社会

青い空に映える濃いピンク 夜にはライトアップも 早咲きの河津桜

伊藤進之介2024年2月10日 21時30分 静岡県河津町で早咲きの河津桜が見頃を迎えている。町内を流れる河津川沿いの約4キロに850本ほどが植えられ、開花状況は二分咲きから満開まで様々。訪れた人たちは好天のもと、鮮やかなピンク色に染まった並木道を散策していた。 見頃は1カ月間ほど続く。29日までは、午後6時から午後9時にかけ、夜桜のライトアップも行われる。 子どもの頃から毎年、花見に訪れるという川崎市の山中忍さん(50)は「青い空に、濃いピンクがとてもきれい。来る度に知り合いが増え、また友だちに会いたくて毎年来てしまう」と話した。(伊藤進之介)桜のエピソードを募集しています 桜ものがたり2024 読者の皆様の心に残る桜を紹介する写真企画「桜ものがたり2024」のエピソードを募集します。桜を見ることで勇気づけられた経験、地元ならではの名所など、桜にまつわる思い出をお寄せください。 頂いたお話を元に映像報道部の記者が取材し、紙面と朝日新聞デジタルで紹介します。QRコードから過去に掲載した「桜ものがたり」がご覧いただけます。 応募は2月29日まで。住所、氏名、電話番号を明記の上、桜のエピソードと場所をお送り下さい。 宛先は朝日新聞東京本社映像報道部「桜ものがたり2024」係。ファクス(03・5541・8519)、はがき(住所不要で〒104・8011)、電子メール(sakura@asahi.com)でお寄せ下さい。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

北大恵迪寮の伝統イベント 雪山に飛び降り「今しかできない幸せを」

上保晃平2024年2月10日 20時00分 115年以上の歴史がある北海道大学の自治寮「恵迪(けいてき)寮」(札幌市北区)で10日、伝統イベントのジャンプ大会があった。ふんどしをはいた寮生らが雪山を目がけて2階から飛び降り、一発芸や寸劇で約70人を笑わせた。 恵迪寮は、北大の前身の札幌農学校の開学に伴って寄宿舎として開設され、1907(明治40)年に命名された。家賃は水道光熱費などを含めて月1万5千円ほどで、現在は約400人の学生が生活している。 水産学部2年の高沢共生さん(22)は、安い家賃と「毎日がお祭りみたい」な生活にひかれて4年前に入寮した。だが、コロナ禍で伝統イベントが相次いで中止に。数十年続くとされるジャンプ大会は、昨年にようやく復活した。 3月で卒寮予定の高沢さんはこの日、同部屋の寮生らと寸劇を披露した。「最後の参加なので、今しかできないことに幸せを感じました」と満足した表情で寮歌を熱唱した。(上保晃平)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

迫る津波、近所に動けぬ高齢者 能登で問われた「あなたはどうする」

 能登半島地震では、近所の人がお年寄り宅を訪ねて回り、避難所に連れ出したケースがありました。ただ、短時間で迫ってくる津波を前に、日頃の訓練通りに対処できるとも限りません。難を逃れた住民が記者に問いました。「あなたなら、どうしますか?」 能登半島の北部に位置する石川県能登町の立壁地区。海から約50メートルの家に一人で暮らす中町勝子さん(83)は、元日夕の大きな揺れに四つんばいになって耐えた。「怖くて怖くてどうしようもなくて」 揺れが収まり、杖をついて外に出ると、近くの元看護師の女性(70)が駆けつけてきた。足腰が弱く、押し車や電動車いすで外出する中町さんのことをいつも気にかけてくれる。 倒れた車庫の戸を直そうとしたが、「ともかく行かないと」と手を引っぱられ、数十メートル先の集会所まで急な坂を上がった。「たか(高台)上がれ、たか上がれ!」と叫ぶ隣人たちの声が聞こえた。 一方、元看護師はその後、自力での避難が難しい90代の女性の自宅にも向かった。女性が玄関口から目の前の海の様子をうかがっているのを確認し、いったん集会所に車いすを取りに戻って、再び女性宅へ。「いっぺん避難するから!」と5回ほど呼びかけた。小さな返事が聞こえるだけでなかなか出てこない。近くの男性2人も駆けつけ、女性が乗った車いすごと持ち上げて坂道をのぼっていった。 元看護師が海に目をやると、普段は見えない海底の黒い岩がむき出しになっていた。高台から「海の底やー」と叫ぶ声。集会所に戻る途中、自宅に残っていた80歳近い夫婦にも「津波が来る。はよ出てきて!」と声をかけた。 ちょうどその時、最も海に近い家に津波が押し寄せるのが見えた。夫婦と一緒に坂を全力で駆け上がった。 津波が来たのは地震から10分ちょっとだったと、元看護師は記憶している。「津波の時はばらばらに避難をと言われているが、一人で逃げられない人もいて見捨てるのは難しい。ただ、津波がもっと早かったら……」 元看護師とともに避難した中町さんは「動けん人もみんな助けて高台に上げてくださって、本当に頭が上がらない」と話した。「家族のことで精いっぱい」の現実 地区の民生委員の浜高康雄さ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

被災者、転園せず別の保育園利用可 「弾力運用」4月以降も継続方針

 能登半島地震をめぐり、加藤鮎子こども政策担当相は10日、避難先の保育所の定員超過を認めるなど、被災者が保育施設を利用しやすくする運用について「4月以降も継続する」と明らかにした。同日、石川県七尾市の保育施設などを視察。その後、石川県庁で記者会見した。 こども家庭庁はこれまで、災害の影響で保育所などが利用できなくなった場合、転園せずに別の施設を利用できることを周知。受け入れ先の定員超過も特例的に認めてきた。今回、こうした措置を4月以降も継続する方針を示した。 加藤氏は「(4月以降の)見通しが立つことで、(就労など)さまざま保護者の方々も判断がつく」と述べた。(高橋健次郎)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません能登半島地震1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

大津波からの避難訓練、自力で助かるのか 車いすの記者が参加したら

 東日本大震災の津波で目立った障害者や高齢者らの逃げ遅れを減らす取り組みは、どこまで進んだのか。被災地の教訓は、おのおのがばらばらに逃げる「てんでんこ」。車いすで生活する記者(26)が訓練に参加し、避難のあり方を考えた。 2023年11月中旬の早朝。記者は、岩手県大槌町吉里吉里地区の住宅地にあるコンビニ店駐車場で合図を待っていた。 「訓練、大地震です」 防災無線から大津波警報を知らせるアナウンスが流れた。地元の参加者約10人とともに、車いすを力いっぱいこぎ出す。 家族と手をつなぐランドセル姿の児童や同級生と走る子どもたちと一緒に向かうのは、約200メートル先の高台にある一時避難場所、三陸鉄道の吉里吉里駅前広場だ。途中に50メートルほどの坂があり、自力で避難できるかを確かめるのが参加の狙いだった。 数分後に坂の登り口に着いた。緩やかだと思っていた勾配がだんだんきつくなる。車輪が重く、速度が落ちる。 すると、居合わせた40代の男性が「大丈夫か」と後ろから押してくれた。一気に腕が楽になった。「ありがとうございます」と頭を下げた。 だが、坂の終盤には20段以上ある階段が待ち構えていた。20分以内の到着を目標としていたが、「これは無理だ」。どうしようか悩んでいた時、別の50代男性が「手伝います」と加勢してくれた。2人で「せーの」と私ごと車いすを持ち上げ、運んでくれた。「よいしょ、よいしょ」 心の底から頼もしかったが、不安は拭えない。実際の災害時には助ける側にもリスクがある。自分は助けを求められるか。はってでも上れたか――。「あなたも助からなかったでしょうね」 秋田県で生まれ育ち、中学生…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

仕事場倒壊、廃業を覚悟 父の代から続いた商売「やめざるを得ない」

 元鶏舎だった建物は能登半島地震の揺れで、入り口部分の壁の形をとどめたまま、後ろに倒れ込むように倒壊していた。 「やっぱりつぶれたか。鶏が中にいなくてよかった」。石川県珠洲市の男性(70)は8年ほど前まではここで養鶏場を経営していた。最多で1万5千羽ほどを飼育していたのでそこに地震が来ていたら被害は甚大だっただろう。 父から受け継いだ養鶏は鳥インフルエンザの流行や設備の老朽化もあってやめていた。鶏舎はそのころから使用していなかったが、すぐ隣の倉庫を作業場にして珠洲や輪島などの小規模商店向けに卵を卸していた。 「もう年だし、これだけひどいとやめざるを得ないよ」。廃業を覚悟した男性はため息をついた。 戸棚がむき出しになり、卵の梱包(こんぽう)材やCDなどが散乱する中、釣りに使うルアーが出てきた。さおの引きが強いタイを釣るのが好きだった。市内に留め置いている小型ボートは無事だったという。 「あー釣りしたいな。いつできるかな」。珠洲の海で再び釣りが出来るのはいつになるだろうか?(西岡臣)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません能登半島地震1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

今夏の天神祭、花形組織の参加認めず 無形文化財「催太鼓」も中止へ

 日本三大祭りの一つに数えられる大阪天満宮(大阪市)の天神祭で、天満宮側が今夏の祭りに、花形組織として神事を奉仕してきた「太鼓中(たいこなか)」の参加を認めないことを決めた。 太鼓中の組織運営に不信感を抱き、昨年の祭りでは組織トップの総代ら3人の参加を禁じていた。総代らは、天満宮の宮司らを相手取って損害賠償を請求する訴訟を起こしている。 市民ら約800人からなる太鼓中は、天神祭でみこしの上で太鼓を打ち鳴らす神事「催太鼓(もよおしだいこ)」を奉仕してきた。周辺を練り歩く陸渡御(りくとぎょ)や、川を約100隻の船が行き交う船渡御(ふなとぎょ)の先陣を切る。江戸時代から続き、大阪府の無形民俗文化財の一つになっている。信頼関係の維持、難しく 天満宮と、祭りを主催する「天神祭渡御行事保存協賛会」によると、一連の問題は3年前に始まった。 太鼓中の総代を選ぶ役員会で…この記事は有料記事です。残り772文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

障害ある受験生へ時間延長など配慮 3154高校実施も公平性に腐心

有料記事近藤咲子 鳥尾祐太2024年2月10日 12時00分 2016年の障害者差別解消法施行に伴い、公立高校入試で障害がある受験生に試験時間延長といった受験上の配慮を認める動きが広がっている。こうした受験生の進路の選択肢が増える一方で、学校側は他の受験生との公平性の確保にも腐心している。認められた1.5倍の試験時間 9日、千葉市の公立中学校に通う3年の男子生徒(15)のもとに志望する千葉県の公立高校から、20、21日の入試で1.5倍の試験時間の延長などを認める通知が届いた。県内の公立高ではこれまで1.3倍の延長しか実績がなく、生徒は1月、1.5倍の延長を求め署名約1600筆を県教育長に提出していた。 男子生徒は脳性まひにより手に力が入りにくく、解答の記入に時間がかかる。事情を踏まえ、中学校では定期考査で1.5倍の時間延長を認められている。 入試時間について昨夏から両親らと複数回、県教育委員会に事情を説明し、延長について相談した。県教委側は「1.3倍しか実績が無い」と回答していたが、中学の校長とも協議するなどし、最終的に別室受験や介助者の同行などに加えて、1.5倍の延長も認めた。担当者は「中学での実績や、提出された医師の診断書の内容などを総合的に判断した」と理由を述べた。 障害者差別解消法では、障害者の社会的障壁を除去するために行政機関に対し合理的な配慮の提供を義務づけている。文部科学省は同法施行前の15年、公立高入試で別室受験や時間延長など合理的な配慮を例示した対応指針を示し、都道府県教委に対応を求めていた。 指針を受け、千葉県は、受験生から申請を受けた高校の校長が中学校側や県教委と協議し、配慮を実施するか決定するといった規定を設けた。障害がある公立高の受験生に対し、配慮を実施した全国の学校数は2016年に比べて、2023年には倍以上になりました。学校側は前例も参考に個別対応しています。中には利き手の骨折で時間延長を認めたケースも。その理由とは。 文科省によると、公立高入試…この記事は有料記事です。残り836文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

27歳が喫茶店を継いだら、若い世代の客が… レトロな店の起死回生

 京急鶴見駅(横浜市鶴見区)のすぐそばに1975年創業の古い喫茶店がある。珈琲(コーヒー)専門店「山百合(やまゆり)」。一時休業していたが、2年前に元小学校教諭の慶野未来(けいのみく)さん(27)が2代目店主に就き、再び営業が始まった。「喫茶店文化を残したい」。背中を押したのはそんな思いだった。 席数は25ほど。小さな店内の壁には手書きのメニューが貼られ、昭和にタイムスリップしたようなレトロな雰囲気が広がる。 自慢のコーヒーは慶野さんがサイホンを使い、丁寧にいれていく。人気のナポリタンは、横浜市民の有志が結成した「日本ナポリタン学会」にも認定された一品だ。 全国で喫茶店の廃業が相次ぐなか、山百合もまた、後継者が見つからず、休業が続いていた。 「廃業しそうな喫茶店を継いでほしい」「見るだけでも」と店を訪れたところ 慶野さんはそんな話を聞いて…この記事は有料記事です。残り783文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

能登半島地震で起こったこと そして私たちはどうすれば 識者に聞く

 能登半島地震では、様々な事情や理由から、自治体があらかじめ定める「指定避難所」ではなく、近所の集会所などを自分たちで「自主避難所」にして生活する被災者が多くいます。今後の大災害に備えて、私たちは避難先をどう考えればいいのでしょうか。災害時の避難行動に詳しい京都大防災研究所の矢守克也教授=防災心理学=に聞きました。 ――能登半島地震では、たくさんの被災者が集会所などに自主的に避難所を作りました 私も現地にいたら、そうしたと思います。 2016年の熊本地震では、義母が被災しました。心臓病を含めて複数の持病があるため、指定避難所には行かないほうがいいと電話で指示し、発生から約24時間後に迎えに行きました。 私が到着するまで、義母は近隣の方々などの協力を得て安全な場所を求め、①近所の住民の車内、②近隣の大規模商業施設内に設けられたテント、③ホテルが開放した広間、④私立高校の武道場――と4カ所を巡り、それぞれ数時間ずつ過ごしました。 これは決して、例外的なケースではなかったはずです。被災者は生きるために少しでもよい環境を見つけようと、できることは何でもします。これからの災害でも、同様のことは必ず起きます。 自治体があらかじめ指定した避難所にだけ被災者が来る――というストーリーは、現実的ではありません。 逆に、今回の地震でそうだったように、今後の災害では、帰宅困難者や外国人観光客など、行政側が来るとは思っていなかった被災者が指定避難所に大量に押し寄せることも大いにありえます。 ――自治体は自主避難所から、指定避難所や、ホテルなどの2次避難所に移るよう促しました 避難場所や避難生活のあり方は、非常に複線的です。自治体は、避難生活は「各地区ごとに指定避難所で」といったこれまでの原則を見直し、「多様な避難先(分散避難)」に対応するよう、かじを切るべきです。 ――行政ができる「分散避難」の備えはありますか まず、「分散避難は当然起こる」という認識が必要です。 例えば、京都府福知山市では指定避難所とは別に、地区避難所という「地域の判断で開設し、運営する施設」をあらかじめ定めています。 自治体がマネジメントする「指定避難所」とは別に、地区避難所のように、住民に任せるけど自治体側もあらかじめ存在を把握しておく、「準指定避難所」というカテゴリーを作ってはどうでしょうか。 さらに、自治体の想定以上に独自に避難所や避難先ができることを念頭に、情報収集ができる仕組みを用意すべきです。 熊本地震では、住民の避難先を特定するため、携帯電話の通信記録から、人が多く集まっている空き地や駐車場などを調査する試みがありました。在宅避難者や広域避難者からの情報を、自治体側に報知できるWEBシステムを導入することも有用でしょう。 避難所の運営についても、市町村単位で考えていては、今後予想される南海トラフ巨大地震のような大規模災害には対応できません。広域的に対応する仕組みに少しずつ変更することが、帰宅困難者や観光客らへの対策としてもきわめて重要です。 ――私たちができる備えはありますか 指定避難所ではない避難所や避難先には、小規模な自治体だと、災害時に支援物資などのケアが行き届かない可能性があります。 私たち住民側も、「避難先は自分たちで模索しておくべきもの」という覚悟や準備が必要ではないでしょうか。友人宅や親戚宅、勤務先、ホテル・旅館など多様な可能性を模索して、普段から「シミュレーションお泊まり」をしても良いでしょう。(聞き手・島脇健史)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル