「町の自慢」の駐在さん、制服を脱ぐ 住民のために駆け回った32年

 〈佐和英樹さん定年退職祝いの会のご案内〉

 神奈川県横須賀市吉倉町にある掲示板に、送別会を知らせる紙が貼られていた。「佐和さんは私たちの自慢。32年間、住民のため、駆け回ってくれた」。会を企画した町内会長の言葉に、3月いっぱいで制服を脱ぐ「駐在さん」は照れたように帽子を直した。

 吉倉町駐在所に勤務する県警の警部補、佐和英樹さん(60)。福岡県出身で、大学卒業後に食品関係の民間企業に就職し、横浜市にある営業所で勤務を始めた。担当したエリアは横須賀市。仕事に精を出す日々だったが、福岡県警に勤める友人の話を聞き、「人の役に立ち、誇りの持てる仕事がしたい」と思い、そのまま神奈川県警で任官した。

 配属されたのは、かつて仕事で担当をしていた横須賀市。交番勤務を1年半ほど経験し、「駐在に入らないか」と上司から言われたのが27歳の時のことだ。

休日も対応、戸惑いの毎日

 住居も兼ね、原則は警察官が1人で勤務する駐在所の仕事。「経験の浅い自分に務まるだろうか」という不安もあったが、1991年3月、横須賀市の吉倉町と安針台を管轄する吉倉町駐在所で生活を始めた。

 配属されたばかりの頃は、戸…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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