「生い立ちのシャワー」浴びていない子にできること 空白が苦しめる

 さまざまな事情で生みの親と暮らせない子どもと、親になりたい夫婦が法的な親子となり、実の子と同じように家庭で育てる特別養子縁組。国が「年間1千件以上」の目標をかかげ、普及促進に力を入れる一方で、課題も指摘されている。特別養子縁組に詳しく、厚生労働省の研究班代表も務めた林浩康・日本女子大教授(社会福祉学)に話を聴いた。

 特別養子縁組は、安心して暮らせる家庭を子どもに永続的に保障する、とても重要な制度だ。制度ができて30年以上経ち、成人した当事者が声をあげるようになって、さまざまな課題が浮き彫りになっている。

 課題のひとつは縁組後の支援が乏しいこと。児童福祉法の改正で縁組後の支援は都道府県業務として位置づけられたが、事前研修と違って努力義務でしかなく、養親の主体性にゆだねる形は変わっていない。多くの児童相談所は「なにかあったら相談して」という「待ちの姿勢」になっている。一般家庭と同じ対応だ。

 特別養子縁組の家庭は、真実告知やルーツ探しなど、一般家庭にはない課題をたくさん抱えている。問題のある養親ほど家庭にこもり、適切な告知をせず、子どもを所有物のようにとらえて傷つけてしまう傾向がある。縁組後も積極的に手を伸ばして支援する「アウトリーチ」をしていく必要がある。養親へのサポートだけでなく、学童期から思春期の養子と直接つながることのできる支援も重要だ。

生い立ちを知ることが「生きる土台」に

 幼少期からの真実告知の重要…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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