「安全」と「早さ」が特長 日本で開発「DNAワクチン」近く日本初の治験 来春実用化目指す(スポーツ報知)

 新型コロナウイルスは緊急事態宣言が解除されたが、27日には東京都の感染者が解除後最多の57人報告され、予断を許さない。第2波の恐れもある中、収束のカギを握るワクチンの開発は、世界中で進められている。日本の“日の丸ワクチン”でトップを走る「DNAワクチン」開発の中心者で、大阪大大学院寄付講座教授の森下竜一氏に、特長や今後の見通しを聞いた。(竹内 竜也)  大阪大発の製薬ベンチャー「アンジェス」(大阪府茨木市)は、同大学とDNAワクチンを共同開発中で、近く国内初の人に投与する臨床試験(治験)を、30人程度の規模で開始する。  DNAワクチンの主な特長は「安全」と「早さ」だ。アンジェスの創業者でもある森下氏は「ウイルスの遺伝情報しか使わないので、非常に安全。通常のワクチンはウイルスを弱毒化したり、不活化と言って活力をなくして使うが、ウイルスそのものが入るという危険性がある」と、安全性に自信を見せる。  危険な病原体を使用せず、対象となる病原体と同じ配列のタンパク質をつけた無害な環状DNA(プラスミド)を接種。体内で細胞が病原体のタンパク質に対する抗体を作る仕組みだ。  プラスミドについては、「大腸菌で増やすので、ビール工場のタンクのようなものがあれば大量生産できる。通常のワクチンは鶏の卵を使うが、有精卵で作るので、すぐに増やすことができない」。インフルエンザワクチンにも使われる鶏卵法は供給まで5~8か月。弱毒化したウイルスが卵で増殖する速度に左右され、鶏卵不足などにも影響される。DNAワクチンならウイルス自体の取り扱いがなく、プラスミドは大腸菌を使い数日で大量培養できるため、供給まで6~8週という。  3月に開発を始め、動物実験で抗体価の上昇を確認。大阪府の吉村洋文知事は、今月30日からの治験開始を目標としていた。DNAワクチンで初めて人に対して実用化され、国民全員が接種できるようになるのはいつか?  「いつ、と言うのは難しい。今は順調に進展しており、秋に400人程度の大規模な治験を計画している。製造も年内で20万人分はできるようにして、来年春の実用化を目指している。しかし、まずは100万人分くらいで、全員というわけにはいかないと思う」 日本のために 世界でワクチン開発が進む中、日本にとって“日の丸ワクチン”ができるメリットがある。  「例えば米国で開発されれば米国人が優先となるだろう。日本に入ってくるのは時間がかかるし高額かもしれない。日本で自国のためにワクチンが開発されるということが重要だと思う」  ◆日本で開発中のその他の主なワクチン  ▽塩野義製薬 来年秋にも組み換えタンパクワクチンの発売を目指す。年内に治験を始める方向。  ▽第一三共 RNAワクチンで、来年3月ごろの治験開始を目指す。  ▽KMバイオロジクス 不活化ワクチンの治験を来春以降に始める計画。  ▽IDファーマ ウイルスベクターワクチンの治験を最短で9月から開始する意向。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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