社会

「実刑にならず社会に戻る人たち」どう支援 再犯防止へ役職置く市も

 逮捕されたが刑務所には入らず社会に戻る――。そんな刑事司法手続きの「入り口」に立った人たちの生活再建を支援するため、神戸市は今年、「再犯防止コーディネーター」という役職を新たに置いた。更生や社会復帰のサポートが少なく、再犯者率が高いことが背景にある。 7月末、市の福祉担当者ら約100人が参加した、再犯防止推進研修。再犯防止コーディネーターの上利(あがり)博美さん(53)は自らの役割をこう説明した。「刑務所の入り口をくぐらなかった人が社会の入り口をくぐる時の水先案内人です」 コーディネーターは、今年度新設された福祉局相談支援課内に1人置かれる。上利さんは、司法福祉の現場で支援経験を重ねた専門家として6月に着任した。 支援の主な対象は逮捕後に不起訴や起訴猶予、罰金などの処分を受け、刑務所などの矯正施設に入ることなく社会に戻る人たち。 そうした人と面談を重ねて個…この記事は有料記事です。残り529文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

「危険な踏切」なぜ、なくならない? 沿線を歩き、見えた地元の事情

 この4月に広島に赴任した新人記者の目には、かなり危ない場所に映った。遮断機も警報機もない踏切が存在していることを知ってはいたが、現物を見るのは初めてだった。「危険な踏切」は地域にどう息づいているのか探りたくなった。 意外と近くにあった。広島駅から北へ約5キロの「戸坂第1踏切」。単線で1時間に6回ほどJR芸備線が通る。張り込んでみると、近所に住むという70代女性が歩いてきた。 墓参りに行く際に使うという。150メートルほど先に遮断機と警報機がついている踏切が見えた。だが、女性は「このあたりは急勾配の坂が多く、できるだけ近道を使いたい。この道は廃止してほしくない」と話す。 「来ますね」。女性が急に声を押し殺した。 耳をすますと、「ガタンガタン」と電車の音が聞こえてきた。まもなく2両編成の芸備線が目の前を走り抜けた。 新人記者は取材に夢中で、隣の踏切の警報音に気がつかなかった。女性は「うっかり電車を見逃してしまうかもしれない。安全な踏切になってくれれば安心」と語った。「廃止は難しいんじゃないの?」と言う住民 遮断機も警報機もない踏切は「第4種踏切」と呼ばれる。危険性を問題視した総務省は2021年、廃止するか、遮断機と警報機をつけて「第1種踏切」にするかの対応を国土交通省に求めた。第4種の踏切事故の件数は第1種の1・7倍に上り、死亡事故が絶えないと指摘した。 JR西日本は今年3月末時点…この記事は有料記事です。残り1458文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

長周期地震動、備えてますか? 高層化進む札幌市が抱える「盲点」

【動画】ゆったりとした横揺れが長時間続く「長周期地震動」体験=日浦統撮影 197万人が暮らす札幌市で、防災の盲点とされるのが「長周期地震動」だ。大地震で生じるゆっくりした大きな揺れで、高層の建物が少ない時代はあまり注目されなかった。しかし最近は市内でビルやマンションの高層化が顕著で、専門家は軟らかい地盤とあわせて被害を拡大させる危険性があると指摘する。 「家具・書棚などは固定しておきましょう」「高いビルの高層階では、大きく長い揺れに注意!」 札幌市の全10区役所にある窓口のモニター。最近、頻繁に放映されるのが長周期地震動を啓発する動画だ。制作した札幌管区気象台の長谷川洋平地震津波防災官は「道内ではなじみが薄い長周期地震動をまず知ってもらうのが大事」と語る。市も今年から、マンションの地震対策を記した市民向け冊子に長周期地震動の記述を追加した。 道内で長周期地震動の被害が確認されたのは、2003年の十勝沖地震のときだ。千島海溝沿いを震源とし、マグニチュード8を記録した。苫小牧の石油タンクでスロッシング現象で火災が発生し、44時間にわたり燃え続けた。 長周期地震動は震源から離れ…この記事は有料記事です。残り1031文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

SNSで顔を「加工」するのは 美女をめざすのではなく、炎上しても

有料記事聞き手・吉田純哉2023年9月11日 7時30分 SNS上では、顔の「加工」があふれています。誰だか見分けがつかない、なんていう経験はありませんか。加工の歴史、欧州との比較、美容整形への影響――。メディア環境学者の久保友香さんに、「素顔のない時代」を読み解いてもらいました。欧米では「加工」に拒否感、精神を病む危険性 いまの若い子がSNSで見せる顔は、カメラやSNS機能を使って「加工」するのが標準です。加工していない場合は、わざわざ「無加工」と書くこともあります。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は初期設定で、明らかな加工がされています。 その顔はみんな同じに見えるかもしれませんが、加工をする人同士では差異がはっきり分かるんですよ。スポーツに詳しくない私には、プロ野球選手はみんな同じ服の同じ外見に見えますが、似たような感じではないでしょうか。 若い子のファッションのトレ…この記事は有料記事です。残り1127文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

2歳の孫を車内に置き去りし死亡させた疑い 祖母を逮捕 岡山・津山

小沢邦男2023年9月10日 11時27分 2歳の孫を駐車場に止めた車の車内に約9時間半置き去りにして死亡させたとして、岡山県警津山署は10日、同県津山市一方、介護助手柴田節子容疑者(53)を過失致死の疑いで逮捕し、発表した。「考え事をしていて、孫を乗せているのを忘れていた」と容疑を認めているという。 署によると、柴田容疑者は9日午前8時15分ごろから午後5時40分ごろまでの間、勤務先の津山市内の病院駐車場に止めた自分の乗用車の車内に、近くに住む孫の目瀬陽翔(はると)ちゃん(2)を置き去りにし、その過失によって何らかの傷害を負わせて死亡させた疑い。署は熱中症で亡くなった可能性があるとみて、司法解剖して詳しい死因を調べる。 柴田容疑者は9日、近所の長女宅から陽翔ちゃんを保育園に送り届ける予定だったが、長女宅まで車で迎えに行ってそのまま勤務先に直行。車の座席は3列で陽翔ちゃんは運転席の後ろの席でチャイルドシートに座っており、車は施錠されていた。柴田容疑者が勤務を終えて車に戻ったときに陽翔ちゃんに気付いた。ぐったりして呼びかけにも応じなかったという。近くにいた同僚が110番通報した。 現場は屋根のない屋外駐車場。9日の津山市の最高気温は31・7度だった。(小沢邦男)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

ラグビー日本代表を支える「宇都宮餃子」 一本の電話で突然シェフに

 中華鍋に大量の油を投じて、高い火力で炒めあげる。それが中華料理のイメージ。 ただ、このキッチンに中華鍋はない。選手の体調を考えると、油もあまり使えない。 さて、どうする――。 栃木県鹿沼市。東鹿沼駅から車で約10分、20人入れば満席になる郊外の中華料理屋「Chinese 恵泉」を営む石田篤さん(46)は8月19日から2週間、ラグビー日本代表のシェフとして、イタリアでの事前合宿に同行した。 妻と切り盛りする店で使う野菜は地元産。得意料理は餃子(ギョーザ)やしゅうまいで、季節ごとに上海ガニや伊勢エビと変わるコース料理が定番だ。 だが、イタリアでは選手のために貸し切られたレストランが主戦場となった。選手やスタッフ、約50人分の料理を作らなければならない。 午前4時起床。朝食の中華がゆの準備をする。フードコーディネーターらとその日のメニューを決めるのは、サッカー・ワールドカップ(W杯)でも5大会連続で代表の専属シェフを務め、ラグビーでもその役目を担う西芳照さん。そのメニューに合わせて、次々と調理していく。 選手が近くの宿泊所からやってくると、レストランは大にぎわいだ。朝食が終わると、すぐに昼食、夕飯と続く。ホテルに戻るのは午後11時ごろ。日が変わることもあった。 「店の味とアスリート用の味は変えました」 選手の体のことを考え、極力油は使わない。「ラビオリみたい」 中華を超えたエビギョーザ 例えば麻婆豆腐。普通は中華…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

子どもを被曝から守りたい 米国女性らの「乳歯検査」伝える映画

有料記事編集委員・副島英樹2023年9月10日 13時49分 米国内の核実験被害の実態に迫る映画「放射線を浴びたX年後Ⅲ サイレント・フォールアウト~乳歯が語る大陸汚染」の上映会が8月20日、広島市中区で開かれた。「まともな地球を次の世代に残したい。いま歯止めをかけないと取り返しようがなくなる」。上映後、この映画シリーズを手掛けてきた映画監督の伊東英朗さん(63)は訴えた。 今回の映画(96分)は、1950年代から60年代に米ネバダ州で実施された核実験による放射能汚染を追跡。子どもを被曝(ひばく)から守るため女性たちが始めた「乳歯検査」の史実を中心に、4千ページを超える文書と30人の証言で構成している。 「実はみなさん全員、被曝者だっていうことは自覚されているでしょうか」 上映後の若者とのトークイベントで、伊東監督はそう語り始めた。 米国はネバダで100回の大気圏内核実験を行い、太平洋での水爆実験でも放射性降下物(フォールアウト)で米国自身を汚染。映画では、各地で採取されたハチミツからセシウム137が検出される実態が描かれる。核実験由来の汚染は日本列島も例外ではない。 「私たち自身が被曝しているという認識を持たないと、世界中の放射能の問題は変わらない」 60年代の米国では、子どもを守りたいという女性たちの思いと行動が当時のケネディ大統領を動かし、大気圏内での核実験禁止につながった。 「この映画のサブテーマは…この記事は有料記事です。残り450文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

住民2割が外国人の群馬県大泉町 「将来の日本の姿」で共生探る町長

 人口のほぼ2割が外国籍の群馬県大泉町。「この町の姿は将来の日本の姿だ」という村山俊明町長に、共生に向けた課題などを聞いた。 1962年生まれ。群馬県大泉町議会議員に97年に初当選し約16年務める。13年に町長に就任し、現在3期目。趣味は、日系ブラジル人が経営するスポーツジムで筋トレ。 ――大泉町では1990年代に外国籍の住民が増えました。3世までの日系人とその配偶者らが定住し働けるようになった、90年の入管法改正がきっかけでした。 「大泉町や周辺地域は製造業で栄えてきました。戦前は戦闘機などを生産していた中島飛行機の工場がありました。現在も自動車や電機メーカーなどの様々な工場があります。80年代から人手不足に直面し、外国籍の人たちが徐々に働くようになりました。当初はバングラデシュやイランなどの出身者が多かった。次第にブラジルやペルーなどの日系人が増え始め、90年の入管法改正で急増しました。今では外国籍住民の半数をブラジルが占めます。国別では計48カ国の住民がいます」 「この33年間で、町の担当課の名前が何度も変わりました。企画調整課内の国際交流係として始まったものが、国際交流課となり、国際政策課、国際協働課を経て、現在は多文化協働課です。単なる名称変更ではなく、自治体が向き合うべきことが変わったのです」 「90年ごろは外国籍のほとんどが日系人で、数年出稼ぎしたら帰国するつもりで来ていた。職場と住居の往復でほかの住民との接触がほとんどなく、交流が必要だと考えられていました。今では町内に10年以上暮らす外国籍の人も非常に多く、大泉町に家を購入する人も増えています。外国籍の方々も一緒に町をつくっていく協働する人です」労働力ではなく人間 ――外国籍の住民と以前からの住民との共生は実現できましたか。 「外から見える表の顔は、多文化共生の先進的な取り組みをしている町かもしれません。しかし、まだ問題も多いのが実態です」 「政府や企業は労働力がほしいのでしょう。しかし、実際に来るのは人間です。経済を回すための労働力と、生活者は全然違います。そのことを政府は安易に考えているのかもしれません」 「差別などの問題も考えなければいけない。町ではあらゆる差別の撤廃をめざす人権擁護条例を17年に制定し、全国の町村で初めてとなるパートナーシップ制度も19年に導入しました。人権や多様性を重視するのは、外国籍住民が多いという特色があるからです」 「町民からはいろいろな意見がありました。『外国人ばかり住みやすくするのか』『もっと外国人を呼び寄せるのか』といったものもあった。労働人口が減るなか将来を見据えると、人権と多様性を大切にすることが町に住みたい理由になる。結局、日本人を含めた町民全体のためになるはずです」 ――外国籍住民に対する否定的な意見が今もあるんですね。 「自動車窃盗や車上荒らしが問題になった時期もあり、以前のイメージを持ち続けている人も少なくないと思います。日系人が増え始めた90年代からゴミ出しのマナーは問題になり、今でも町には苦情が届きます。分別しない、指定日以外に出すといったものです。休みの日に大音量で音楽をかけながらバーベキューをやるため、騒音や煙の苦情も以前は多かった。対策としてブラジルの公用語のポルトガル語や、ペルーの公用語のスペイン語で啓発活動を始めました。今では7カ国語で実施しています」 「定住化が進むと、ずっと住むつもりの方は清掃活動に参加するなど協力的になって、マナーを守るようになります。でも、新しく来た国の人たちには理解できるまで、改めて伝えなければいけません。伝えようとすれば、多言語で対応することになります。当初はポルトガル語やスペイン語だけでよかったのですが、次々と増えていく。行政としては、すべての住民に平等にサービスを提供する義務があります。しかし、現実問題として少数の言語にまで十分に対応することは、むずかしいです」 ――多言語対応の限界ですね。英語を町の「共通語」に 「はい。技能実習制度は日本…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「絶対あかんよ」 道頓堀に飛び込んだ男が語る、阪神優勝の熱狂

 いまから38年前の1985年11月2日、阪神タイガースが日本一になった日、大阪・道頓堀川に飛び込んだ男がいた。高校2年生だった落語家の桂福若(ふくわか)さん(54)。「道頓堀に飛び込んだら、絶対あかんよ」。当時の熱狂を振り返ったうえで、そんなメッセージを寄せてくれた。 ――なぜ道頓堀に 僕、本当は巨人ファンなんです。王貞治さんの大ファンで。巨人の帽子をかぶってたら、近所のおっちゃんに「教育に悪いことすな」と怒られていました。 この年の阪神は勝ちまくってた。だけど、同級生に「阪神なんて絶対優勝するか」って言うてもうたんです。 「優勝したらどうすんねん」 「道頓堀にでも飛び込んだるわ」、と。 はなし家になろうと思って、師匠(父親の4代目桂福団治)について劇場(道頓堀角座。現在は閉館)にも行ってたんです。それでパッと、「道頓堀」と。 ――日本一の日は? 同級生と2人で道頓堀に行ったら、ものすごい数の人がギュウギュウ詰めになってて。同級生が「飛び込め!」と言うと、周りのおっちゃんたちが「おー!」と歓声を上げるので、飛び込まないとしゃあない。 服を脱いで、用意してきた(…この記事は有料記事です。残り1227文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

紀子さま、57歳に お住まいの改修費増に「心配していた」

多田晃子2023年9月11日 0時00分【動画】57歳の誕生日を迎えた秋篠宮妃紀子さま=宮内庁提供 秋篠宮妃紀子さまは11日、57歳の誕生日を迎えた。これに先立ち、宮内記者会の質問に文書で回答を寄せた。 秋篠宮邸の改修費用が当初より増えたことを「とても心配しておりました」とし、改修工事やお住まいをめぐる説明については「関係者みなが、考えられる選択をしながらおこなったように思います」と述べた。 次女佳子さまが現在、宮邸ではなく分室(旧御仮寓所(ごかぐうしょ))に住んでいることについても説明した。 改修規模や経費を抑えるため、長男悠仁さま以外の家族4人で相談し、改修後の宮邸には結婚前だった長女小室眞子さんと佳子さまの部屋をつくらず、仮住まい先だった分室を引き続き活用することにしたという。 これまでは「誰がどの場所に住むかは、私的な事柄であり、セキュリティーに関わる事柄」として説明を控えてきた。だが、佳子さまが分室に住んでいることなどの大きな変更点はさらに説明が必要と宮内庁が判断し、説明したという。 佳子さまは折に触れて宮邸に立ち寄り、家族と話をしたり食事をしたりしているという。 総工費約30億2千万円を投じた宮邸の改修にあたり、秋篠宮さまとともに①旧秩父宮邸の意匠の美しい内装、外装を大切に②必要最小限の予算にという希望を宮内庁に伝えていたことも明かした。 自身の今後の活動については「未来を創る子どもたちに思いを馳(は)せ、希望へとつながるような活動にも、専門家やよき仲間たちと一緒に取り組みたい」。佳子さまについては、一つ一つの仕事に熱心に取り組む姿を心強く思っているとし、悠仁さまには「自分らしく学びを深め、さまざまな経験を重ねながら、自らの関心や探究心を大切に」との願いを口にした。米国で生活する眞子さんの幸せを常に願っているとした。(多田晃子)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル