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「本当にちゃんと投票できるの?」 障害者へ向けられる差別にNOを

 投票のバリアフリーを進めてきた、東京都狛江市副市長の平林浩一さん(64)。長年、「投票から排除されてきた」人たちがいるといいます。 一体どういうことでしょう。 平林さんに活動の原点と、今後の課題を聞きました。狛江市副市長・平林浩一さん 「意思のない人はいない」 大学で法学部を選んだのは、つぶしがきくかなと思ったから。東京都狛江市役所に入庁したのは、転勤がない仕事がよかったから。「動機が不純で……」と笑う。でも、そんな言葉とは裏腹に、圧倒的な法律の知識と経験に裏付けられた行動力で、投票のバリアフリーを推し進めてきた。 きっかけは2013年。福祉保健部長に就任して半年後のこと。東京地裁で、成年後見制度で後見人がついた知的障害者らに選挙権を与えない公職選挙法の規定は「憲法違反」とする判決が出た。原告は、後見人がつくまで必ず投票に行っていたという、ダウン症の女性だった。全国各地で同様の訴訟は相次いでいた。公選法が改正され、被後見人の選挙権が回復した。 投票に行かない人も多い中で、行きたくても行けなくて、裁判を起こす人もいる。選挙権の重みを再認識した。 「これで、排除されていた人がみんな投票できるようになる」と思った。 ただ、障害者のサッカー教室など地域のイベントに参加していると、疑問が芽ばえた。障害の特性は様々で、初めての人や場所が苦手な人もいる。独特の静かな雰囲気の中で、立会人からじっと見られながら投票するのが、難しいこともあるのでは――。 社会参加とは、通学や就学だけではない。投票も、社会参加そのものだ。 投票の支援が必要ではないか。 その年から、全国に先駆けて…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

日航機に乗った夫、焦げた腕時計が返った 38年前に抱いた恨みは…

【動画】遺品の謎 ーある家族の数奇な100年ー アナウンサーが「東京発大阪行きの日本航空123便がレーダーから姿を消しました」と伝えていた。 1985年8月12日。当時52歳だった池田知加恵さん(90)がニュースに気づいたのは午後7時過ぎ。大阪の自宅ソファで横になり、テレビをつけた。会社役員の夫隆美(たかよし)さん(当時53)が東京での出張から帰る予定の時間帯だった。戦争、大震災、航空機事故。90歳の女性がくれた一通のLINEから三世代にわたる遺品の謎を追いました。そこに浮かんできたのは、100年の激動の歴史でした。 524人を乗せたジャンボ機が消息不明? そんなことがあるのだろうか。 その日の朝、東京に向かう隆美さんを伊丹空港まで車で送った。 「気をつけて行ってらっしゃい。帰りの迎えはどうする?」 「タクシーで帰るよ」 そんなやりとりをした。車を降り、アタッシェケースを手にさっそうと歩く後ろ姿が、ずっと目に焼きついている。長男が言った「これ、おやじのだ」 隆美さんは福岡県小倉市(現…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ご飯に合う!「海の厄介者」を特産品に 呼び方も変えてイメチェン

 アサリなどを食べて漁業に悪影響を与えることから、漁業関係者の間で「害貝」として知られる「ツメタガイ」。愛知県美浜町では、この「海の厄介者」を特産品にしようと、様々な商品開発をしてきた。商品は好評で、徐々に全国にも広まっている。 美浜町の老舗店「つくだ煮街道」ではツメタガイの総菜が売られている。オリーブオイルにつけ込んだ「オリーブ」、生姜(しょうが)などで味つけした「旨煮(うまに)」の2種類がある。レシピは社長の浜本けい子さん(68)が考え、手作業で製造される。醬油(しょうゆ)味ののりのつくだ煮と混ぜて食べるのもオススメだ。コリコリした食感で、すべて「ご飯に合う」と人気だ。 ツメタガイは水深数十センチの浅海に生息し、全国の海岸にいる。アサリなどの貝殻に穴を開けて中身を食べる被害が、各地で確認されている。 愛知県はアサリの漁獲量日本一を誇る。2021年は2364トンで全体の約48%を占めたが、その分、ツメタガイの被害も深刻だ。特に美浜町ではアサリが食べ尽くされ、町の観光資源の「潮干狩り」に影響が出るなど対策が課題だった。 こうした状況を打開するため、町は16年にツメタガイの商品化プロジェクトを始めた。全国的に食用で扱われることはほぼないが、町職員は三重県などで食べられていることに着目。砂抜きなどの処理が大変だが、コリコリとしてアワビに近い食感に「食用商品」の勝算を感じた。 地元漁協などと連携してレシピづくりなどに着手。地元では「うんね」と呼ばれていたため、「海音貝(うんね)」の名称を商標登録した。呼び方を変え、悪いイメージからの脱却をはかった。 「つくだ煮街道」がつくる総菜以外にも貝飯などが販売され、年間1トン以上が消費される。ふるさと納税の返礼品としても人気となり、ツメタガイの料理を出す町内の旅館や飲食店も10店舗以上に広がった。県外からの注文やリピーターも↑ ツメタガイの被害に悩むとこ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

あの日、ヘリから津波を撮った 今はアートでエネルギーを考える

 陸に押し寄せる黒い波。街がのみ込まれていく様子は、あまりにも現実離れしていた。「大変なことが起きている」。それしか感じられなかった。ヘリコプターに乗って上空から津波を撮った。あれから10年余り。今は福島を拠点とするアーティストとして、風やエネルギーについて伝える作品を手がけている。 元NHKカメラマンで現代美術作家、東京芸大非常勤講師の鉾井(ほこい)喬さん(39)。9日まで群馬県中之条町で開催されている芸術祭「中之条ビエンナーレ」に出展している。町内各地に点在する会場のひとつ、古民家「やませ」に展示はある。丘の上にあるこの大きな古民家からは周囲の山々を見渡せ、風がよく通る。テーマは「自然と人とエネルギーの関わり」 門の横には飛行機形の装置があり、先頭部分にカメラが取り付けられている。レンズの代わりに針穴のような小さな穴を利用して撮るピンホールカメラだ。風があるときは風力、無風のときには電力。自然の力と人工の力の双方で回転する。 古民家2階の一室には写真が2枚。1枚は外の装置で撮影し、もう1枚は福島県双葉町で同じ日に撮った。青、白、紫色がぼんやりと広がる写真は、太陽から地球へ光が届く8分19秒かけて撮影した。 その隣の部屋には、大きな銀色の装置の展示がある。装置についたプロペラを電気でまわし、そこで得られたプロペラの動力で装置が回転する。その装置が回転して起こる風を受けて、周囲につり下げられた枝も揺れる。別の部屋にも小さなプロペラがあり、人が息を吹きかけるとこの枝が整列する――。頭上では、原子炉のような円錐(えんすい)形のモチーフが屋根裏からつり下げられている。 作品名は「山に立ち風上を捉える」。テーマは「自然と人とエネルギーの関わり」だ。人は気づかないうちにも自然に支えられたり、エネルギーを使ったりしている。「なぜ自分は生き残ってしまったのか」 鉾井さんは2010年にNH…この記事は有料記事です。残り927文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

東京・福生で海外旅行気分はいかが? 米国もアジアも混じり合う街

 横田基地を抱える街、東京都福生市。米国の雰囲気を感じられる場所として知られているが、実はアジア各国から来た住民も多く、エスニックな雰囲気にも満ちているらしい。海外のにおいを感じるべく、足を運んだ。 JR青梅線の牛浜駅から歩いて10分ほど。横田基地に面した国道16号にさしかかると、街はぐっと異国の雰囲気を増す。広い道路に沿ってヤシの木が生え、ところどころに置かれた原色のカラフルなベンチには「WELCOME TO FUSSA」の文字。大学生のとき、留学で約1年間を過ごしたアメリカ西海岸を思い出した。歴史が生んだ異国情緒 そんな16号沿いに、米国の宿泊施設を再現し、2019年にオープンしたカフェ「The MINT MOTEL」がある。近くの雑貨屋を営む広川恵さんがオーナーで、店内は机や椅子、照明にいたるまで、米国で買い付けたものだ。 看板商品のカップケーキは、水色や赤など色とりどり。従業員によると、コロナ禍以降、海外旅行気分を味わうために訪れる人が増えたという。 その近くにある「福生アメリカンハウス」。青々とした広い庭が付いた平屋建て住宅はもともと、朝鮮戦争で大量に動員された米兵たちが住んでいた。その後、空き家になり、14年からは福生武蔵野商店街振興組合が展示施設として管理している。福生の異国情緒は、歴史が生み出してきたとも言える。実は多いアジアの人々 米国のイメージが強い福生市…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「スゴ技シャンプー」の人気理容師、入り口に掲げた虹色の回転灯

 シャカシャカと高速で動く指が、泡立つ頭を包み込む。心地よさに眠ってしまう人も少なくない。 ユーチューブの動画は再生回数230万回。それを見て、台湾や中国からもお客が来る。 その名も「スゴ技シャンプー」。 ヘア―サロンウイングは、仙台市のビジネス街にある人気理容店。あるじの小野寺真(しん)さん(46)の持ち技だ。 そのシャンプーではないけれど、9月、うれしい賞を勝ち取った。 札幌市で開かれた「理容2023メッセージ全国大会」(全国理容生活衛生同業組合連合会主催)。いわば全国の理容師の弁論大会だ。そこで優勝した。師匠がくれたメンズシャツ 「ようやく一人前に」 トランスジェンダー男性とし…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

海保巡視艇でマグロやカツオ釣る 「取った後食べた」職員停職処分

 海上保安庁の巡視艇で勤務中、乗組員らに釣りを許可したなどとして、宮古島海上保安部(沖縄県宮古島市)は6日、船長だった男性職員(53)を停職2カ月の懲戒処分とし、発表した。 宮古島海保によると、男性職員は2021年5~6月の計3日間、巡視艇「なつづき」の乗組員数人に船上での釣りを許可した。マグロやカツオが釣れたといい、男性職員らは「取った後は食べた」と話しているという。現場は、沖縄本島の代表的なカツオの漁場として知られる本部(もとぶ)半島沖や、池間島沖だったという。 また、男性職員はこの3日間の勤務時間外に、停泊中の艇内で乗組員数人に飲酒を許可し、飲み会を行った。部内通達では、勤務時間外でも艇内での釣りや飲酒は禁止されている。内部から通報があり、調査を続けていたという。(棚橋咲月)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

札幌・豊平区のシンボル「りんご」 400個盗まれ、区が被害届

 札幌市豊平区のシンボルとして親しまれる「リンゴ」の並木から収穫間際の実が盗まれたとして、同区は6日、道警豊平署に被害届を提出した。 区が街路樹として管理するリンゴの木は、道路の中央分離帯に約1キロにわたって82本が並ぶ。小学生が収穫体験するなど地域に欠かせない存在ゆえに、担当者は「事業に支障が出る」と懸念を示す。 区によると、被害にあったのは「つがる」と「ふじ」の2品種で約400個がなくなっていたという。あわせて6万6千円相当だったとみている。 9月26日未明、道路工事の…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ふるさと納税の担当職員、返礼率6割の食料品を不正取得し免職 香川

福家司2023年10月6日 20時40分 ふるさと納税のシステムを不正に操作して、国の基準を超えた高い割合の返礼品を受け取ったとして、香川県三木町は6日、課長補佐級の男性職員(46)を同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。この職員は、町のふるさと納税に関わる業務を担当していた。 町によると、職員は2019年1月から21年3月まで、ふるさと納税の返礼品を指定する際、不正にシステムを操作し、自身や妻の名義で計7回、寄付額に対する返礼品の割合が町が認めていない6割以上の物品を受け取ったという。 国は19年に返礼品の割合を寄付額の3割以下としたが、職員はシステムのリストに残っていた返礼率6割以上7割未満の品を選び、業者へ発注していた。いずれも食料品(計約23万円相当)だった。 今年6月のふるさと納税の現況調査をきっかけに発覚。職員は町の聞き取りに、「返礼率が引き下げられ、収入が少なくなる業者に負い目があり、担当としてできることをした」と釈明しているという。 町は伊藤良春町長と高西功副町長もそれぞれ10%の減給処分(1カ月)とする方針。この職員の上司に当たる課長級職員(55)も戒告とし、関係する職員6人を書面訓告や口頭厳重注意とした。 町役場で会見した伊藤町長は「町民の信頼を著しく損ない、心からおわび申し上げる。再発防止に向けて、町民の信頼回復に全力で取り組む」と話した。 職員が事実を認め、全額を弁済していることなどから、刑事告発はしないという。(福家司)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

地震越え、輝く「鳥居」 5月に震度6強、さいはての海辺に登場

 今年5月、震度6強の地震があった石川県珠洲市で「奥能登国際芸術祭」が開かれている。能登半島の先端に位置する「さいはて」の地に、計61作品が展示されている。日本海沿いの岩場にはキラキラと輝く鳥居形の作品が設置され、来場者の目を引いている。 作品は、アゼルバイジャンの作家、ファイグ・アフメッド氏が制作した「自身への扉」。全面に貼られたスパンコールが、風に揺れると光を反射し輝いて見える。深夜に30秒間露光し、ストロボを強く当てて撮影すると、輝く鳥居が夜空に浮かび上がった。 実行委員会は地震からの復興を優先させるため、開幕を3週間遅らせた。会場予定地の一部で壁のはがれや液状化などが起こり、別の場所に変更した。会場が使えなくなり、出展をあきらめた団体もあったが、開催にこぎ着けた。 同市内では今月5日現在、全壊40棟など3153棟の住宅被害が確認された。今も壊れた屋根や壁にブルーシートを掛けた建物や、外壁に貼られたままの「危険」「要注意」の紙が目に付く。 珠洲市の泉谷満寿裕市長は開幕式で、「震災からの復興への光にしたい」と呼びかけた。会期は11月12日まで。(林敏行)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル