「後ろを向いたら誰もついてきてなかった。若い世代の変化が心強い」上野千鶴子×田房永子、フェミニズムの現在地を語る(ハフポスト日本版)

「私たちは走ってきたのに、後ろを向いたら誰もついてきてなかった」

「今は怒りを表明する女の子たちが、すごく増えてきている。若い世代がそういう風に変化してきているのは心強いです」

女性学・ジェンダー研究パイオニアで東京大学名誉教授の上野千鶴子さんは、日本のフェミニズムの現在地をそう表現する。母娘関係、労働、恋愛、育児、医大入試における女性差別。すべての根底にはミソジニー(女性嫌悪)がある。

新刊『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』は、タイトル通り『母がしんどい』の漫画家・田房永子さんが、上野千鶴子さんにフェミニズムをゼロから教えてもらう対談集だ。

出版記念トークショー直前の控室で、本書が誕生した背景や世代に見る日本のフェミニズムについて、ふたりに話を聞いた。

上野千鶴子(うえの・ちづこ)

1948年富山県生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で、40年間、教育と研究に従事。著書に『家父長制と資本制』(岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『女ぎらい』(朝日文庫)、『ケアの社会学』(太田出版)など多数。

田房永子(たぶさ・えいこ)

1978年東京都生まれ。漫画家、ライター。母からの過干渉に悩み、その確執と葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)がベストセラーに。主な著書に『ママだって、人間』(河出書房新社)、『キレる私をやめたい~夫をグーで殴る妻をやめるまで~』(竹書房)、『「男の子の育て方」を真剣に考えてたら夫とのセックスが週3回になりました』(大和書房)など。

振り向いたら、誰もついてきていなかった

――『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』は、どのような背景から誕生した対談集なのでしょうか。

田房:以前は「ちゃんと勉強した人じゃないと、フェミニズムについては話しちゃいけないのかな」という抵抗感のようなものがあったんです。自分だけではなく社会全体がそういう感じだったと思います。

私が高校生だった1995年頃は、「フェミニズム」なんて言葉、日常で誰も使ってなかったですし。

でも2017年頃から、そういった感覚がグッと薄れてきた。#MeTooや東京医大の不正入試事件のようなことが続くなかで、フェミニズムって誰でも普通に考えること、そんなに特別なものではないということを多くの人が共有し始めたと思います。

そんなときに上野先生による2019年4月の東大入学式の祝辞を聞いて、世の中がすごくざわざわしましたよね。

「フェミニズム」という言葉が、ワイドショーのパネルに登場したり、日常のシーンに現れるようになりました。そこで「よくわからないけれど知らないとまずいようだ」と感じている人に向けた本を作ろう、という話になりました。


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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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