「ブラック霞が関」著者 東大卒減問題なし 官僚力弱めた3つの理由

 霞が関の中央省庁は激務だ――。そんな認識が広がり、就職希望者は減っている。現場の実態を描き話題になった「ブラック霞が関」の著者・千正康裕さんへのインタビューから見えてきた、官僚的な民間企業にも通じそうな、危うい実態とは。

せんしょう・やすひろ 1975年生まれ。慶応大卒。2001年に厚生労働省に入る。19年9月に退官後、「ブラック霞が関」を刊行。現在は株式会社千正組代表取締役。医療福祉などの社会問題解決に向けたコンサルティングや、政策の発信も行う。近著に「官邸は今日も間違える」。

 ――北海道・知床半島沖の観光船の事故で、安全監査の体制の脆弱(ぜいじゃく)さが明らかになりました。背景には、人手の少なさも指摘されていますが、どう見ていますか。

 共通しそうな問題は行政のいろいろな面で起きているんです。たとえば保育所もそう。現場ではいろんな問題があるけど、監督する人間が足りない。いっぱいいっぱいで、なかなかリアルには現場を回れない。「コストはかけるな」という考え方の結果かと思いますが、それだけでは、役所の組織が崩壊してしまう。国土交通省で統計不正が発覚しましたが、その背景にも、共通するものがあると思います。

役人は一番、下位に位置している

 ――中央省庁では、野党が官僚を呼んで公開で行うヒアリングをあまりやらなくなりました。官僚の負荷は減ったのでしょうか。

 まずひとつ言っておきたいことがあります。政治が行政に対して、しっかりチェック機能を果たすということと、役人に無駄な負荷をかけない、という議論は、一緒くたにしないほうがいい。行政をチェックする機能自体は必要です。

 ――ヒアリングをやめればいい、という単純な話ではないと。

 ヒアリングで厳しく追及すると、「野党は批判ばっかり」と言われてしまい、一般受けがよくなかったのでしょう。だから路線を変えよう、というのがあったのだと思います。役人に過度な負担をかけることはよくないし、国民受けもしない、という雰囲気が出てきていると感じます。しかし僕は、必要な批判はしていいし、しなくてはいけないと思っている。ただ批判をすること自体をやめる、ということではなくて、コミュニケーションのルールをちゃんとつくったほうがいいと考えています。

出身大と仕事能力「相関しない」

 ――かみ砕いて説明してもらえますか。

 役人の世界では、「きょうの…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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