「励みになった」住職が描く繁華街のチョークアート、感謝の声(西日本新聞)

 青い海を幻想的に泳ぐイルカ、小さな命を輝かせる花やチョウ―。福岡県久留米市の飲み屋街「日吉村」と、同県春日市の西鉄春日原駅近くの飲食店敷地には、チョークで描いた美しい絵が日々、ほぼ途切れることなく描かれている。作者は久留米市の住職サトルさん(39)。「見た人の心が救われれば」。5年前から続けるチョークアートに「励みになりました」と感謝の声が届く。

【動画】住職が描くチョークアート

 「もう消えたかな」。今月初旬のある夜、日吉村の一角にサトルさんが現れた。スマートフォンに表示した写真は参考程度にしか見ずに、ほとんど想像でコンクリートにチョークを走らせる。約1時間で縦80センチ、横1メートルほどの初日の出の絶景を仕上げた。「チョークはずっと残らないからいい。見た人の心に残したい」「誰が描いてるのかずっと気になってました」。出くわした酔客が感激する。

 サトルさんの実家は36代続く寺院。ファッションの専門学校に進んだ後、20歳で仏門に入り寺を継いだ。

 中学の頃から絵を描き始めた。繁華街で似顔絵を描いたりしていた5年前、久留米市内のイベントでチョークアートに出合った。路上に描くようになると、通行人に「癒やされる」と声を掛けられうれしかった。

 使うのは10色のチョークと20色のパステル。題材は自然や動物が多い。絵の脇に添えたろうそくのイラストがサイン代わり。「命を削って描いている」という意味を込めた。

 許可を得ているいつもの2カ所以外にも、幼稚園の前にクリスマスツリー、受験シーズンには学習塾の前にメッセージを残したことがある。それらを含む絵を見た人からはネットを通じて感謝のメッセージが届く。

 「毎日学校に行くのがしんどい。でも絵を見つけた日はなんだか助けられたような気分」「3年前くらいに初めて見てから道を通るたび元気をもらって、つらい実習も頑張れた」
 サトルさんは語る。「仏教の役割は人の苦しみを和らげること。絵を描くこともそれに通じるところがあるのかも」 (平峰麻由)

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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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