「私が『駐在さん』になった訳」 新人記者が取材した島と山の駐在所

 住みやすい街と評価される福岡市に暮らし始めて2カ月。交通が便利で、食べ物もおいしい。なにより驚いたのが、すぐ近くに自然があふれていること。見渡せば山の景色に和み、広がる海に癒やされる。

 聞くところによると、山間部や離島には福岡県警駐在所があり、地域に溶け込みながら、住民との交流を深めているそうだ。ゆるやかな時間が流れる一方、災害が起きれば、最前線に立つ。警察取材の駆け出し記者として、その現場はぜひ見ておかねば。島と山の駐在所を訪ねた。(椎木慎太郎、鈴木優香)

この春、朝日新聞の記者になったばかりの福岡県警担当の2人。県内の山や島の駐在所で地域を守る警察官の日頃の活動は?駐在所勤務を志したのはなぜ?・・・現地に赴き、「フカボリ」取材をしてきました。

「マル暴刑事」から「山の駐在さん」に変身した、その訳は 

 福岡県東峰村の標高約1千メートルの山地に、ぽかんと穴をあけたように盆地が広がっている。針のようにまっすぐ伸びた深緑のスギが連なって、盆地を囲むようにジグザグの稜線(りょうせん)を描いている。かつて修験者が植えたとされる高さ50メートルにもなる巨木「行者杉」がそびえ、340年の伝統をもつ小石原焼の窯元が並び、文化と豊かな自然に恵まれた土地だ。

 こんな人口約800人の小石原地区にある、県警朝倉署小石原駐在所に勤務するのが岩本隆憲巡査部長(35)だ。

 駐在所勤務への思いが募ったのは、暴力団捜査を担当していた2017年ごろだ。事件を追うことに必死だった。大事な仕事で、やりがいもあった。

 だが一方で、地域の人から遠…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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