「感染者宅に投石」デマ拡散 知事も発信した未確認情報

 新型コロナウイルスの第3波が拡大していた今年1月。宇都宮市にある呼吸器内科の医院の敷地に、3枚のビラが貼られていた。

 「コロナが拡大したのは(院長が)TVに出たため。責任とって下さい」

 黒いペンでの殴り書き。朝、出勤してビラを見つけた倉持仁院長(48)は「なんでこんなことをするのか」と思った。

 コロナ禍で医者としての責務を果たそうと、テレビに300回以上出演し、コロナ対策を発信してきた。

 ビラを貼った女性は2月に逮捕され、威力業務妨害罪で略式命令を受けた。捜査関係者によると、女性は60代で独り暮らしだった。

 後日、倉持さんのもとに女性の兄が謝罪に訪れた。「母親が別の病院に入院しており、妹は面会制限などでコロナに対する不安が増しすぎてしまい、紙を貼ったようだ」と説明された。女性からは「自分のことだけしか見えていない、軽率な行動だった」などとつづった謝罪文が届いた。

 コロナへの不安が妄信を生んだのか。記者は女性にも会った。「本当に反省しております」とだけ繰り返した。

臨時会見で知事は…

 昨年4月20日。三重県の鈴木英敬知事は臨時の会見を開いた。

 「患者やご家族のご自宅などに石が投げ込まれ、ガラスが破られたり、壁に落書きをされたり。実際にそういう心ない、人を傷つける状況が起こっています」。県民向けメッセージとして差別・中傷行動の発生を伝え、「事実に基づく冷静な対応」を呼びかけた。

 県などによると、保健所にこの2日前、「明和町の住宅に投石や落書きなどの嫌がらせが行われ、感染者や家族が悩んでいる」という情報が電話で寄せられていた。4月9日に町内で初めて感染が確認された男性の「関係者」からだった。

ある町で最初に感染が確認された患者をめぐって流れた一つの「デマ」。県も情報を信じ、臨時会見では知事までも…。なぜデマは広がるのか、記事後半でお伝えします。

 記者は今年4月、明和町に向…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment