「生きててくれ」土砂をかき分けた同級生、4年後にたどり着いた場所

 35度近い暑さが続くなか、SNSの呼びかけで集まった同級生ら100人以上が土砂をかき分けて友を捜した。「絶対に見つける」。1週間後、18歳の植木将太朗さんが自宅近くの土砂の中で見つかった。あれから4年――。

 「ちょっと早めに来たわ」。6月中旬、仕事の合間を縫って訪れた小川綾太さん(21)はそっと花束を置いた。

 2018年7月6日、西日本豪雨の濁流に家々がのまれた広島市安芸区の梅河(うめごう)団地。いまも植木さんの自宅跡には当時の車庫が残されている。陽気な笑みを浮かべる祭壇の写真は、亡くなる3カ月前に小川さんが撮ったものだ。

 小学校からの同級生で、市立広島工業高校では同じテニス部だった。「誰にでもしゃべりかけるお調子者。よく一緒に怒られたんすよ」。でも、試合では誰よりも声をかけくれた。「あいつがおるときは心強かった」

 あの日は期末テストの最終日だった。前日からの大雨で部活は中止に。「明日もオフになりそうじゃけえ、よかった」

 冗談を言い合って別れたその夜、近くで土砂崩れが起き、家の手前まで流れ込んできた。

 「うそじゃろ」

あの夏、祈るような気持ちで土砂をかき分けた同級生たち。その中の1人は葛藤しながら高校野球の開会式で選手宣誓しました。「どんな状況も克服し、それを乗り越えて挑戦します。それが野球だから」。彼らはいま――

手にしたシャベル「どうにか見つけるから」

 あいつが見つかっていない―…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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