「上から目線で威圧的」 女性支援団体、自民視察に憤り

 自民党の国会議員らが10代女性の支援団体を視察した際の振る舞いに批判が広がっている。団体側は新型コロナウイルスの感染拡大で深刻化する貧困や性搾取の問題を知ってもらいたいと受け入れたものの、議員側は多数で来訪して密集状態をつくり、大声を出したり、許可なく写真を撮ってSNSにアップしたりした。団体側は「暴力に苦しむ女性を救う場に暴力が持ち込まれた」と強く反発している。

 馳浩元文部科学相が会長を務める「自民党ハウジングファースト勉強会」が22日に視察したのは、一般社団法人「Colabo」が東京・新宿で運営するバスカフェ。無料で食事や衣服を提供し、10代女性の居場所作りをしている。

 Colaboによると、前日に阿部俊子・衆院議員から視察の申し入れがあり、「5人までなら受け入れ可能」と伝えた。ところが議員側は秘書や新宿区議も含めて約15人がやって来たという。

 馳議員らはカフェの設営に参加。性被害のトラウマから男性に恐怖感がある女性が働くなか、大声で秘書を呼ぶなどした。作業を続けられなくなった女性もいたという。さらに、虐待から逃れて居場所を知られてはいけない女性もいるにもかかわらず、許可を得ずに写真を撮り、「ボランティア第一弾」「10代少女の寄り添い支援に参加」とツイッターなどで発信した。

 馳議員が「女の子だから」とテントなど重い荷物は女性に渡さず、若手議員らに運ばせる場面もあったといい、Colaboの仁藤夢乃代表は「当事者運動であることを重視し、普段はみんなで作業を分担している。女性は力ない存在で守ってやろうという上から目線を感じた。威圧的な態度がなぜ問題なのか考え、反省して欲しい」と話す。

「謝罪と言えない」 ツイッターでも批判

 Colaboは24日、こうした問題に加え、少女の腰を馳議員が両手で触ったとして抗議文を公表。馳議員は25日、公式ホームページで「不愉快な思いをさせた事となり、おわびします」とする一方、セクハラの訴えには「狭い空間で行き来しており、腰に手を当てたかどうかは、全く意識に残っていない。事実なら大変申し訳ない」とコメント。ただColaboに連絡はなく、ツイッターなどでは「謝罪といえない」と批判を受けている。朝日新聞は馳議員の事務所に取材を申し入れたが、27日夕までに回答はなかった。

 大妻女子大の田中東子教授(ジェンダー論)は「議員側は仁藤さんらがどうして怒っているのか、まだ理解していないのではないか。困っている人に寄り添う政策を作るための視察で踏みつけるのは問題だ」と話す。(江戸川夏樹)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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