「誰かのサンタ」になりませんか 子どもたちに絵本を
クリスマスにあわせて、生活が苦しい家庭や被災地、闘病中の子どもにプレゼントを贈る取り組みが広がっています。「サンタクロース」になる側も楽しめる活動だといいます。あなたも「誰かのサンタ」、なってみますか? 選ぶのも幸せな時間 「絵本をプレゼントする機会をつくってくれて、ありがとう」。「ブックサンタ2019」プロジェクトを主催するNPO法人チャリティーサンタ代表理事の清輔(きよすけ)夏輝さんの元には、寄付者からそんな感謝の声が届く。 貧困や災害などで厳しい環境に置かれている子どもたちに絵本を贈るプロジェクトは今回が3回目。プロジェクトに参加する書店で絵本を購入して寄付することを伝えると、サンタクロースに扮したボランティアらが、クリスマスに子どもたちにその絵本を届ける仕組みだ。昨年は合計2180冊が寄付された。 贈り先は、チャリティーサンタが決めている。プレゼントを望む家庭を募る際に、生活状況などに関するアンケートを併せて実施。その回答を踏まえて決めるという。 「あなたも誰かのサンタクロース」。これがチャリティーサンタの合言葉だ。活動を始めたのは2008年。各家庭から預かったクリスマスプレゼントを、サンタクロースが子どもに手渡しすることから始めた。 その後、サンタが訪問した際に受け取る寄付金で、国内外で貧困や被災など困難な状況にある子どもの支援を行ってきた。経済的に厳しい家庭などに、サンタがお菓子の詰め合わせを届けていた時期もあったが、食べてなくなるものでは思い出に残りづらい。どんなプレゼントが喜ばれるのか聞いていくと、特に絵本が喜ばれることがわかった。それが、17年にブックサンタプロジェクトを始めるきっかけになった。 清輔さんは、寄付した人の多くから「どれを選んだら喜ぶのか、選んでいる時間がとても幸せな時間だった」という声が寄せられたと話す。「クリスマスは子どもが夢を見やすい日。大人も子どもの頃に夢を見ていたはずだから、子どもたちのために行動しやすい日なのでは。様々な形で誰かのサンタになれるよう、これからも出番を作っていきたいです」 ジュンク堂池袋本店は、今年からプロジェクトに参加する。児童書担当の山﨑瑠美さんはブックサンタについて、「すてきな本を見つけると誰かに感想を言いたくなる。その気持ちがチャリティーにつながるなら素敵。この本を読んでほしいという気持ちも運んでくれそうです」と話す。 実店舗以外にも、WEBサイト「Honya Club.com」から購入・寄付できるほか、クラウドファンディング「CAMPFIRE」からも参加できる。参加書店など詳細は公式サイト(https://booksanta.charity-santa.com/)。 走って贈る「サンタラン」も 別のかたちの活動もある。 たとえば、サンタクロースの衣装で走るチャリティーイベント。今年で11回目の開催となる大阪グレートサンタラン(一般社団法人OSAKAあかるクラブ主催)は、参加費が闘病中の子どもたちに、おもちゃや絵本などのプレゼントを贈る費用にあてられる。昨年の参加者数は約4400人だった。昨年が初開催となった東京でも、約2500人が参加した。 会場には、会社の仲間や3世代の家族、バギーに乗った0歳児を連れた親子など幅広い層が集う。サンタクロースやトナカイの衣装付きのチケットも用意されているが、仲間同士でクリスマスにちなんだ衣装を自前でそろえて走る人も多いという。 大阪グレートサンタラン広報担当の加藤裕子さんは、このサンタランは「楽しくチャリティー」をモットーにしていると話す。「日本では、チャリティーはひっそりやるものという感じがありますが、誰かを笑顔にできるなら、やる人も楽しくできる方がいいですよね」…