「神経質」で注意深い性格でも陥ったワナ 一瞬で奪われた1千万円

 1千万円をだまし取られた千葉県北部に住む50代の男性は、力なく笑った。「墓参りに行こうと思ったけど、さすがに行けないですよ。何を言えばいいんだろうって」。亡くなった母親から、死亡保険金として相続したお金だった。

 7月中旬の金曜日。床屋に行った後、自宅に戻ってパソコンを開くと1通のメールが届いていた。

 《重要:【A銀行】お取引目的等の確認のお願い》

 本文を読むと、「直近の取引について、いくつかの質問がございます。下記のリンクをアクセスし、ご回答ください」とあった。

 他の銀行からネット銀行のA銀行の口座に1千万円を移したばかりだった。「だから(連絡が)来たのかな」。疑問は抱かなかった。

 指定されたリンクをクリックすると、A銀行のいつもと同じログイン画面が表示された。パスワードを入力し、アンケートに答えた。そのまま、1回ごとに使い捨てる「ワンタイムパスワード」も打ち込んだ。

 約20分後、新たなメールが届いた。

 「いつもA銀行をご利用いただき、ありがとうございます。下記のお振り込みを受け付けいたしました」

 そこには、1千万円の振り込みを受け付けたと書かれていた。「何をやっているんだ」。1通目はA銀行をかたったフィッシングメールだったと気がついた。2通目は本物のA銀行からで、自分の口座から1千万円が消えたことを意味していた。

「被害者ではない」

 急いでA銀行に電話をしたが…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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