「早く決断を」「21年を望む」延期検討、戸惑う関係者

 開幕まで4カ月、東京五輪の延期が本格的に検討されることになった。聖火リレーも当初の形では実施されない方向に。観戦チケットはどうなるのか、ボランティアや聖火ランナーは――。開幕に向けて準備してきた関係者らの間に、戸惑いや複雑な思いが広がっている。

 「新型コロナウイルスは人類が向き合うべき難敵。開催時期を考えていくことは妥当だと思う」。レスリングなどの観戦チケットを持っている東京都内のIT会社経営、石川恭子さん(50)は、国際オリンピック委員会(IOC)が開催延期を検討し始めたことについてそう話す。

 「オリンピックおじさん」として知られた故山田直稔さんとともに、1992年バルセロナ大会から夏季五輪を現地で観戦。東京大会も会場で応援するのを心待ちにしてきた。延期された場合、いまのチケットが使えるのかはっきりしないが、「開催はできるように、知恵を出し合って乗り越えてほしい」と語る。

 一方で、熊本県の女子大生(22)は「延期になったら、『また!?』という感じ」と困惑する。もともと都内で開催される予定だった男子マラソンの観戦チケットを購入していたが、暑さ対策で会場が札幌市に移転。札幌で観戦するために航空券とホテルを取り直し、友人の分と合わせて20万円近く支出していた。開催が再び不透明になり「日本代表の顔ぶれも決まって、すっごい楽しみにしていたのに。チケットの販売時期が早すぎたんじゃないでしょうか」とこぼす。

 大会では運営を支えるため、約8万人がボランティアとして参加する予定だ。

 横浜市の会社員で、ろう者の小林早苗さん(51)は今月上旬、選手村での活動になると持ち場の連絡を受けたばかり。「どんな仕事なのか楽しみにしていた。延期になっても意欲は変わらないし、目標があれば頑張り続けられる」

 埼玉県の須川澄江さん(69)は、パラリンピックのボランティアに参加する予定。「感染が広がっているので延期は仕方ないが、みんな家庭の事情があるし、早く決めてほしい」。大会が終わったら自宅を建てる予定で、建築会社の担当者から「いつ工事を始めていいのか」とせかされているが、答えられずに困っているという。

 SNSでは外国人のボランティア参加予定者が「みんなの健康のため、頼むから延期して」「2021年の五輪を望む」といったコメントを書き込んでいる。大会組織委員会でボランティアのあり方を検討してきた笹川スポーツ財団特別研究員の西川千春さん(59)によると、欧米では外出禁止令も出ており、ボランティアも自分たちが危機に直面していると実感しているという。IOCは4週間以内に結論を出す方針だが、西川さんは「社会的な責任としてもっと早く延期を決断し、仕切り直してほしい」と指摘する。

■「延期になったら聖火…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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