「一番の理解者」手にかけた娘 「あえて言う」裁判長が示した生き方

 「あえて言います。(あなたは)頑張る必要はありません」。母を手にかけ、死亡させた罪に問われた娘に、裁判長は判決後、言葉をかけた。長く手を携えて暮らしてきた母と娘に、何があったのか。法廷でのやりとりからたどった。

 2022年11月、松山地裁であった初公判。被告(50)は髪を後ろで束ね、黒のスーツ姿で法廷に現れた。母(当時74)に対する傷害致死罪の起訴内容が読み上げられると、「まちがいありません」と述べた。

     ◇

 起訴状や双方の冒頭陳述などによると、被告は3人姉妹の次女。シングルマザーの母に育てられた。高校を卒業後に就職し、20代で結婚と離婚を経験した。その後、介護福祉士ケアマネジャーの資格を取り、病院や介護施設を運営する団体で働いた。08年ごろ、実家に戻り、母と2人で暮らすようになった。

 22年2月、職場で配置換えの話が出た。不安な気持ちがおさまらなくなり、3月1日から休職した。その直後、母が自宅で転倒し、右肩を骨折。家事全般に加え、母の食事や着替え、入浴などの介助まで一手に担うことになった。

無銭飲食が発覚したタイミング

 同月中旬ごろになると、母の…

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きょうも傍聴席にいます。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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