「女として扱われたいなら手術を」 SOGIハラ認定、録音が決め手

 性自認や性的指向について侮辱される「SOGI(ソジ)ハラ」を職場で受けたことでうつ病を発症したとして、神奈川県にある大手メーカーの40代社員が労災認定されたことが分かった。社員が10日、東京都内で開いた記者会見での主なやりとりは以下の通り。

 「今回、労災申請をでき、しかも認定をとれた大きな要因は、やっぱり証拠をとっていたことが大きいのかなと思います。具体的にいうと録音をしていたということです。ハラスメントをされそうなことは、働いていると、だいたいわかるというか、この上司からまた変なことを言われるんだろうなと、きっと被害を受ける労働者は何となく気づいている。苦しんでいる人は気づいていると思います。常にというのは難しいかもしれませんが、証拠をとって、泣き寝入りせずに闘っていってもらいたいです」

 「女として扱われたいなら手術でも何でもすればいいじゃないかと、加害者の上司からも言われましたし、SNSなどでも性別を変更すればいいじゃないかという人もいますが、日本の性別変更のハードルの高さを知らなさすぎるんだなと感じています」

 「性的マイノリティーの方などに対する見方、世間の風当たりとかは、徐々にではあるが、よくはなってはいると思います。いわゆるパワハラ防止法とか、改正もされ、それが大企業だけでなく中小企業にも適用される状況になっています。これからも一労働者、一市民として、声を上げ続けていかないといけないと思っています」

 ――労災認定され、社会に伝えたいことをもう少し詳しく教えて下さい。

 「LGBTの当事者の方に、職場で進んでカミングアウトしろとか言っているわけではもちろんありません。カミングアウトしていようがしていまいが、いろんな立場の方がいると思いますが、どんな立場であってもハラスメントにあわないような職場をつくっていく必要があると思います。そのためには職場、社会全体の理解は当然重要ですし、もとづくのは法律だと思います。だから、あきらめずに政治に積極的にかかわっていってほしいし、あきらめずに日々の生活を営んでほしいし、もしハラスメントにあったら、自分の心と体が傷つかない程度に、泣き寝入りせずにある程度はがんばって闘っていただけたらと思います。そのためのバックアップとして、労働組合や労働弁護団、いろんな支援団体があります。スマホとかで情報を得られる時代なので、がんばれる範囲で動いていってもらえたらというのが、経験をふまえた願い、伝えたいことです」

カミングアウトのきっかけは異動

 ――会社に性自認を伝えたそうですが、いつのことですか。

 「2017年11月ごろです…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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