「半ばあきらめていた事案」の捜査も サイバー捜査、国際連携進む

 昨年4月に警察庁にサイバー警察局とサイバー特別捜査隊が発足してから1年が経った。その効果や課題について、河原淳平サイバー警察局長(59)に聞いた。

 ――新たな組織の発足から1年です。この間の取り組み状況、成果などを自らどう評価していますか。

 「サイバー警察局の設置によって、捜査の指揮、解析、情報の集約・分析、効果的な対外発信といった業務が一元化され、サイクルとして回り始めています。従来は各部署でバラバラだった人的、物的な基盤が整備され、効果的な運用が可能になりました。全体として成果が上がっています」

 ――情報の集約と分析の点は具体的にどう変化していますか。

 「従来は、金銭目的のサイバー犯罪は生活安全部門、国の機密情報や企業の先端技術、知的財産の情報などを盗むようなサイバー攻撃は警備部門が担当していました。しかし、最近は攻撃側のサイバー犯罪集団や国家が巧みに連携し活動する構図があるため、情報の集約は重要です。

 例えば、警察庁は昨年10月、北朝鮮当局の傘下とみられるサイバー攻撃集団「ラザルス」が日本の暗号資産関連事業者を標的にした攻撃をしている可能性が高い、とパブリック・アトリビューション(摘発に至らなくても攻撃者や背後の国家などを名指しで非難すること)を行いました。これは生安部門の捜査で得られた情報に警備部門が持つ情報などを加味して、実態を解明した結果です」

 ――国際連携の面はどう変わっていますか。

 「事件についての情報交換は…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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