り始めた。木下教諭がこれらをつなぎ、プロの音楽家に編曲を依頼し、昨年末に完成した。木下教諭は「当初、生徒は私の提案に驚いていたが、等身大の言葉の歌ができた」と語る。  11日は体育館に3年生全員が集合。市教委の了承を得て、換気に注意を払ってお互いの距離を取るなどし、マスクを着けたまま合唱した。クラス単位では約1カ月間練習を続けてきたが、学年全員ではぶっつけ本番。高橋楓(かえで)さん(15)は「私たちが卒業した後も歌ってもらえるとうれしい。友達と教科書に載るといいねと話している」と満足そうだった。(坂井俊彦) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

路面電車、廃車→里帰り 交流の場で迎える第2の人生

 かつて神奈川県小田原市内を走った路面電車を展示し、カフェのある多世代交流施設「箱根口ガレージ 報徳広場」が12日、同市南町2丁目にオープンする。地域住民が絆を強め、観光客も歓迎する場をめざす。  展示されるのは「小田原市内線モハ202号」。小田原~箱根板橋間で運行し、1956年の廃線後は長崎市の長崎電気軌道に譲渡された。一昨年廃車となり、市民団体がクラウドファンディングで資金を集めて小田原に里帰りさせた。コロナ禍のため、当面は車内を一般公開しない。  報徳広場は、報徳二宮神社関連企業の報徳仕法が運営する。日中はカフェや生花店を営業。夜は会員制の「地域食堂」とし、大人も会食できる子ども食堂の形にして住民らが交流する。子どもが社会を学ぶ「こども経済教室」や料理教室も計画している。  報徳二宮神社の草山明久宮司は「子どもは路面電車で楽しみながら地域を勉強できる。郷土愛を育む場にしていきたい」と語る。問い合わせは報徳広場(0465・23・2881)へ。(村野英一) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

約束のマグロ解体ショー 冗談から始まった東北との絆

 【三重】「そんなら、僕がマグロの解体ショーでもしましょうか」。最初は冗談のつもりだった。ところが、返ってきたのは「やってけれ。頼みます」。岩手県陸前高田市で交わした約束が、すべての始まりだった。  津市香良洲町の海産問屋「丸政商店」の店主、鯖戸(さばと)伸弘さん(52)は2011年7月以降、津市や東日本大震災の被災地で、復興支援のためのイベントを企画してきた。  中でも特に力を入れてきたのが、東北でのマグロの解体ショー。この10年間で8回開いてきた。きっかけは、ボランティアで訪れた被災地での地元の人との何げないやりとりだった。  12年6月、仲間と陸前高田市へ行き、草刈りをしていた。汗だくになって作業をしていると、郷土汁を振る舞われた。  「兄ちゃん、お仕事は何をしているの」。休憩中、仮設商店街「未来商店街」の役員を務める男性から話しかけられた。そのとき、会話が弾んだことで、あの約束につながる。  そして13年1月、ついに約束を果たす日がやってきた。50キロほどのキハダマグロを名古屋市の市場で仕入れ、そのままレンタルバスで10時間以上かけて陸前高田市へ向かった。  会場は、商店街に用意された仮設テント。ショーが始まると、100人以上がテントを囲むように集まってきた。携帯電話のカメラで写真を撮る人や、「頑張れ」と声をかける人。みんなが食い入るようにショーを見つめる。  マグロに包丁を入れるたびに、「おお」「すごい」と歓声が上がった。解体されたマグロは、商店街に店を構えるすし職人が握り、その場で振る舞われた。  ショーは大盛況で幕を閉じた。何よりも、あのときの約束が達成でき、喜びでいっぱいだった。 昨年はコロナ禍で中止、今年こそ  それから年に1度、被災地でマグロの解体ショーをするようになった。岩手県だけではなく、宮城県や福島県にも行った。さらに、津市でチャリティーイベントも開いてきた。  震災をきっかけに、地元でのつながりも深まった。特に、10年間ともにイベントを企画してきた約20人の仲間たちとの絆は深まったと感じている。  苦に思ったことは一度もない。どうしたら喜んでもらえるのか、ずっと被災地支援のイベントのことばかり考えてきた。  だが、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で、東北でのマグロの解体ショーや、津市でのイベントが中止に追い込まれた。今年は震災から10年の節目の年。目線を変え、振る舞いではない別の形でのイベントに挑戦するつもりだ。  もちろん、「食」のイベントも、これまで通り続けたいと考えている。おいしいものを食べると、みんな笑顔になるから。(岡田真実)…

卒業式、「いのちの歌」だけはマスク外して 中庭で合唱

 山梨県内の多くの中学校で11日、卒業式があった。コロナ禍で長期休校や分散登校を強いられ、部活動や恒例行事は満足にできなかった。異例の1年を送った卒業生が学びやを巣立った。  笛吹市立一宮中の卒業生は93人。田草川淳校長は「今を一生懸命生きることが、過去や未来を光り輝かせるものにします」と言葉を贈った。卒業生は体育館で式を終えるとテニスコートへ。校舎の窓際から見つめる父母らに合唱を披露した。「いのちの歌」の時だけ、全員がマスクを外して高らかに歌った。  生徒会長の国府田マヒナさんは「修学旅行や部活の大会中止は残念だった。でも、最後の合唱で仲間がひとつになれた」。陸上部主将の荻原悠生(はるき)さんは「友だちとの会話が制限され、普通の生活が送れなくて残念だった」と話した。(河合博司) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

4億円不正出金問題で刑事告訴 元会長、私的流用は否定

 全日本私立幼稚園連合会の基金など約4億円が不正に出金された問題で、同連合会は12日、香川敬前会長と勝倉教雄・前事務局長を業務上横領と私文書偽造などの容疑で11日付で刑事告訴したと発表した。香川氏は内部調査に通帳の偽造を認める一方、私的流用は否定。勝倉氏は「香川氏の指示に従った」と説明したという。  12日に都内で会見した連合会の代理人弁護士によると、告訴容疑は、連合会が全国の都道府県団体から集めた会費のうち、国際交流や災害対策のための基金など計約4億円を2017~20年度に不正に引き出すなどして、横領したというもの。香川氏は昨年11月の内部調査に対し、残高を水増しした偽造通帳を示したといい、連合会は私文書偽造や偽造有印私文書行使未遂などの容疑でも告訴した。  田中雅道会長代行は「公の手ですべてを明らかにしていただくのがベストだと判断した」と述べた。  連合会の関連団体の全日本私立幼稚園PTA連合会でも約4100万円の使途不明金が出ており、PTA連合会も11日付で香川氏と勝倉氏を刑事告訴した。勝倉氏はPTA連合会の事務局長も務めていたが、昨年12月に退職したという。  PTA連合会会長の河村建夫元官房長官も会見に同席し、過去5年間に連合会などから自身が代表を務める政治団体への寄付は確認できなかった、と述べた。(鎌田悠) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

バー経営の「凝り性」元ボクサー 故郷にシードル醸造所

 東京・神田でバーを経営する藤井達郎さん(40)が、リンゴを原料にした発泡酒シードルの醸造会社を故郷の群馬県沼田市利根町平川で昨年6月に設立し、醸造所を建てた。藤井さんが代表を務め、7日、地元の幼なじみやバーの常連客と「初仕込み」をした。  藤井さんは元プロボクサー。バーテンダー修業を経て独立し、2015年にバーを開業した。その頃から「地元沼田のリンゴを使い、自分でシードルをつくりたい」と思うようになった。神田のバーは世界中から仕入れたシードルを看板メニューにしている。  「凝り性」だという藤井さんは、コロナ禍以前は毎年のようにスペインやフランスの醸造所や農家を訪ねた。産地を実際に見て、作り手と交流するのが目的だという。2年前からシードルづくりの準備を始め、今年2月に果実酒の製造免許を取得した。  ドイツのワイン研究施設勤務を経て日本で醸造所開設にも携わった経験のある醸造家の男性を招き、二人三脚でシードルづくりに励む。リンゴを機械ですりつぶし、プレス機で搾った果汁を発酵させる。今月仕込んだ初回の約1600リットルは6月上旬に沼田市の飲食店や酒店、神田の自身のバーなどに並ぶ予定だ。新年度は6千リットルを生産する。  原料のリンゴは、群馬生まれの品種「ぐんま名月」や、主力の「ふじ」など。ぐんま名月は蜜が多い人気の品種だが、ふじに比べて保存期間が短く生産量が少ない。産地以外にはほとんど出回っていない希少さに目を付け、ぐんま名月のシードルを看板にし、他の品種をブレンドしたものなどを商品化していく。「まずは香りや甘みなど沼田のリンゴの良さを感じてもらえるシードルを作っていきたい」と藤井さんは言う。  一方で、複雑な味わいの海外産に近いシードルづくりにも挑戦する。渋みや酸味のある欧州原産のシードル用のリンゴ栽培も沼田市内で始めている。  「ウイスキーやワインのように、シードルが当たり前に店や家庭で飲まれるようにしたい」(遠藤雄二) スコットランドの蒸留所をめぐり、出会った  藤井さんがプロボクサーを引退… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル