「皇族への敬意の表し方、行政に裁量」 貴賓車訴訟で山口県が控訴

 山口県が「貴賓車」として高級車センチュリーを購入したのは「財務会計上の違法行為」とした山口地裁判決に対して、山口県は15日、「全面的に不服」として広島高裁に控訴した。

 県は2020年4月、皇族や外国の大使らが乗る「貴賓車」としてトヨタのセンチュリーを購入。元県職員の松林俊治さん(75)が21年2月、「違法な支出で県財政への損害」と提訴した。

 今月2日の判決は購入が違法行為だったとして、村岡嗣政知事が購入額2090万円の損害賠償責任を負うと認めた。

 県物品管理課によると、購入したセンチュリーの「貴賓車」としての利用は6日間で、皇族の利用は2日間。主に県議会議長の送迎に使っているという。

 県側の弁護士は15日、「県の主張全てについて、裁判所の評価は納得いくものではない」と報道陣に述べ、全面的に争う構えを示した。

 他の車種が考慮されず「検討が不十分」と指摘し、センチュリーの購入を「裁量権の逸脱、乱用」とした判決について、「どのように皇族に敬意を表するか、行政の裁量がある」と述べ、反論した。

 海外出張中の村岡知事はこの日、「県側の主張が全く受け入れられていない。今後控訴審において、しっかりと主張していきたい」とのコメントを出した。

 判決後の9日の定例記者会見で村岡知事が「(購入に至る県の検討について)対応が良かったかと言われれば、良くなかったと思う。反省すべきところは反省する」と話したことについて、県側の弁護士はこの日、「あくまで行政の長としてのコメントで、司法の争いと関係のない発言」と説明した。

 県の控訴について、原告の松林さんは「知事に判決を肝に銘じてほしかったが、受け止められたと思えない。おかしいことはおかしいと言い続ける」と話した。(前田健汰、太田原奈都乃)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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