「奪われにくい拳銃入れ」への更新前 被害巡査は従来型

 交番などで警察官が襲撃される事件は後を絶たない。拳銃のグリップ底部に結んだ伸縮性のつりひもを切断するなどして、拳銃を強奪するケースも多かった。警察庁によると、地域警察官が襲われて拳銃を奪われた事件は2013年以降、今回を除き8件発生。各地で再発防止対策が進む中、また事件が起きた。

 富山市では18年6月、男が交番の警察官を刃物で刺殺。奪った拳銃を小学校付近で発砲し、男性を射殺、校舎内にも撃ち込んだ。今年1月にも駐在所で男が警察官をハンマーで殴るなどし、男は拳銃を奪うつもりだったと供述。横浜市でも今年4月、男が警察官から拳銃を奪って発砲した。

 こうした事件を受け、警察庁は、拳銃が奪われにくい構造に改良した新型の拳銃入れを導入。材質を革製から樹脂製に変更し、装着している警察官以外の人間が拳銃を拳銃入れから抜き取りにくい構造にするなどしたという。18年度に計6千個を富山県警や警視庁、大阪府警などの地域警察官に配備し、19年度は全国でさらに約3万個を配備していく計画だ。

 大阪府警では今年5月末までに、新型の拳銃入れ1千数百個を配備。ただ、すべての交番勤務員には行き渡っておらず、襲われた古瀬鈴之佑巡査の拳銃入れも従来型だったという。

 警察庁は、映像を使って行う射撃訓練に刃物による襲撃の想定を加えたり、襲撃時の対処方法の訓練を強化したりもしてきた。ある警察幹部は「地域警察官は市民に一番近い存在でなければならず、対策は難しい」とした上で、「今回の被害の詳しい状況を把握し、さらに取れる対策がないか検討する」と話す。


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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