「時代に敏感、感情任せでない犯行」 安倍氏銃撃、容疑者の投稿分析

【動画】山上徹也容疑者のツイッターを分析

 安倍晋三元首相が銃撃された事件で、山上徹也容疑者(42)=殺人容疑で送検=は、ツイッターに大量の投稿を残していた。事件から8日で半年。東洋大教授で、犯罪心理学が専門の桐生正幸氏(62)に内容を分析してもらった。

 ――山上容疑者は、2019年10月の初投稿以来、昨年6月末までに1363件のツイートをしていました。

 「ご覧いただいている図は、出現する頻度が多い単語ほど、大きく表示されるようになっています。

 単純な恨みつらみを書き連ねているというよりは、社会情勢や様々な問題について考えている印象です。

 19年は、映画「ジョーカー」や女性問題に絡めるなどした「インセル」(不本意な独身者、いわゆる「非モテ」)についての書き込みが多い。

 20年は、性被害を訴えた伊藤詩織さんらがニュースになり、「(伊藤さんが)叩(たた)かれるのは政治的理由」とツイートしている。安倍政権で議論されていた集団的自衛権の行使に対しても、「集団的自衛権は支持するが、(中略)手続きを飛ばすのは傲慢(ごうまん)であり怠慢」などと意見を述べている。

 21年は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への度重なる批判、眞子さまの結婚騒動に絡めて「婚姻の自由」への言及、過去のNHK大河ドラマで登場した戦国武将明智光秀の「語り尽くせぬ恨みあれども、此度(こたび)の戦決して私心にあらず。天下国家のため織田信長の首を取ることこそ天の道」といったセリフをいくつも引用して投稿している。世の中を変えていく、といったところに注目していることがうかがわれます。

「どのような結果をもたらすか意識した犯行」

 22年はロシアによるウクライナ侵攻の問題にも言及しています。「米中冷戦やウクライナ戦争を見ても安保法案は立憲主義の破壊で安倍はヒトラーなのだろうか」

 これらの投稿を見ると、単に妄想や感情にまかせて犯行に及んだものとは考えにくい。国や政治、世界に対して興味関心もあり、自分の意見を述べることができる人、時代の情勢に敏感で、問題意識が高い人ではないかと思われます」

 ――犯行の動機につながるような内容もあるのでしょうか。

 「ツイートの中に旧統一教会、安倍さんのワードが出てくる。事件直前に知人に宛てた手紙の内容を踏まえて推論すれば、安倍元首相を狙うことが、どのような結果をもたらすか意識して、本人なりに計画を立て犯行に及んだことが読みとれるのではないか。これらの文章に、論理が大きく破綻(はたん)したところも見られない。当然、犯行を実行した認知は偏り、ゆがんでいるわけですが、本人なりの一貫性は保てていると言えるんじゃないでしょうか」

――旧統一教会の問題。事件後に関心が高まり、被害者の救済新法が成立し、宗教法人格を取り消すかどうかの議論も活発になっています。山上容疑者は、どこまで予想していたのでしょうか。

 「現在、日本社会では隠され…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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