「プールのない夏」に現実味…営業断念、相次ぐ 両立困難なコロナ予防と熱中症対策(西日本新聞)

 新型コロナウイルス感染症の影響で、今夏の営業を取りやめるレジャープールが出始めている。感染防止と熱中症の対策を両立させるのが困難なためで、九州では福岡市東区の「海の中道サンシャインプール」や熊本県荒尾市の遊園地「グリーンランド」などが中止を決定。一方、営業を選択したプールには人が殺到する恐れがあり、関係者は頭を悩ませる。水泳の授業中止を決めた学校も多く、早くも厳しい暑さとなる中、「プールのない夏」が現実味を帯びてきた。 【写真】客のいないプール  「楽しみにしている人を思うと悔しいが、今夏は断念せざるを得ないと判断した」。サンシャインプールの運営会社「西日本パブリック」(福岡市東区)の担当者は、1983年に営業を始めて以降初めてとなる1シーズンを通した中止の決定に肩を落とす。  例年、約2カ月の期間中に約20万人が訪れ、一部のウオータースライダーで約2時間待ちの行列ができることも。並ぶ人の熱中症対策としてテントを設置しているが、今夏は「密」回避へ行列の間隔を空ける必要があり、十分な日陰を確保するのは困難だ。担当者は「熱中症とコロナ対策を両立することは現実的に不可能」と打ち明ける。  スポーツ庁によると、新型コロナの「水中感染」のリスクは低いとされる。それでも、プールの運営側には「密」になりやすい更衣室などでの感染防止に不安がつきまとう。  北九州市の新型コロナ対策でアドバイザーを務める市立八幡病院の伊藤重彦院長は、飛沫(ひまつ)感染のリスクを指摘。「プールで泳いだり遊んだりすると安静時よりも深い呼吸になり、飛沫が飛びやすい環境にあると考えられる」。水中よりも、むしろ水上で近づいた際に注意が必要というわけだ。

学校のプール、使用避ける動きが加速

 北九州市小倉南区の「アドベンチャープール」は毎年7月第2土曜日にオープンしているが、市内の感染状況を見極めるため、プール開きを延期する方針だ。  1日当たりの入場制限や一部人気アトラクションの利用停止などの対策を検討しており、7月下旬以降のオープンか中止でぎりぎりの調整を続けている。「シーズンのピーク期には水面が見えないくらいの人でにぎわうこともある。本来ならうれしいことだが…」。担当者の悩みは深い。  「アクアシアン」を所有する福岡県芦屋町は「周囲の施設が営業を中止すると人が殺到する恐れがある」として、近隣のレジャープールの動向を営業するかどうかの判断材料にするという。例年8万人の人出を見込む同県田川市の市民プールも、営業方針は決まっていない。  一方、小中学校での水泳授業については、福岡、北九州、熊本、佐賀の各市が既に中止を決定。大分市も各学校に判断を委ねるなど、学校のプール使用を避ける動きが加速している。反動でレジャープールを利用しようとする人の増加も予想され、各施設とも「難しい判断を迫られている」(田川市の担当者)状況だ。
(内田完爾、岩佐遼介)

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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