社会

元NHK記者の不正経費問題 総額789万円 友人・同僚との飲食も

 NHKの報道局に所属していた30代記者が私的な飲食代を取材と称して不正に経費請求し、懲戒免職になった問題で、NHKは19日、この元記者の不正請求の総額が計410件約789万円に上ったと発表した。弁護士らからなる第三者委員会を設けて調査していた。同日、会見を開いた安保華子理事は「NHKに対する信頼を大きく損ねるもので、深くお詫(わ)び申し上げる」と謝罪した。 この元記者は社会部員で、NHKは2018年以降の現職を含む歴代社会部長3人を停職1カ月とするなど、関係職員計9人を懲戒処分。社会部長は経費の申請の管理に関して決定印を庶務担当の管理職に預け、申請内容を確認していなかったという。さらに当時報道局長だった小池英夫専務理事と、根本拓也理事の2人を稲葉延雄会長が厳重注意し、2人は役員報酬の10%を自主返納した。 NHKによると、確認できた410件の不正請求は、経理の記録のある17年4月~23年5月に行われ、うち311件が、友人や同僚との飲食など取材と無関係の私的なものだったという。 調査報告書は「取材現場の裁量にゆだねて組織としての統制をかけず、記者個人の職業倫理に依拠させた結果、ルールから逸脱した運用が可能になってしまっていたことが最大の問題」と指摘した。 7月に不正な経費請求が行わ…この記事は有料記事です。残り540文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

いじめ12件認定「学校の初動に不備」 花丸は「不適切」と報告書

 奈良市立小学校でいじめが発覚し、被害児童が自死をほのめかしたノートに担任教諭が花丸をつけた問題で、同市教育委員会は調査結果を公表した。学校現場がとったいじめ対応の初動に不備があり、市が行っている研修にも課題があることが浮き彫りになった。 19日に公表された調査報告書は、女子児童が2021~22年に男子児童1人から12件のいじめを受けたと認定した。手首をひねって突き飛ばしたり、鉛筆で背中を突いたりする行為などを確認したという。 校長ら学校側は、問題が発覚して保護者と面談した昨年2月、保護者が求めた謝罪や調査に応じず、速やかに同級生らへの聞き取りにつなげられなかった。児童同士を近づけないといった「経過観察」をとったが、「継続するいじめ行為を止めることができなかった」。「花丸」の経緯に食い違い 担任教諭が花丸をつけるに至…この記事は有料記事です。残り636文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

広島市長、教育勅語に「民主主義的な発想ある」との見解 研修で引用

 広島市の松井一実市長は19日、講師を務める市の新規採用職員研修で戦前・戦中の「教育勅語」の一部を引用していることについて、「民主主義的な発想の言葉が並んでいる」などと述べた。今後の研修でも使う考えを改めて示した。 松井氏は、研修資料の「生きていく上での心の持ち方」と題した項目で「先輩が作り上げたもので良いものはしっかりと受け止め、また、後輩に繫ぐ事が重要」と記述。教育勅語の一節として「爾(なんじ)臣民 兄弟(けいてい)に 友に 博愛 衆に及ぼし 学を修め 業を習い 知能を啓発し 進んで公益を広め 世務(せいむ)を開き」との文言を掲載している。 この日の定例会見で松井氏は、教育勅語について「先進国は民主主義を一生懸命広めて国力を増強しているから、日本も追いつかなきゃいけないと思って、そういうコンセプトを書き込んだ」とし、「コンセプトの使い方が、天皇陛下が全部取り仕切るような用語の扱い、構成にしたことで、使い方を誤り、日本が軍事国家になった」との見解を述べた。 その上で職員研修では、戦後の国会で教育勅語の排除が決議されたことに触れた上で、「民主主義を取り込もうとしているといったような内容だから、そういう評価ができるのではないかと、説明している」とした。 今月11日には「教育勅語を再評価すべきとは考えていないが、その中に評価してもよい部分があったという事実を知っておくことは大切だ」とのコメントを出していた。 日本大の小野雅章教授(教育史)は、教育勅語は「天皇と臣民の関係という話を前提としている」と指摘。松井氏が引用する部分も「すべてが命を投げ出し、国家に貢献しなさいという部分にかかるものだ。爾臣民という言葉自体が主権在民にもとる。いいところもあれば悪いところもあると解釈すること自体が成り立たない」と述べた。19日の会見での松井市長の見解 会見での一問一答の抜粋は以下の通り。 ――教育勅語を職員研修で取り上げた経緯と理由は。現行憲法の理念に反するとの指摘もあるが、どう評価しているのか。 市長になって翌年の平成24…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

在日朝鮮人作家の徐京植さん死去 軍政下の韓国で兄の救助活動に尽力

2023年12月19日 19時40分 在日朝鮮人2世の作家で、東京経済大学名誉教授の徐京植(ソ・キョンシク)さんが18日に死去した。72歳だった。 京都市出身。軍政下の韓国で国家保安法違反容疑で逮捕された兄2人の救援活動を通じて、韓国の民主化運動に身を投じた。「子どもの涙」で日本エッセイスト・クラブ賞。「プリーモ・レーヴィへの旅」でマルコ・ポーロ賞。ほかに「私の西洋美術巡礼」「ディアスポラ紀行」など。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

二審も敗訴の赤木さん「また見捨てられた気持ち」 公文書改ざん訴訟

 学校法人森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられ、自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻雅子さん(52)が改ざん当時、同省理財局長だった佐川宣寿氏に1650万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が19日、大阪高裁であった。黒野功久裁判長は、請求を棄却した一審・大阪地裁判決を支持し、雅子さん側の控訴を棄却した。雅子さん側は上告する方針。 国家公務員が職務で損害を与えた場合、賠償責任は公務員個人ではなく、国が負うとの最高裁判例がある。高裁は一審・大阪地裁判決を踏襲し、佐川氏についても判例が当てはまると判断した。 雅子さん側は、佐川氏が理財局長の地位を利用して改ざんを指示しており、「民主主義の根幹を崩した今回のような場合まで責任を否定すべきではない」と訴えた。 しかし高裁は、公務員個人に賠償責任を認めれば、国に比べて組織的な対応ができず、訴訟が大きな負担になると指摘。公務員への萎縮効果につながることから、最高裁判例は不合理ではないとした。また、違法行為をした公務員個人への制裁は「懲戒処分や刑事処分などでの実現が想定されている」とも述べた。 俊夫さんは国有地売却問題が明らかになった2017年2月以降、対応に追われた。当時の安倍晋三首相は国会で国有地売却について「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員もやめる」と答弁。俊夫さんは理財局の指示で改ざんに関わり、同年7月にうつ病と診断され、休職した。18年3月に公文書の書き換え疑惑を朝日新聞が報じた5日後、自宅で亡くなった。 雅子さん側は、佐川氏には改ざんの経緯を説明し、謝罪する義務があるとも訴えた。高裁は「一人の人間として誠意を尽くした説明や謝罪があってしかるべきだが、法的責任があるとまではいえない」とした。財務省は改ざん問題の調査報告書を公表した18年6月、佐川氏を停職3カ月相当の懲戒処分としたが、「処分が不十分だったとしても、公務員個人は賠償責任を負わないとの解釈を変更すべきではない」とした。 雅子さんの代理人弁護士は判決後の記者会見で、「無責任な言いぶりだ」と高裁判決を批判。佐川氏側の代理人に今年11月、雅子さんの手紙を送ったが、返事がなかったことも明らかにした。 雅子さんは判決後、報道陣の取材に応じ、「また見捨てられたという気持ちがした。夫が受けたつらい、つらい思いを考えると負けていられない。裁判を続けるしか私には道が残っていない」と述べた。 雅子さんは20年3月、国と佐川氏を提訴。国が21年12月に突如、賠償責任を受け入れて終結させる「認諾」をしたため、佐川氏との訴訟が残っていた。(森下裕介、堀之内健史)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「送料無料」の表示を「送料当社負担」に 消費者庁が通販業者に要請

 通販サイトなどで多くみられる「送料無料」表示について、消費者庁は19日、「送料当社負担」「○○円(送料込み)」など送料の負担先や仕組みを明確にするよう大手通販事業者などが加盟する四つの業界団体に求めた。消費者が運送への意識を持ち、再配達を減らすといった行動変容につながることを期待している。 「送料無料」を表示する場合は、誰が負担をして無料になっているのかや、配送業者には適切な運賃が支払われていることなどを事業者がホームページなどで説明することを求める。 物流が滞るおそれがある「2024年問題」への対策の一環。 運送業界では、高い再配達率…この記事は有料記事です。残り463文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

「パーティーは裏金作りに最高」安倍派関係者が明かす資金環流の実態

 政権や自民党を大きく揺るがす党派閥の政治資金パーティー問題は19日、刑事事件に発展した。議員や秘書らの証言からは、不透明な資金作りを「軽い気持ち」で連綿と続けてきた実態が浮かび上がる。 「まさかこんな問題になるとは思わなかった。会計責任者のトカゲのしっぽ切りで終わるのか、議員までいくのか……」。安倍派関係者は19日、家宅捜索のニュースから目が離せなかったという。 一連の問題の発端は、昨年秋に出された告発状だったが、党内では「事務的ミス」と楽観されていた。雰囲気が変わったのは今年の秋。「大きなスキャンダルになるのでは」「特にまずいのが安倍派」などとささやかれ始めた。 複数の安倍派関係者への取材で、裏金化の実態が見えてきた。 「これは自由にしてください…この記事は有料記事です。残り1521文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

国会議員の共謀認定には高いハードル 専門家に聞く捜査のポイント

 自民党の派閥パーティーをめぐる問題で、東京地検特捜部は19日、安倍派と二階派の事務所の家宅捜索に乗り出した。元検事の弁護士と政治資金に詳しい専門家に、捜査のポイントや今回の事件の問題性を聞いた。高井康行弁護士(元東京地検特捜部検事) 派閥側の会計責任者には当然、当該資金がパーティー券の売り上げであり、政治資金収支報告書に記載すべきだとの認識があるはずなので、会計責任者を不記載罪に問うのは難しくない。事務総長を務めた国会議員の共謀まで問うには、不記載を指示するなど、主体的に関わったという供述や証拠が必要だ。不記載は長年の慣例で、会計責任者が事務総長に逐一相談していないなどとなれば、共謀認定は難しい。 パーティー収入の還流を受け…この記事は有料記事です。残り646文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

大音量の音楽流して業務妨害罪 「迷惑系」ユーチューバーが一部否認

山本逸生2023年12月19日 16時31分 飲食店内で音楽を大音量で流す様子をスマートフォンで動画撮影したとして、威力業務妨害罪に問われた米国籍のイスマエル・ラムジー・カリド被告(24)の初公判が19日、大阪地裁であった。カリド被告は「店内でビデオを撮ったことは否定しないが、音は携帯電話から自動で流れたものだ」として起訴内容の一部を否認。弁護側は同罪の成立は争わないが、「音楽は被告が主体的に流したものではない」と述べた。 カリド被告は「ジョニー・ソマリ」を名乗り、ユーチューバーとして活動していた。 検察側の冒頭陳述などによると、カリド被告は今年9月、大阪市中央区の飲食店内で大音量で音楽を流し続け、店員に対応させるなどして店の業務を妨害したとされる。 意図的に迷惑行為をして動画の再生回数を増やす配信者は「迷惑系ユーチューバー」とも呼ばれる。(山本逸生)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

知名度悩む自治体、tiktokで快挙 「格好いい」200万回再生

 TikTokJapanが初めて開催した「パブリックセクター ショートムービーアワード」で、千葉県袖ケ浦市が撮影した消防士の訓練風景の動画が3位相当の審査員特別賞を受賞した。 受賞動画は、昨年4月にアップされた1分弱の「消防士の訓練風景③ ロープブリッジ救出」。消防士が普段行う訓練風景を撮影したシリーズで、合図とともに手際よくロープを体に結びつけ、要救助者役がいる20メートル先の訓練棟まで渡したロープにぶら下がってあっという間到達。開始地点まで要救助者役を救出する様子を撮影した。 消防士との恋愛を描いた漫画「モエカレはオレンジ色」の映画化や、アニメ化された漫画「炎炎ノ消防隊」の人気もあり、また消防士がロープを猛スピードで渡っていく姿も「格好いい」と評判に。自治体作成の動画としては異例の200万回超えの再生回数を記録しているという。 市では昨年4月、若い世代に行政や地域に興味を持ってもらおうと「広報担当TikTok」を開設。地域の情報やPR動画を公開してきた。 担当の大河原碧さんは「こんなに多くの人に届くとは思っていなかった。今回の訓練動画のように『行政だからこそ』『行政ならでは』の動画を発信していきたい」としている。     ◇ 一方、千葉県袖ケ浦市の知名度アップを図ろうと、若手職員が市名をダジャレにした動画企画「袖が裏チャレンジ」を始めた。考案した「そでがうら(袖が裏)ポーズ」をとった市民や企業団体、著名人にそのショート動画を投稿してもらい拡散する企画で、投稿者を募集している。 市にとって知名度向上は長年の懸案事項。2018年の調査では、市外の人の回答が「あまり知らない」か「まったく知らない」が計約6割に上った。字体が似ていることから「柚(ゆず)ケ浦」と呼ばれることも。そこで若手職員がまず市名を知ってもらい、都心へのアクセスや子育て環境などをPRしようと考えた。 ポーズは「袖ケ浦」の掛け声で左手をガッツポーズのように顔の横に持っていき服の袖を裏返す。撮影したら共通ハッシュタグの「#袖が裏チャレンジ」か「#袖ケ浦市」をつけてTikTokなどに投稿する。 プロジェクトチームは市のイベントなどでブースを設置して参加者を募り、動画を撮影している。これらは市が運営するTikTokの「広報担当TikTok」やYouTubeの市公式チャンネルにアップする。担当者は「袖ケ浦を全く知らない多くの人に見てもらうためハッシュタグなども工夫していきたい」と話している。(堤恭太)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル