「最後になるね」正装で臨んだ被爆修道士、語った「罪」

 長崎原爆語り部として知られたカトリック修道士の小崎登明(おざきとうめい)さんが今年4月、93歳で世を去った。1人の女性が臨終までの半年間に付き添い、被爆体験を学んだ。9日は76回目の長崎原爆忌。

 「授業が終わる1分前に滑り込んだみたい」

 横山理子(みちこ)さん(47)は小崎さんとの時間をそう振り返る。昨年4月に東京から爆心地近くに引っ越し、語り部をサポートする長崎平和推進協会で働き始めた。30歳の時から10年余り、アフリカで紛争後の復興・開発支援に携わった。今度は被爆地で平和を考えようと飛び込んだ。

 修道名のトマスにちなんで「トマさん」の愛称で親しまれ、編集者としても活躍した小崎さんのことは、着任前から知っていた。原爆で孤児となり、修道院の門をたたくまでの経緯をつづった著作は数年前に読み、涙が止まらなかった。

 長崎の暮らしに慣れてきた昨年11月、電車に揺られて小崎さんが住む隣まちの高齢者施設を訪ねた。「体験を語り継がせてもらえませんか」。横山さんは頼んだ。協会は被爆体験を第三者が受け継ぐ「交流証言者」を育てているが、施設に入居した小崎さんには、交流証言者がいなかった。

 小崎さんからは逆にこう言わ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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