「偉そうな親切」しないためには? 辻仁成が坊主になって答えます 「」(withnews)

今日の駆け込み「学校で仮面をかぶって生きている」

猫の百地三太夫と朝ごはんを食べ、境内に出てみると、女の子が竹ぼうきをつかみ掃除をしておった。
ものすごい集中力で、ザクザクと地面を掃いておる。
みゃあ、と三太夫が鳴いた。
ふむ、たしかに。前に一度ここに来たことのある子じゃろうか?
でも、見覚えのない子じゃ。
三太夫が走り出し、少女の足元にまとわりついた。
少女は竹ぼうきを下ろし、あ、おはようございます、と近づくわしを振り返りお辞儀をした。
中学二年になったばかりの斎藤楠子君の相談は長かった。
わしらは、つまり二人と一匹は濡れ縁に並んで腰かけて話し込むことになる。

「中学入ってすぐの頃に、自分より成績の低い友達に、なんていうのでしょう、今思えば余計なお世話だったんですけど『もっと頑張らないとね。絶対大丈夫』って励ましたことがあったんです。でも、その誠意が彼女には嫌味とか自慢に映ったみたいで、逆に疎まれてしまって。その後暫くの間、遊びに誘ってもらえなくなって……。仲間外れっていう程じゃないんだけど、あんたとわたしは住む世界が違うんだよね、みたいな空気の壁がそびえてしまって。だから、その後はもう何も言わなく、いえ、言えなくなりました。その時の苦い経験から、いろんな場面で『こういう時にはこういった方がうまくいく』と考えて行動をするようになるのです。なんか、学校で『仮面』をかぶって生きてる気がしてなりません。その子のためをと思って、励ましただけなのに、そういうことも普通に言い合えないのだな、と思ったら、しんどいし、めっちゃ空しいんです。学校における人間関係に疲れ切っています。逆に、家に帰ると楽なんですよ。周りに誰もいないから、素の自分でいられるし。でも、学校ではそうはいかない。友達関係を円滑にするための『仮面』はしょうがないとしても、ずっとかぶり続けて嘘の自分を見せ続けないとならない学校に何の意味を見出せばいいのかわからなくなってきました。仮面を脱いで、また言いたいことの言える自分を取り戻したい。でも、そうすると、これまでの関係が崩れてしまうのではないかと怖くなります。あの、辻坊主、私、どうしたらいいのでしょう?」


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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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