「大川小遺族」とくくらないで 26歳、報道への違和感

 永沼悠斗さん(26)は、自らの母校で、東日本大震災で84人の児童・教員が犠牲・行方不明になった石巻市の大川小や生まれ育った地域について、語り部活動をしている。何度も取材を受ける中で、疑問に感じてきた。メディアはどうしていつも「大川小の」「遺族の」永沼くんと、とりあげるのだろうか――。

野球部主将なのに、野球のことは聞かれなかった

 違和感は高校生の時にさかのぼる。野球部の主将としてインタビューされた。チームや試合のことを話したかったのに、野球のことはほぼ聞かれなかった。大川小の卒業生であること、同校に通う弟を津波で亡くしたことを聞かれ、そればかりを書かれた。

 野球の時、大川小や弟のことは頭にない。チームをどうよくし、どう勝つかだけを考えているのに。「何かを成し遂げる背景には、家族を亡くした経験があるという方が描きやすいんでしょう」

 2016年、大川小の校舎の保存を巡る公聴会で発言したのをきっかけに、継続的に取材を受けるようになった。震災の伝承活動に携わる中でも、多くの記者に会った。

 被災地の記事は「V字回復」の…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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