「存在否定されたよう」 また時短、札幌の飲食店はいま

 札幌市内での新型コロナウイルスの感染急増を受けた、北海道から市内全域の飲食店に対する営業時間の短縮要請が27日始まった。5月11日まで約2週間続く。札幌市内では昨秋から約4カ月間、ススキノ地区を中心に断続的に飲食店への時短や休業要請が行われ、再び営業が制限される。今回は学校への部活の休止要請なども加わり、1年以上続くコロナ禍に人々は疲労を隠せない。

拡大する5月11日までの休業を知らせる飲食店=2021年4月27日午後7時24分、札幌市中央区、伊沢健司撮影

 「店を開けているのがいいのか、閉めているのがいいのか分からない」

 札幌・ススキノの焼き肉店「焼肉 上を向いて歩こう。」の店主の神田隆さんは話す。今回、道の要請に従って酒類の提供を午後8時まで、店の営業を9時までに短縮する。本来の営業時間は平日が午後11時まで、週末は午前1時まで。時短初日の27日は予約のキャンセルが相次いだ。

 ススキノ地区をはじめとする市内の飲食店はコロナ禍で昨年4月以降、度重なる時短要請が出されてきた。「第3波」が押し寄せた11月上旬からは期間が5回延長され、2月末まで続いた。神田さんの焼き肉店も時短のたびに売り上げがコロナ禍前から半減した。

 要請とセットの支援金は今回、会社の規模や売り上げに応じて1日あたり2万5千~20万円が出されるが、売り上げ減を補える水準ではない。

 ススキノにある焼酎バーでは、コロナ禍前の売り上げは月60万円ほどだったが、今は10万~15万円。経営者の女性は、毎月15万円ほどの家賃を払い、焼酎と、手料理のための食材の仕入れは欠かさない。支援金などの行政からのお金では足りず、貯金を切り崩す日々だ。

 感染対策として昨年5月から客席を15席から10席に減らし消毒液を何カ所にも置く。しかし週6日の営業日のうち4日連続で来店者ゼロだったこともあった。

 再三の時短要請に、女性は「もう、ずっとこんな状態。バーがにぎわうのは二次会の時間の午後9時から。店と私の存在を否定されているみたい」。

 かつて国内外の観光客らで行…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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